クローズドSNSのPathがメッセージングアプリPath Talkを開発した真の狙いとは、Path創業者Dave Morinへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、クローズドSNSを開発しているPathの創業者Dave Morin氏にインタビューを行った。Pathは基本的に情報がオープン化されているFacebookとは対照的に、友人や家族間のコミュニケーションに焦点を絞ったクローズドなSNSだ。オープンなSNSに疲れた人を中心に人気を集めており、現在登録ユーザーは2000万人を超えている。また、Morin氏はエンジェル投資も活発に行っており、これまでにNest、Airbnb、Pinterest、Evernote、Tumblr、Twitterなどの企業へ出資をしてきたベイエリアの中心的人物だPathのページはこちら

Pathがメッセージングアプリを出した理由


Q:まず、Path Talkについてお伺いします。なぜメッセージングアプリをローンチしたのですか?
まず1つ目の理由から話そう。我々は2013年にメッセージング機能をPathに実装したんだ。そして、この機能がとても人気を集めており、急成長を記録していることに気づいた。ユーザーによく話しを聞いてみるとメッセージ機能は気に入っているが、よりアクセスのし易い形を望んでいることが分かったんだ。だから、よりユーザーがメッセージングの機能を利用しやすくなるよう、メッセージに特化したスタンドアロンアプリをローンチすることにしたんだ。

2つ目の理由としては、自分たちはユーザーエクスペリエンスをよりシンプルにすることにフォーカスしている点があげられる。基本的にPathはプライベートなソーシャルネットワーキングアプリであることは言うまでもないが、それ以外の機能として前述したように、メッセージングアプリとしてもよく利用されている。だから、わざわざアプリを2つにわけて、ユーザーが「メッセージング」と「ソーシャルネットワーキング」のアプリをはっきりと区別して利用できるように施したんだ。そうすることで、ユーザーはより簡単、かつ自由にそれぞれのPathの機能を利用できるようになるからね。これこそが自分たちの言う「ユーザーエクスペリエンスをシンプルにする」というものだ。これが2つ目の理由になるよ。

Q:Path Talk以外にも他の機能に特化したスタンドアロンアプリをローンチする予定はありますか?
うん、他にもスタンドアロンアプリのローンチを予定しているよ。シリコンバレーやサンフランシスコの多くのスタートアップは、ひとつのアプリを開発することにリソースを集中させているのが一般的だ。一方で、ユーザーはユースケースに応じて「ソーシャル・ネットワーキング」や「メッセージング」といったアプリを使い分けているよね。我々は、彼らのユースケースに最適化する形でアプリを提供する道を選んだ。アジアの企業が、用途に合わせて複数のアプリを提供しているのと同じようにね。我々は今回のPath Talkのように特定の機能にフォーカスすることで、人々の現実世界での行動をより具体化し、最適化させたサービスを生み出していきたい。そのために、今後も同様のスタンドアロンアプリを開発していく予定だ。

Q:最近は、WhatsappやSnapchat、Secretなどのクローズドなメッセージング&匿名系のアプリが人気を集めていますが、Pathはどのように差別化を図っていくつもりなのですか?
それに関しては2つの特徴が考えられる。1つは、ユーザーの親しい友達が具体的に何をしているかを多様な形で理解したり共有したりできる点だ。友達がどこにいるのかや、どんな音楽を聞いているのか、どんなことを考えているのか、ランニングしていたり車で移動していたり、Pathではこういったステータスが多様なコンテキストで理解できる様になっている。これほど網羅的に多様な文脈で親友達の状況を共有できるアプリは他にはないと思うね。

2つ目は、我々がさらにワクワクしながら取り組んでいることなのだけど、Path Talkをローンチする前にTalkToというスタートアップを買収したんだ。TalkToのアイディアはとても興味深かった。テキストメッセージを通じていかなるビジネス(小売店やレストラン)と繋がることができるんだ。この機能を今夏の終わりにPath Talkに導入する予定だよ。具体的に説明すると、アプリからあらゆるビジネスにテキストメッセージを送信することができるようになる。実際に我々は、世界中にエージェントチームを保有していて、ユーザーに代わって小売店やレストランに電話をかけることができる。そして、レストランの予約や、ローカル店舗の在庫確認、
売店舗やレストランに質問することさえ、Path Talk経由でできるようにしたいんだ。人々は時間を大幅に節約できるようになるよ。このような機能を今夏に米国内で導入する予定で、来年以降に国際的に展開していこうと考えている。日本でのサービス開始はいつになるか分からないけど、プライオリティーは高いので、そう遠くはないと思う。

あ、あともうひとつ、まったく新しい形での写真共有機能を作りたいと考えているんだ。今まで誰もしたことがないような体験を提供できると思う。Pathには素晴らしいチームがいるから、ただテクノロジーに依存するだけではない、テクノロジーを越えた新しい体験を提供できる機能を作ろうとしている。


Q:今後Pathはどのようにコミュニケーションの形を変えていくのですか?
僕達がしてい るチャレンジはどのようにコミュニケーションの形を人間に近づけていけるかというものなんだ。例えば、僕は今ここに置いてあるティーカップをこういう感じに動かすことができるよね。他にもこうやって何かを掴むことができる。でも、そのような人間の日常的な行動をインターネットと融合することは未だに難しいことなんだ。今存在するどのメッセージングアプリでもこれらのことを実現できていない。我々は今後もテクノロジーを次の次元に進め、もっとパーソナルなコミュニケーションを実現できるよう努めていくよ。

