24時間以内に最高のスライドを作成する、プレゼン資料のアウトソーシングSketchDeck - 創業者Christopher Finneralへのインタビュー




ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、SketchDeckの創業者であるChristopher Finneral氏にインタビューを行った。SketchDeckは、プレゼンスライドのデザインをアウトソーシングできるサービスだ。Y Combinator出身のチームで、2014年度のウィンタープログラムに参加していた注目のスタートアップである。Y Combinatorの代表であるSam Altman氏がスタンフォードの講義"How to start a startup"で使用していたスライドはSketchDeckを通じて作成されたもの。

洗練されたデザインのビジネス資料を短時間で提供する



Q1. まず、SketchDeckとはどういうサービスなのかご紹介をお願いします。
SketchDeckは一言で言うと、オンデマンドデザインサービスです。サービス内容としては、ビジネス資料、特にプレゼンスライドのデザインを専門に扱っています。クライアントはプレゼン内容やコンセプトを私達に送ってもらうだけで、私達がデザインしたスライドを24時間以内に手に入れることができます。


Q2. SketchDeckのアイデアはどのような経緯で思いついたのでしょうか。
スタートアップを始める前、McKinsey(マッキンゼー)に勤めていました。McKinseyでは何千ものプレゼンスライドが作られています。その際、スライド作成に膨大な労力がかかるため、McKinseyにはVGI(ビジュアル・グラフィック・インディア)というスライドなどのビジネス資料作成のための外注サービスがありました。VGIはインドに資料作成の専門家を1,000人以上抱えており、いわば資料作成専門の会社です。McKinseyの社員は手描きのスケッチをVGIに送れば、その日の内にプレゼンスライドが送られてくるという画期的なサービスでした。当時、このようなスライド作成の専門家はMcKinseyを含め、ビジネス向けにしか提供されておらず、これを一般の人向けにも提供したいという思いが最初のきっかけです。


Q3. デザイナーとしての経歴はおありなのでしょうか。
デザイナーとしての正式な経験はありません。しかし、SketchDeckのサービスは、デザインに革命を起こすというよりは、プレゼンスライドを作成及びデザインする手間がかかるという問題を解決するために立ち上げたので、デザインのタスクはあまり持ちません。もちろん勉強はしていますし、最低限のデザインの知識は持ち合わせていますが、コファウンダーがデザイナーですので、彼にデザインタスクは任せています。


Q4. 何人のデザイナーを雇っているのでしょうか。
現在50人のデザイナーを雇っており、大半は北米にいますが、南米、インド、フィリピンにもいます。Craigslist, Odeskなどの掲示板サイトを通じてデザイナーを雇用していました。

しかし今はデザイナー仲間からの紹介ベースで優秀なデザイナーを雇っています。理由としては、掲示板サイトやフリーランス募集サイトなどでデザイナーを雇っても、週一回のペースなどでしか働いてくれず、効率的でないからです。一方、紹介ベースでデザイナーを雇った場合は、平日は毎日コミットしてくれて効率的に案件が回っていくので、仲間からの紹介にシフトしました。


Q5. すばらしいプレゼンスライドを作るためになにかチーム運営で気をつけている点はありますか。
2つあります。1つがクライアントからの要望をしっかりと聞くという点です。当たり前の話ですが、どういう目的でプレゼンスライドを作るのか、どういうシチュエーションでクライアントはスライド見せるのかなどの基本的な情報をしっかりとチームで共有できるようにしています。

2つ目が、社内のプロデザイナーチームからのフィードバックを何度も受けさせることです。具体的には、スターレイティングとテキストベースで細かいフィードバックを受けさせ、社内で共有しています。このように社内で案件を何度か回らせる仕組みを作っています。


Q6. どのくらいのクラアントをお持ちなのでしょうか。
クライアント数は300、プロジェクト数は1,200に上っています。毎週定期的に使ってくれるヘビーユーザー数は50人です。月間では10~40%の範囲で案件数が伸びています。


Q7.  広告チラシなど、 スライドとは違うビジネス資料も作成していることを聞いたのですがほんとうなのでしょうか。
広告チラシやインフォグラフィックなどのデザイン案件を実験的に持っているのは事実です。大きな理由としては、私達はセールス・マーケティングに関わる全ての資料を将来的にデザインできるようなサービスにしたいからです。なので今後、プレゼンスライドのデザイン以外の案件も増やしていこうと思っています。


Q8. どのような案件を多く扱っているのでしょうか
大勢の前での講演(コンファレンス)や、中小規模の講義向けの案件が多いです。その他の場合は、ビジネス向けのプレゼン案件やデジタル本であるE-Bookのデザイン案件がほとんどです。基本的にはクラアントの多くがワード形式でコンセプトなどを私達に送ってきて、それを 形にするというプロセスで案件を回している状況です。


Q9. スライドを制作する際の平均コストはいくらなのでしょうか。
15スライドを作る場合、約400ドルのコストがかかっています。


Q10. 工数はどの程度かかるのでしょうか。
初めてSketch deck を利用される場合、まず最初の24時間以内にプレゼンスライド全てに共通する背景スタイルを制作します。クラアントがその背景スタイルを確認し、納得頂いた後、追加で24時間いただき、全てのスライドページのデザインを行い、納品します。つまり全てのスライドを形にするまで最大で2日いただきます。最後に、細かい修正がある場合はさらに24時間いただき全スライドを完璧なものに仕上げます。

もしいままでにSketchDeckをご利用いただいていた場合、背景スタイルのデータがこちらにあるので、24時間以内に全スライドを作成し納品します。また、エクスプレスサービスを利用していただいた場合は12時間以内に制作します。


Q11. Y Combinatorに入るまでの経緯を教えて頂けないでしょうか。
SketchDeckの前に他のスタートアップをやっていたんですが、コファウンダーとの仲違いで会社を退いたんです。なかなかいいビジネスだと思っていたので、すごく残念に思っていました。その後すぐ、昨年末にSketchDeckを創業しました。そしてこのビジネスを始めてから2週間ほど経った頃に、Y Combinatorにアプライして、アイデア自体は気に入ってもらえたので、アプライして3週間後には面接を受けていました。最低限の機能しかないプロダクトでしたが合格し、Y Combinatorのプラグラムに参加していました。


Q12. Y Combinatorから得たモノの中で最も役立ったものはなんだったのでしょうか。
2つあります。1つがプログラムのスピード感です。3カ月のプラグラムはものすごいスピードで進みます。同時に自分のビジネスだけに圧倒的なスピード感を持って集中できる環境を与えられたことがすごく役立ちました。結果的に、毎週のユーザー数の増加率もプログラムが終わるまで高い率で伸びました。

2つ目がネットワークです。Y Combinatorに関わるスタートアップ及びシリコンバレーエリアの著名なテック系大企業と関われたことは今でも役に立っています。


Q13. Y Combinatorで得たアドバイスで印象的だったものはなんでしょうか。
SketchDeckにしか言えないかもしれませんが、「スケールすることをするな」、というアドバイスが最も印象的でした。多くのスタートアップが数千万ドル、数億ドルの収益を得ようと、スケールすることだけを考えますが、メンターの人からは「今はスケールすることは考えるな」と言われました。この言葉の裏には、いまは収益を上げるよりも、まずはスモールスタートで着実に案件をこなせという意味があり、ものすごく心に刺さりました。もちろんサービスの質を高めた結果としてすぐにユーザー数の増加が求められますが。


Q14. Y Combinatorのプログラムの中でアイデアをピボット(方向転換)したことはありますか。
あります。プログラム参加の当初は、ユーザーがiPadにスケッチしたスライドデザインを基に、スライドを自動的に作成させるというものでした。ですが、プログラム最初の週にメンターのKevin Hale氏に会った時にたくさんフィードバックをいただいてピボットしました。例えば、「何人のユーザーが実際にプレゼンのためにこのサービスを使っているのか。」と聞かれた時に「0ユーザー」と答えざるを得ませんでした。これがアイデアをピボットするきっかけでした。それからは自動化及び特別なアルゴリズム機能を持つソフトウェアを作るのではなく、実際にデザイナーを雇い、デザイナーとプレゼンテーションを繋ぐようなサービスを提供しようと考え、今に至ります。