例えば、個人と各ビジネス(小売店やレストラン)との繋がりはとてもパーソナルなコミュニケーションだと思う。現在では、そのコミュニケーションを行うには、主に電話を使用する必要がある。しかし、我々はこのビジネスと個人との関わりをテクノロジーを通じ て、もう一歩パーソナルなコミュニケーションとしてインターネット上に実現することができると考えている。これこそがPath Talkが次に実現したいことなんだ。現在では、写真や音声やビデオをインターネット上でシェアすることができるが、それではまだ足りない。今後も人々が日常的に行っているコミュニケーションをインターネット上で実現できるよう努めていくつもりだ。

日本のカルチャーに大きな影響を受けた



Q:どの国がPathにとって最も大きなマーケットなのですか?
今のところ東南アジア、特にインドネシアに最も多くのユーザーがいるよ。そしてアメリカが二番目に大きなマーケットだ。インドネシアでの成長が最も速かったため、我々は多くの時間をアジアの市場に対して費やしてきた。もちろん日本もその中に入っているよ。


Q:なぜインドネシアではそんなにもPathが人気なのですか?

そうだね。ソーシャルネットワーキング系のアプリはなぜ急激に成長したのかを明確に説明することが難しい分野だ。度々、飛行機に乗って現地に原因を探りにいくんだけど、明らかにできないことがほとんどだ。初期段階からインドネシアではユーザーを獲得できていた、だから会社としてインドネシアでの成長にフォーカスしていた部分はあるのだけど…。正直なところ、本当に説明がつかない。


Q:インドネシアには現地にチームを置いているのですか?

いや、今はまだいないよ。でもいずれはインドネシアにブランチか何らかの形でチームを置くつもりだ。あと、現地(インドネシア)の投資家の人たちとパートナー関係を築いているので、それがローカライズにとても役に立っていると思う。

Q:日本のマーケットは今でもPathにとって魅力的ですか?
もちろんだ。自分たちはとても日本のマーケットを気にかけているよ。Path自体がシンプルに質の高い価値を提供することにフォーカスしているのも日本のカルチャーに影響された部分が大きい。どのように真の価値を提供するのかについて日本から学んでいるよ。特にCo-founderのデザイナーが日本のカルチャーにインスパイアされていてね。日本には競合になりうるサービスがいくつかあるけど、引き続き多くの人にもっとPathの魅力を伝えていきたいな。


Q:日本のカルチャーから具体的にどのようなことを学びましたか?

そうだね。日本から最も大きな影響を受けたのは
「プロセス」についてだ。具体的には質へのこだわりだね。質の高いものを生み出すプロセスには多くの時間を必要があり、そのプロセスに近道はないという点だ。日本において何らかのマスター、すなわちどこまでも質にこだわる人物となるにはとても多くの時間を努力に費やす事が求められる。それは本当に我々に良い影響を与えてくれたよ。

また、日本のデザインのフィロソフィーでは「侘び寂び」の考え方、他にも
MUJIの創業者が提唱しているSuper Nomalという考え方に影響を受けた。それは何か良い物を生み出したいときは、新たな物を創出しようとするのではなく、あくまで既存のノーマルな製品をより良い物に改善するべきだという考え方なんだ。これはアメリカの製品には欠けている考えだよね。あと、自分は子供の頃に合気道を習って育ってきたんだ。これもまた日本の哲学や考え方に触れる良い機会になったと思うよ。


Q:Pathのデザインはとても洗練されています。なぜあなたにとってデザインは重要なのですか?
まず最初に、我々は脳レベルの質のソフトウェアやインターネットのプロダクトを作ろうとしている。そのレベルに達するには、細部にこだわり時間をかけてデザインをしなくてはならないんだ。
次に、Path自体がとても人間中心のプロダクト設計にしている点があげられるだろう。具体的には、テクノロジーを通じて人間本来の行動をプロダクトに落とし込もうとした時、未だに人間本来の活動をテクノロジーを介して実現することはとても難しい。特にコミュニケーションの分野はね。

僕はコンピューターの黎明期、まだ人々がDOS(Disk Operating System)を使っていた時代に生きていた。その時代から人々はコンピューターとコミュニケーションを取る際にコマンドラインを利用していた訳だが、それは今の時代も変わっていないんだよ。テキストでメッセージを送るにしても、Twitterで何かを発信するにしても、DOZの時代と同じようにある種のコマンドラインによってコミュニケーションを取らなければならない。今はソーシャルの時代だというのに、コミュニケーションは未だにコマンドラインなんだ。
だから、自分たちはデザイン(インターフェイステクノロジー)を通じてもっとコミュニケーションを人間本来の行動に近づけるよう努力しているよ。

Q:どのように人間中心のインターフェイスという哲学を思いついたのですか?