Q15. 日本人起業家がY Combinatorに入るためのアドバイスをいただけないでしょうか。
アドバイスとして、Y Combinatorがスタートアップに求めている点を3つお教えします。1つ目がY Combinatorは優秀なファウンダーを求めている点です。Y Combinatorの考えとして、ファウンダーがものすごく魅力的であれば、アイデアがどんなにダメなものであろうとピボットしてしまえばビジネスは続けられるという前提を持っていると思われます。逆にアイデアがよくても、ファウンダーに魅力がなければ、チームは集まらず、育たずにビジネス自体ができなくなってしまいますよね。

2つ目が、成長できるビジネスを求めている点です。これは当たり前かもしれませんが、上手くいかない時期があったとしても、しっかりとアイデアをピボットして、方向転換して成長できるビジネスをY Combinatorは探しています。実際に彼らは毎週のユーザー数の増減を事細かにチェックしていますから、そこで成長率は見られます。

3つ目は、自社のビジネスのいる市場や、その市場にいるユーザーに関しての情報を誰よりも多く持っているような人を求めています。言い換えれば、どのような市場で、どのようなユーザーが、どのような問題を持っているかなど、しっかりとした問題提起を出来る人を探していると思われます。


Q16. プレゼンスライド作成サービスで思い浮かぶのはPreziなどですが、他のサービスとの大きな違いはなんでしょうか。
他社サービスのほとんどがソフトウェアですが、私達は実際のデザイナーを雇ってサービス提供している点が大きな違いです。やはりデザイナーは専門的なトレーニングも受けているため、より質の高いスライドを作成、提供できると考えています。


Q17. SketchDeckの デザインチームに関して教えて頂けますか。
チームは大きく分けて3つあります。1つがプロダクションチームです。このチームはスライドのコンテンツ整理や基本的なデザインを担当します。

2つ目がデザインチームです。このチームが担当するのはより細かいデザインです。言い換えればどのようにコンテンツを見せるのかというビジュアル面を主に担当します。

3つ目がクリエイティブ・ディレクターです。こちらではプレゼンをどうやって演出するのか、どうやってコンテンツを届けるのかなど、プレゼンに関する提案や新しい、かつ効果的なプレゼン方法をアドバイスしています。


Q18. デザインに関して、どのような 考えを核としてサービス提供しているのでしょうか。
4つあります。1つ目が、シンプルでクリーンなデザインが、私達が持つ核となるデザインに対しての考え方です。

2つ目がプレゼンテーションがコミュニケーションツールであることを忘れないことです。言い換えればユニークなデザインを披露する場所ではないことを心に留めておくことです。

3つ目がビジネス感覚を常に持ってスライドを作成することです。スライドを作成する目的は、クライアントが製品・サービスを売り出すためであることがほとんどです。このような、ビジネスサイドの目的を考えることが大事だと考えています。

最後が、既存のスタイルに従うということです。多くのクライアントが自社のブランドやロゴコンセプトなどを持っています。デザイナーはクリエイティブな面が求められる一方、既存のスタイルを壊さないという面も大切にしています。


Q19. デザインチームを経営していく上で困難なことはなんでしょうか。
デザイナーが持つ考え方と、ビジネスサイドが持つ考え方が違うことが課題です。そのため経営陣がその間を取り持つことでバランスを保とうと努力していますね。例えば、デザイナーが提案することは、クライアントにとっては普通でない、ユニークすぎる事が多いです。このようなミスマッチをなくすチーム運営が経営者として難しいですね。


Q20. SketchDeckが目指すもの、ビジョンはなんでしょうか。
私達のビジョンは、世界で一番大きなデザインチームとなることです。特にビジネス上ではデザイン面がおろそかにされ、ひどいデザインというものが多く見受けられます。その1つとして挙げられるのがスライドのデザインです。このようなビジネス上におけるデザインの問題を解決するのが私達のやろうとしていることです。


SketchDeckのページはこちらから

24時間以内に最高のスライドを作成する、プレゼン資料のアウトソーシングSketchDeck - 創業者Christopher Finneralへのインタビュー




ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、SketchDeckの創業者であるChristopher Finneral氏にインタビューを行った。SketchDeckは、プレゼンスライドのデザインをアウトソーシングできるサービスだ。Y Combinator出身のチームで、2014年度のウィンタープログラムに参加していた注目のスタートアップである。Y Combinatorの代表であるSam Altman氏がスタンフォードの講義"How to start a startup"で使用していたスライドはSketchDeckを通じて作成されたもの。