それは人々の生活を改善させたいと考えた過程で気づいたことなんだ。我々がPathを始めた2010年は、世界中の人々がインターネット上で更につながり始めた時代だった。Facebookが知り合いと繋がるためのプラットフォームとして機能していたからね。そして、Facebookは繋がりの量が重視されていたSNSだったんだ。だから僕は、繋がりの質に重視するSNSを作ろうと思った。もっと意味があり、相互的で、人間らしくいられるSNSだ。そして、当時は量が勝るコミュニケーションツールに多くの人が集まっていたが、最終的には質の高いプロダクトにユーザーは集まってくると考えた。これがPathを始める理由でもあったし、人間中心のインターフェイスについて本格的に哲学を持ち始めた頃だと思う。

Q:なぜ友人の人数制限をなくしたのですか?(※Pathでは最大150人までしか友人と繋がれない仕組みになっていた)
先述したように、人々の生活をより良くすることがPathの目的だ。Pathを利用した後に、ユーザーにはハッピーになってもらいたい。ネガティブな感情はなるべく与えたくないんだ。それにも関わらず、Pathに友人の人数制限があったらどうなるだろう?Pathを利用していて、制限である150人に人数が達したときの事を想像してみて欲しい。それはネガティブな体験をユーザーに与えてしまうと気付いたんだ。

具体的に言うと、友達の人数が制限に達した際、まず最初にユーザーはなぜ友達を増やす事ができないのかと動揺してしまう。それに加えて、誰かをPath上の友達から取り除かなければならないんだ。ある友達とPath上でつながる為に、最初に繋がっていたPathの友達を取り除いてしまった後、もし現実世界でその取り除いた友達に遭遇してしまうと…本当に最悪だ。これでは、ユーザーに悪い体験を与えてしまう事になるので、なんとかしてこの原因を取り除こうと思った。それに加えて、実際にユーザーから「150人ともう既に繋がってしまったが、あと1、2人のユーザーを追加させてくれ」という多くの意見が届いていたんだ。それならばと思い、プライベートなコミュニティ形成に友人制限を取り除くことがインパクトを与えるかどうかについてテストしてみることにした。結果、悪影響は一切なく、誰もが幸せになれることが分かり、制限を取り除くことに決めたね。



Q:Pathを始める前のことを教えてください。どのようなキャリアをお持ちなのですか?
自分はPathを始める前には、まだ規模が小さい頃のFacebookで数年感働いていたよ。Facebookでは特に2つのプロダクトに関わった。それらは、FacebookプラットフォームとFacebookコネクトと呼ばれるものだ。Facebookプラットフォームと呼ばれるものはFacebookアプリなどのゲームやアプリを含むFacebookにおけるプラットフォーム型事業で、FacebookコネクトはiPhoneアプリや様々なWebサービスにFacebookのアカウント経由でログインできる様にするものだった。そして、Facebookの前にはiPadすらまだ出ていない時期のAppleにいたよ。それ以前はコロラド大学にいて学生をやっていたね。

Q:あなたにとってPathは何度目のスタートアップですか?
確かにFacebookはかなり初期にジョインしたけど、Founderではないので、実質的にはPathが1つ目のスタートアップだと言えるね。また、大学時代にDesign Studiosという名前で事業をしていた。しかし、それらはただのコンサルティング事業で、スタートアップとは言えないね(笑)。小さな商売だったよ。


インターネット×モノの分野に興味あり



Q:あなたはPathにて伊藤穣一氏やKevin Rose氏、SV AngelやKPCBなどなど素晴らしい投資家から資金を調達していますが、昔から繋がりがあったのですか?
そうだよ。特にJoi(伊藤穣一氏)はPathに最も早い段階で投資をしてくれた投資家の一人だ。彼とは数年前から繋がりがあったよ。本当に素晴らしい人で、人類の宝だ。そして同時に素晴らしいアドバイザーだね。

Q:そのような素晴らしい投資家から資金を調達する上で最も大切なことはなんですか?
プロダクトを持つことだ。そして同時にコネクションをもつことだね。実際、自分はJoiと数年前にFacebookでまだ自分が働いていたときからビジネス関係無しに純粋に知り合いだったんだ。でもまあ1つ選べと言われたら断然にプロダクトを持つ事が重要だと言えるだろうね。プロトタイプでも良いからそれを投資家に見せるんだ。それが最も普遍的で適切なアドバイスだ。そしてプロダクトを持ったら、ユーザーや売上などの数字を作ることに集中しよう。


Q:創業当初のスタートアップにおいてアイディア、トラクション、チームの中で最も大事なものは何でしょうか?
そうだね。俺の意見ではさっき言った様にプロダクトがダントツで、それに加えてチームとなると思うよ。投資家向けに限らず、潜在的なユーザーや社員を見つけるためにも、プロダクトを作ることが大事だ。人に関してはそのアイディアやプロダクトを生み出す過程で、そのチームの力量がプロダクトに現れると思うしね。そして出来るだけ早くローンチした後に、自分はこのプロダクトで何をしようとしているのかをたくさんの人に説明するんだ。そしてそのプロダクトをどんどん改善すること。プロダクトがないとトラクションが作れないし、トラクションがないと投資云々の話しではないからね。