洗練されたデザインのビジネス資料を短時間で提供する



Q1. まず、SketchDeckとはどういうサービスなのかご紹介をお願いします。
SketchDeckは一言で言うと、オンデマンドデザインサービスです。サービス内容としては、ビジネス資料、特にプレゼンスライドのデザインを専門に扱っています。クライアントはプレゼン内容やコンセプトを私達に送ってもらうだけで、私達がデザインしたスライドを24時間以内に手に入れることができます。


Q2. SketchDeckのアイデアはどのような経緯で思いついたのでしょうか。
スタートアップを始める前、McKinsey(マッキンゼー)に勤めていました。McKinseyでは何千ものプレゼンスライドが作られています。その際、スライド作成に膨大な労力がかかるため、McKinseyにはVGI(ビジュアル・グラフィック・インディア)というスライドなどのビジネス資料作成のための外注サービスがありました。VGIはインドに資料作成の専門家を1,000人以上抱えており、いわば資料作成専門の会社です。McKinseyの社員は手描きのスケッチをVGIに送れば、その日の内にプレゼンスライドが送られてくるという画期的なサービスでした。当時、このようなスライド作成の専門家はMcKinseyを含め、ビジネス向けにしか提供されておらず、これを一般の人向けにも提供したいという思いが最初のきっかけです。


Q3. デザイナーとしての経歴はおありなのでしょうか。
デザイナーとしての正式な経験はありません。しかし、SketchDeckのサービスは、デザインに革命を起こすというよりは、プレゼンスライドを作成及びデザインする手間がかかるという問題を解決するために立ち上げたので、デザインのタスクはあまり持ちません。もちろん勉強はしていますし、最低限のデザインの知識は持ち合わせていますが、コファウンダーがデザイナーですので、彼にデザインタスクは任せています。


Q4. 何人のデザイナーを雇っているのでしょうか。
現在50人のデザイナーを雇っており、大半は北米にいますが、南米、インド、フィリピンにもいます。Craigslist, Odeskなどの掲示板サイトを通じてデザイナーを雇用していました。

しかし今はデザイナー仲間からの紹介ベースで優秀なデザイナーを雇っています。理由としては、掲示板サイトやフリーランス募集サイトなどでデザイナーを雇っても、週一回のペースなどでしか働いてくれず、効率的でないからです。一方、紹介ベースでデザイナーを雇った場合は、平日は毎日コミットしてくれて効率的に案件が回っていくので、仲間からの紹介にシフトしました。


Q5. すばらしいプレゼンスライドを作るためになにかチーム運営で気をつけている点はありますか。
2つあります。1つがクライアントからの要望をしっかりと聞くという点です。当たり前の話ですが、どういう目的でプレゼンスライドを作るのか、どういうシチュエーションでクライアントはスライド見せるのかなどの基本的な情報をしっかりとチームで共有できるようにしています。

2つ目が、社内のプロデザイナーチームからのフィードバックを何度も受けさせることです。具体的には、スターレイティングとテキストベースで細かいフィードバックを受けさせ、社内で共有しています。このように社内で案件を何度か回らせる仕組みを作っています。


Q6. どのくらいのクラアントをお持ちなのでしょうか。
クライアント数は300、プロジェクト数は1,200に上っています。毎週定期的に使ってくれるヘビーユーザー数は50人です。月間では10~40%の範囲で案件数が伸びています。


Q7.  広告チラシなど、 スライドとは違うビジネス資料も作成していることを聞いたのですがほんとうなのでしょうか。
広告チラシやインフォグラフィックなどのデザイン案件を実験的に持っているのは事実です。大きな理由としては、私達はセールス・マーケティングに関わる全ての資料を将来的にデザインできるようなサービスにしたいからです。なので今後、プレゼンスライドのデザイン以外の案件も増やしていこうと思っています。


Q8. どのような案件を多く扱っているのでしょうか
大勢の前での講演(コンファレンス)や、中小規模の講義向けの案件が多いです。その他の場合は、ビジネス向けのプレゼン案件やデジタル本であるE-Bookのデザイン案件がほとんどです。基本的にはクラアントの多くがワード形式でコンセプトなどを私達に送ってきて、それを 形にするというプロセスで案件を回している状況です。