Q:どうやってPathはたくさんのユーザー(トラクション)を獲得したのですか?
そうだね…。Pathのバージョン1はお世辞にも成功していると言えなかったかもしれない。DAUが10,000人という状態が1年間続いたんだ。これはとても小さな数字だよね。しかし、デザインの哲学をプロダクトに反映させたことで、数字は徐々に改善されていったよ。特に自分たちは一つ一つの機能にフォーカスして改善を続けた。最初は画像のシェアに100%の力を入れたね。その後、50人くらいのユーザーを定期的に観察し、テストを続けたんだ。すると、画像シェアの用途として、聞いている音楽のスクリーンショットがシェアされている事が分かったんだ。そこで、自分たちは聞いている音楽のコンテンツを紹介できる機能を追加したんだよね。他にも同様に、ランニングコースを記録するアプリのスクリーンショットだったり、メモのスクリーンショット、地図のスクリーンショットだったり…。このように、今の主要なシェア機能はあくまでユーザーテストの結果なんだ。自分たちはユーザーのアクティビティを観察し、それをよりPath上で容易に実現できる仕様にしてきた。そんな風にして改善を続けたところ、バージョン1ではDAUが10,000DAUだけだったのが、バージョン2をリリースした2週間後にはその数字が500,000も上昇したんだ。

この様に、ユーザーの観察を継続的に行い、ユーザーの実現したがっている潜在的なニーズをくみとってプロダクトに落とし込んできた結果Pathは大きく成長することができたんだ。初期の話はあくまで具体的な例としてあげただけだけど、今までの成長はだいたいこのようなプロセスを経て達成されている。さっきも言った通り、Path Talkも同様の思考プロセスだよね。Path Talkをローンチした後は、その前よりメッセージからPathへの流入が40%も増えたんだ。

もう一つだけ付け加えておきたいのはパートナーシップの重要性だ。自分たちはSonyやT-mobileなどのスマートフォンのメーカー、またその販売をしている会社とパートナーシップを組んでいて、Pathを色々なスマートフォンにプリインストールしてもらっているんだ。特に東南アジア市場では、キャリアがフリーデータプランを実施してくれたので、その地域の成長の大きな支えとなったよ。


Q:あなたは素晴らしい起業家であると同時に素晴らしい投資家です。どのようにあなたのポートフォリオにあるような素晴らしいスタートアップを見つけているのですか?※NestやAngelList、Wanelo、Quora、Hotel Tonight、Sunrise、Eventbrite、Birchbox、Circa、Venmo、Evernote、Tumblr、Blue Bottle Coffeeなどへ出資。
僕は、アントレプレナーシップ、スタートアップ、人を助けること、彼らが夢を実現することなどに対して情熱を持っているんだ。私が投資をした後は、自分ができる最大のことをして彼らの手助けをするよ。これが僕の投資のスタンスだ。そうやって手助けをした投資先が軌道に乗ると、投資先の経営者は僕のことを他のスタートアップにも紹介するんだ。ちなみに、先述したように僕は投資に関してもプロダクトを見て決めている。ただ結果的に、過去にすばらしい仕事を成し遂げた人や、知り合いの知り合いということが多い。そして、投資をはじめてから過去5年でたくさんの素晴らしいスタートアップに投資をすることができ、彼等から多くのレファレンスをもらうことができている。彼らからのリファレンスや紹介は投資先を探すのにとても役立っているよ。

また、他には自分の興味がある分野の人には積極的に会っている事も大きな要因な一つだろう。僕は新しいテクノロジーが大好きなんだ。最近ではとりわけDroneに興味をもっている。だから、その分野のことを知ろうと色々なカンファレンスやミートアップに参加して、新しい人に出会い、様々なことを学んでいるよ。そして、その中で興味を持ち、応援をしたいと思った時に、僕は投資を決めているんだ。


Q:先程Droneに興味を持っているとおっしゃっていましたが、その他にもトレンドとして興味を持っている分野はありますか?

まだインターネットやテクノロジーがインパクトを与えていない分野について興味を持っているよ。写真の加工や写真シェア系のアプリは毎週のように新しい物がたくさん生まれてきているが、それとは対照的に今まで全くインターネットが影響を及ぼしていない分野についても、インターネットやテクノロジーはインパクトを与え始めていると思う。例えば家だ。家は未だにインターネット回線のジャックしかインターネットと家が繋がっている部分は存在しないが、今後これは劇的に変わろうとしているんだ。IoT(Internet of Things)はバズワードのように聞こえるけど、それらは恐らく本当に世の中に大きなインパクトをあたえると思うよ。車なんかを考えると分かると思うけど、それぞれの車がインターネットと繋がり、情報を持ち、その情報を活かせるようになると、交通渋滞の問題はもっと改善されていくよね。

他にはスマートウォッチも興味深いね。誰もが身に付けている時計がどのように変わっていくのか楽しみだよ。生物学や医学、脳科学に神経学などもまだインターネットを通じて解決できることはあると思う。これらの分野も大きな変化が訪れるんじゃないかな?スマートウォッチによってデバイスは最も体に近づくし、驚くべき変化が訪れる事に期待しているよ。また、C向けのタップ型コミュニケーションには従来から興味を持っていて、YoTaptalkなんかも興味深い分野だね。

そして最後にとりわけ興味を持っているのは3Dプリンターだよ。以前まで工場でしか生み出せていなかった物が各自の家でとても早く、かつ容易に製造できるようになるんだ。もしかしたら製造業の構造が変わるかもしれないよね。とても楽しみな流れだ。


Q:最後に、日本の潜在的なユーザーにメッセージをお願いします。 
もしハイクオリティなプロダクトが好きだったら、是非一度Pathに触れてみてくれ。我々はユーザーの行動を最大限考慮しながら改善を続けていくつもりだ。そして、プライバシーに関してはとても気を遣っている。なのでその点は心配しないで、是非一度Pathを使ってみて欲しい。楽しみにしているよ。

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クローズドSNSのPathがメッセージングアプリPath Talkを開発した真の狙いとは、Path創業者Dave Morinへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、クローズドSNSを開発しているPathの創業者Dave Morin氏にインタビューを行った。Pathは基本的に情報がオープン化されているFacebookとは対照的に、友人や家族間のコミュニケーションに焦点を絞ったクローズドなSNSだ。オープンなSNSに疲れた人を中心に人気を集めており、現在登録ユーザーは2000万人を超えている。また、Morin氏はエンジェル投資も活発に行っており、これまでにNest、Airbnb、Pinterest、Evernote、Tumblr、Twitterなどの企業へ出資をしてきたベイエリアの中心的人物だPathのページはこちら

Pathがメッセージングアプリを出した理由


Q:まず、Path Talkについてお伺いします。なぜメッセージングアプリをローンチしたのですか?
まず1つ目の理由から話そう。我々は2013年にメッセージング機能をPathに実装したんだ。そして、この機能がとても人気を集めており、急成長を記録していることに気づいた。ユーザーによく話しを聞いてみるとメッセージ機能は気に入っているが、よりアクセスのし易い形を望んでいることが分かったんだ。だから、よりユーザーがメッセージングの機能を利用しやすくなるよう、メッセージに特化したスタンドアロンアプリをローンチすることにしたんだ。

2つ目の理由としては、自分たちはユーザーエクスペリエンスをよりシンプルにすることにフォーカスしている点があげられる。基本的にPathはプライベートなソーシャルネットワーキングアプリであることは言うまでもないが、それ以外の機能として前述したように、メッセージングアプリとしてもよく利用されている。だから、わざわざアプリを2つにわけて、ユーザーが「メッセージング」と「ソーシャルネットワーキング」のアプリをはっきりと区別して利用できるように施したんだ。そうすることで、ユーザーはより簡単、かつ自由にそれぞれのPathの機能を利用できるようになるからね。これこそが自分たちの言う「ユーザーエクスペリエンスをシンプルにする」というものだ。これが2つ目の理由になるよ。

Q:Path Talk以外にも他の機能に特化したスタンドアロンアプリをローンチする予定はありますか?
うん、他にもスタンドアロンアプリのローンチを予定しているよ。シリコンバレーやサンフランシスコの多くのスタートアップは、ひとつのアプリを開発することにリソースを集中させているのが一般的だ。一方で、ユーザーはユースケースに応じて「ソーシャル・ネットワーキング」や「メッセージング」といったアプリを使い分けているよね。我々は、彼らのユースケースに最適化する形でアプリを提供する道を選んだ。アジアの企業が、用途に合わせて複数のアプリを提供しているのと同じようにね。我々は今回のPath Talkのように特定の機能にフォーカスすることで、人々の現実世界での行動をより具体化し、最適化させたサービスを生み出していきたい。そのために、今後も同様のスタンドアロンアプリを開発していく予定だ。

Q:最近は、WhatsappやSnapchat、Secretなどのクローズドなメッセージング&匿名系のアプリが人気を集めていますが、Pathはどのように差別化を図っていくつもりなのですか?
それに関しては2つの特徴が考えられる。1つは、ユーザーの親しい友達が具体的に何をしているかを多様な形で理解したり共有したりできる点だ。友達がどこにいるのかや、どんな音楽を聞いているのか、どんなことを考えているのか、ランニングしていたり車で移動していたり、Pathではこういったステータスが多様なコンテキストで理解できる様になっている。これほど網羅的に多様な文脈で親友達の状況を共有できるアプリは他にはないと思うね。

2つ目は、我々がさらにワクワクしながら取り組んでいることなのだけど、Path Talkをローンチする前にTalkToというスタートアップを買収したんだ。TalkToのアイディアはとても興味深かった。テキストメッセージを通じていかなるビジネス(小売店やレストラン)と繋がることができるんだ。この機能を今夏の終わりにPath Talkに導入する予定だよ。具体的に説明すると、アプリからあらゆるビジネスにテキストメッセージを送信することができるようになる。実際に我々は、世界中にエージェントチームを保有していて、ユーザーに代わって小売店やレストランに電話をかけることができる。そして、レストランの予約や、ローカル店舗の在庫確認、
売店舗やレストランに質問することさえ、Path Talk経由でできるようにしたいんだ。人々は時間を大幅に節約できるようになるよ。このような機能を今夏に米国内で導入する予定で、来年以降に国際的に展開していこうと考えている。日本でのサービス開始はいつになるか分からないけど、プライオリティーは高いので、そう遠くはないと思う。

あ、あともうひとつ、まったく新しい形での写真共有機能を作りたいと考えているんだ。今まで誰もしたことがないような体験を提供できると思う。Pathには素晴らしいチームがいるから、ただテクノロジーに依存するだけではない、テクノロジーを越えた新しい体験を提供できる機能を作ろうとしている。


Q:今後Pathはどのようにコミュニケーションの形を変えていくのですか?
僕達がしてい るチャレンジはどのようにコミュニケーションの形を人間に近づけていけるかというものなんだ。例えば、僕は今ここに置いてあるティーカップをこういう感じに動かすことができるよね。他にもこうやって何かを掴むことができる。でも、そのような人間の日常的な行動をインターネットと融合することは未だに難しいことなんだ。今存在するどのメッセージングアプリでもこれらのことを実現できていない。我々は今後もテクノロジーを次の次元に進め、もっとパーソナルなコミュニケーションを実現できるよう努めていくよ。

例えば、個人と各ビジネス(小売店やレストラン)との繋がりはとてもパーソナルなコミュニケーションだと思う。現在では、そのコミュニケーションを行うには、主に電話を使用する必要がある。しかし、我々はこのビジネスと個人との関わりをテクノロジーを通じ て、もう一歩パーソナルなコミュニケーションとしてインターネット上に実現することができると考えている。これこそがPath Talkが次に実現したいことなんだ。現在では、写真や音声やビデオをインターネット上でシェアすることができるが、それではまだ足りない。今後も人々が日常的に行っているコミュニケーションをインターネット上で実現できるよう努めていくつもりだ。

日本のカルチャーに大きな影響を受けた



Q:どの国がPathにとって最も大きなマーケットなのですか?
今のところ東南アジア、特にインドネシアに最も多くのユーザーがいるよ。そしてアメリカが二番目に大きなマーケットだ。インドネシアでの成長が最も速かったため、我々は多くの時間をアジアの市場に対して費やしてきた。もちろん日本もその中に入っているよ。


Q:なぜインドネシアではそんなにもPathが人気なのですか?

そうだね。ソーシャルネットワーキング系のアプリはなぜ急激に成長したのかを明確に説明することが難しい分野だ。度々、飛行機に乗って現地に原因を探りにいくんだけど、明らかにできないことがほとんどだ。初期段階からインドネシアではユーザーを獲得できていた、だから会社としてインドネシアでの成長にフォーカスしていた部分はあるのだけど…。正直なところ、本当に説明がつかない。


Q:インドネシアには現地にチームを置いているのですか?

いや、今はまだいないよ。でもいずれはインドネシアにブランチか何らかの形でチームを置くつもりだ。あと、現地(インドネシア)の投資家の人たちとパートナー関係を築いているので、それがローカライズにとても役に立っていると思う。

Q:日本のマーケットは今でもPathにとって魅力的ですか?
もちろんだ。自分たちはとても日本のマーケットを気にかけているよ。Path自体がシンプルに質の高い価値を提供することにフォーカスしているのも日本のカルチャーに影響された部分が大きい。どのように真の価値を提供するのかについて日本から学んでいるよ。特にCo-founderのデザイナーが日本のカルチャーにインスパイアされていてね。日本には競合になりうるサービスがいくつかあるけど、引き続き多くの人にもっとPathの魅力を伝えていきたいな。


Q:日本のカルチャーから具体的にどのようなことを学びましたか?

そうだね。日本から最も大きな影響を受けたのは
「プロセス」についてだ。具体的には質へのこだわりだね。質の高いものを生み出すプロセスには多くの時間を必要があり、そのプロセスに近道はないという点だ。日本において何らかのマスター、すなわちどこまでも質にこだわる人物となるにはとても多くの時間を努力に費やす事が求められる。それは本当に我々に良い影響を与えてくれたよ。

また、日本のデザインのフィロソフィーでは「侘び寂び」の考え方、他にも
MUJIの創業者が提唱しているSuper Nomalという考え方に影響を受けた。それは何か良い物を生み出したいときは、新たな物を創出しようとするのではなく、あくまで既存のノーマルな製品をより良い物に改善するべきだという考え方なんだ。これはアメリカの製品には欠けている考えだよね。あと、自分は子供の頃に合気道を習って育ってきたんだ。これもまた日本の哲学や考え方に触れる良い機会になったと思うよ。


Q:Pathのデザインはとても洗練されています。なぜあなたにとってデザインは重要なのですか?
まず最初に、我々は脳レベルの質のソフトウェアやインターネットのプロダクトを作ろうとしている。そのレベルに達するには、細部にこだわり時間をかけてデザインをしなくてはならないんだ。
次に、Path自体がとても人間中心のプロダクト設計にしている点があげられるだろう。具体的には、テクノロジーを通じて人間本来の行動をプロダクトに落とし込もうとした時、未だに人間本来の活動をテクノロジーを介して実現することはとても難しい。特にコミュニケーションの分野はね。

僕はコンピューターの黎明期、まだ人々がDOS(Disk Operating System)を使っていた時代に生きていた。その時代から人々はコンピューターとコミュニケーションを取る際にコマンドラインを利用していた訳だが、それは今の時代も変わっていないんだよ。テキストでメッセージを送るにしても、Twitterで何かを発信するにしても、DOZの時代と同じようにある種のコマンドラインによってコミュニケーションを取らなければならない。今はソーシャルの時代だというのに、コミュニケーションは未だにコマンドラインなんだ。
だから、自分たちはデザイン(インターフェイステクノロジー)を通じてもっとコミュニケーションを人間本来の行動に近づけるよう努力しているよ。

Q:どのように人間中心のインターフェイスという哲学を思いついたのですか?

それは人々の生活を改善させたいと考えた過程で気づいたことなんだ。我々がPathを始めた2010年は、世界中の人々がインターネット上で更につながり始めた時代だった。Facebookが知り合いと繋がるためのプラットフォームとして機能していたからね。そして、Facebookは繋がりの量が重視されていたSNSだったんだ。だから僕は、繋がりの質に重視するSNSを作ろうと思った。もっと意味があり、相互的で、人間らしくいられるSNSだ。そして、当時は量が勝るコミュニケーションツールに多くの人が集まっていたが、最終的には質の高いプロダクトにユーザーは集まってくると考えた。これがPathを始める理由でもあったし、人間中心のインターフェイスについて本格的に哲学を持ち始めた頃だと思う。

Q:なぜ友人の人数制限をなくしたのですか?(※Pathでは最大150人までしか友人と繋がれない仕組みになっていた)
先述したように、人々の生活をより良くすることがPathの目的だ。Pathを利用した後に、ユーザーにはハッピーになってもらいたい。ネガティブな感情はなるべく与えたくないんだ。それにも関わらず、Pathに友人の人数制限があったらどうなるだろう?Pathを利用していて、制限である150人に人数が達したときの事を想像してみて欲しい。それはネガティブな体験をユーザーに与えてしまうと気付いたんだ。

具体的に言うと、友達の人数が制限に達した際、まず最初にユーザーはなぜ友達を増やす事ができないのかと動揺してしまう。それに加えて、誰かをPath上の友達から取り除かなければならないんだ。ある友達とPath上でつながる為に、最初に繋がっていたPathの友達を取り除いてしまった後、もし現実世界でその取り除いた友達に遭遇してしまうと…本当に最悪だ。これでは、ユーザーに悪い体験を与えてしまう事になるので、なんとかしてこの原因を取り除こうと思った。それに加えて、実際にユーザーから「150人ともう既に繋がってしまったが、あと1、2人のユーザーを追加させてくれ」という多くの意見が届いていたんだ。それならばと思い、プライベートなコミュニティ形成に友人制限を取り除くことがインパクトを与えるかどうかについてテストしてみることにした。結果、悪影響は一切なく、誰もが幸せになれることが分かり、制限を取り除くことに決めたね。



Q:Pathを始める前のことを教えてください。どのようなキャリアをお持ちなのですか?
自分はPathを始める前には、まだ規模が小さい頃のFacebookで数年感働いていたよ。Facebookでは特に2つのプロダクトに関わった。それらは、FacebookプラットフォームとFacebookコネクトと呼ばれるものだ。Facebookプラットフォームと呼ばれるものはFacebookアプリなどのゲームやアプリを含むFacebookにおけるプラットフォーム型事業で、FacebookコネクトはiPhoneアプリや様々なWebサービスにFacebookのアカウント経由でログインできる様にするものだった。そして、Facebookの前にはiPadすらまだ出ていない時期のAppleにいたよ。それ以前はコロラド大学にいて学生をやっていたね。

Q:あなたにとってPathは何度目のスタートアップですか?
確かにFacebookはかなり初期にジョインしたけど、Founderではないので、実質的にはPathが1つ目のスタートアップだと言えるね。また、大学時代にDesign Studiosという名前で事業をしていた。しかし、それらはただのコンサルティング事業で、スタートアップとは言えないね(笑)。小さな商売だったよ。


インターネット×モノの分野に興味あり



Q:あなたはPathにて伊藤穣一氏やKevin Rose氏、SV AngelやKPCBなどなど素晴らしい投資家から資金を調達していますが、昔から繋がりがあったのですか?
そうだよ。特にJoi(伊藤穣一氏)はPathに最も早い段階で投資をしてくれた投資家の一人だ。彼とは数年前から繋がりがあったよ。本当に素晴らしい人で、人類の宝だ。そして同時に素晴らしいアドバイザーだね。

Q:そのような素晴らしい投資家から資金を調達する上で最も大切なことはなんですか?
プロダクトを持つことだ。そして同時にコネクションをもつことだね。実際、自分はJoiと数年前にFacebookでまだ自分が働いていたときからビジネス関係無しに純粋に知り合いだったんだ。でもまあ1つ選べと言われたら断然にプロダクトを持つ事が重要だと言えるだろうね。プロトタイプでも良いからそれを投資家に見せるんだ。それが最も普遍的で適切なアドバイスだ。そしてプロダクトを持ったら、ユーザーや売上などの数字を作ることに集中しよう。


Q:創業当初のスタートアップにおいてアイディア、トラクション、チームの中で最も大事なものは何でしょうか?
そうだね。俺の意見ではさっき言った様にプロダクトがダントツで、それに加えてチームとなると思うよ。投資家向けに限らず、潜在的なユーザーや社員を見つけるためにも、プロダクトを作ることが大事だ。人に関してはそのアイディアやプロダクトを生み出す過程で、そのチームの力量がプロダクトに現れると思うしね。そして出来るだけ早くローンチした後に、自分はこのプロダクトで何をしようとしているのかをたくさんの人に説明するんだ。そしてそのプロダクトをどんどん改善すること。プロダクトがないとトラクションが作れないし、トラクションがないと投資云々の話しではないからね。


Q:どうやってPathはたくさんのユーザー(トラクション)を獲得したのですか?
そうだね…。Pathのバージョン1はお世辞にも成功していると言えなかったかもしれない。DAUが10,000人という状態が1年間続いたんだ。これはとても小さな数字だよね。しかし、デザインの哲学をプロダクトに反映させたことで、数字は徐々に改善されていったよ。特に自分たちは一つ一つの機能にフォーカスして改善を続けた。最初は画像のシェアに100%の力を入れたね。その後、50人くらいのユーザーを定期的に観察し、テストを続けたんだ。すると、画像シェアの用途として、聞いている音楽のスクリーンショットがシェアされている事が分かったんだ。そこで、自分たちは聞いている音楽のコンテンツを紹介できる機能を追加したんだよね。他にも同様に、ランニングコースを記録するアプリのスクリーンショットだったり、メモのスクリーンショット、地図のスクリーンショットだったり…。このように、今の主要なシェア機能はあくまでユーザーテストの結果なんだ。自分たちはユーザーのアクティビティを観察し、それをよりPath上で容易に実現できる仕様にしてきた。そんな風にして改善を続けたところ、バージョン1ではDAUが10,000DAUだけだったのが、バージョン2をリリースした2週間後にはその数字が500,000も上昇したんだ。

この様に、ユーザーの観察を継続的に行い、ユーザーの実現したがっている潜在的なニーズをくみとってプロダクトに落とし込んできた結果Pathは大きく成長することができたんだ。初期の話はあくまで具体的な例としてあげただけだけど、今までの成長はだいたいこのようなプロセスを経て達成されている。さっきも言った通り、Path Talkも同様の思考プロセスだよね。Path Talkをローンチした後は、その前よりメッセージからPathへの流入が40%も増えたんだ。

もう一つだけ付け加えておきたいのはパートナーシップの重要性だ。自分たちはSonyやT-mobileなどのスマートフォンのメーカー、またその販売をしている会社とパートナーシップを組んでいて、Pathを色々なスマートフォンにプリインストールしてもらっているんだ。特に東南アジア市場では、キャリアがフリーデータプランを実施してくれたので、その地域の成長の大きな支えとなったよ。


Q:あなたは素晴らしい起業家であると同時に素晴らしい投資家です。どのようにあなたのポートフォリオにあるような素晴らしいスタートアップを見つけているのですか?※NestやAngelList、Wanelo、Quora、Hotel Tonight、Sunrise、Eventbrite、Birchbox、Circa、Venmo、Evernote、Tumblr、Blue Bottle Coffeeなどへ出資。
僕は、アントレプレナーシップ、スタートアップ、人を助けること、彼らが夢を実現することなどに対して情熱を持っているんだ。私が投資をした後は、自分ができる最大のことをして彼らの手助けをするよ。これが僕の投資のスタンスだ。そうやって手助けをした投資先が軌道に乗ると、投資先の経営者は僕のことを他のスタートアップにも紹介するんだ。ちなみに、先述したように僕は投資に関してもプロダクトを見て決めている。ただ結果的に、過去にすばらしい仕事を成し遂げた人や、知り合いの知り合いということが多い。そして、投資をはじめてから過去5年でたくさんの素晴らしいスタートアップに投資をすることができ、彼等から多くのレファレンスをもらうことができている。彼らからのリファレンスや紹介は投資先を探すのにとても役立っているよ。

また、他には自分の興味がある分野の人には積極的に会っている事も大きな要因な一つだろう。僕は新しいテクノロジーが大好きなんだ。最近ではとりわけDroneに興味をもっている。だから、その分野のことを知ろうと色々なカンファレンスやミートアップに参加して、新しい人に出会い、様々なことを学んでいるよ。そして、その中で興味を持ち、応援をしたいと思った時に、僕は投資を決めているんだ。


Q:先程Droneに興味を持っているとおっしゃっていましたが、その他にもトレンドとして興味を持っている分野はありますか?

まだインターネットやテクノロジーがインパクトを与えていない分野について興味を持っているよ。写真の加工や写真シェア系のアプリは毎週のように新しい物がたくさん生まれてきているが、それとは対照的に今まで全くインターネットが影響を及ぼしていない分野についても、インターネットやテクノロジーはインパクトを与え始めていると思う。例えば家だ。家は未だにインターネット回線のジャックしかインターネットと家が繋がっている部分は存在しないが、今後これは劇的に変わろうとしているんだ。IoT(Internet of Things)はバズワードのように聞こえるけど、それらは恐らく本当に世の中に大きなインパクトをあたえると思うよ。車なんかを考えると分かると思うけど、それぞれの車がインターネットと繋がり、情報を持ち、その情報を活かせるようになると、交通渋滞の問題はもっと改善されていくよね。

他にはスマートウォッチも興味深いね。誰もが身に付けている時計がどのように変わっていくのか楽しみだよ。生物学や医学、脳科学に神経学などもまだインターネットを通じて解決できることはあると思う。これらの分野も大きな変化が訪れるんじゃないかな?スマートウォッチによってデバイスは最も体に近づくし、驚くべき変化が訪れる事に期待しているよ。また、C向けのタップ型コミュニケーションには従来から興味を持っていて、YoTaptalkなんかも興味深い分野だね。

そして最後にとりわけ興味を持っているのは3Dプリンターだよ。以前まで工場でしか生み出せていなかった物が各自の家でとても早く、かつ容易に製造できるようになるんだ。もしかしたら製造業の構造が変わるかもしれないよね。とても楽しみな流れだ。


Q:最後に、日本の潜在的なユーザーにメッセージをお願いします。 
もしハイクオリティなプロダクトが好きだったら、是非一度Pathに触れてみてくれ。我々はユーザーの行動を最大限考慮しながら改善を続けていくつもりだ。そして、プライバシーに関してはとても気を遣っている。なのでその点は心配しないで、是非一度Pathを使ってみて欲しい。楽しみにしているよ。

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