Q9. スライドを制作する際の平均コストはいくらなのでしょうか。
15スライドを作る場合、約400ドルのコストがかかっています。


Q10. 工数はどの程度かかるのでしょうか。
初めてSketch deck を利用される場合、まず最初の24時間以内にプレゼンスライド全てに共通する背景スタイルを制作します。クラアントがその背景スタイルを確認し、納得頂いた後、追加で24時間いただき、全てのスライドページのデザインを行い、納品します。つまり全てのスライドを形にするまで最大で2日いただきます。最後に、細かい修正がある場合はさらに24時間いただき全スライドを完璧なものに仕上げます。

もしいままでにSketchDeckをご利用いただいていた場合、背景スタイルのデータがこちらにあるので、24時間以内に全スライドを作成し納品します。また、エクスプレスサービスを利用していただいた場合は12時間以内に制作します。


Q11. Y Combinatorに入るまでの経緯を教えて頂けないでしょうか。
SketchDeckの前に他のスタートアップをやっていたんですが、コファウンダーとの仲違いで会社を退いたんです。なかなかいいビジネスだと思っていたので、すごく残念に思っていました。その後すぐ、昨年末にSketchDeckを創業しました。そしてこのビジネスを始めてから2週間ほど経った頃に、Y Combinatorにアプライして、アイデア自体は気に入ってもらえたので、アプライして3週間後には面接を受けていました。最低限の機能しかないプロダクトでしたが合格し、Y Combinatorのプラグラムに参加していました。


Q12. Y Combinatorから得たモノの中で最も役立ったものはなんだったのでしょうか。
2つあります。1つがプログラムのスピード感です。3カ月のプラグラムはものすごいスピードで進みます。同時に自分のビジネスだけに圧倒的なスピード感を持って集中できる環境を与えられたことがすごく役立ちました。結果的に、毎週のユーザー数の増加率もプログラムが終わるまで高い率で伸びました。

2つ目がネットワークです。Y Combinatorに関わるスタートアップ及びシリコンバレーエリアの著名なテック系大企業と関われたことは今でも役に立っています。


Q13. Y Combinatorで得たアドバイスで印象的だったものはなんでしょうか。
SketchDeckにしか言えないかもしれませんが、「スケールすることをするな」、というアドバイスが最も印象的でした。多くのスタートアップが数千万ドル、数億ドルの収益を得ようと、スケールすることだけを考えますが、メンターの人からは「今はスケールすることは考えるな」と言われました。この言葉の裏には、いまは収益を上げるよりも、まずはスモールスタートで着実に案件をこなせという意味があり、ものすごく心に刺さりました。もちろんサービスの質を高めた結果としてすぐにユーザー数の増加が求められますが。


Q14. Y Combinatorのプログラムの中でアイデアをピボット(方向転換)したことはありますか。
あります。プログラム参加の当初は、ユーザーがiPadにスケッチしたスライドデザインを基に、スライドを自動的に作成させるというものでした。ですが、プログラム最初の週にメンターのKevin Hale氏に会った時にたくさんフィードバックをいただいてピボットしました。例えば、「何人のユーザーが実際にプレゼンのためにこのサービスを使っているのか。」と聞かれた時に「0ユーザー」と答えざるを得ませんでした。これがアイデアをピボットするきっかけでした。それからは自動化及び特別なアルゴリズム機能を持つソフトウェアを作るのではなく、実際にデザイナーを雇い、デザイナーとプレゼンテーションを繋ぐようなサービスを提供しようと考え、今に至ります。


Q15. 日本人起業家がY Combinatorに入るためのアドバイスをいただけないでしょうか。
アドバイスとして、Y Combinatorがスタートアップに求めている点を3つお教えします。1つ目がY Combinatorは優秀なファウンダーを求めている点です。Y Combinatorの考えとして、ファウンダーがものすごく魅力的であれば、アイデアがどんなにダメなものであろうとピボットしてしまえばビジネスは続けられるという前提を持っていると思われます。逆にアイデアがよくても、ファウンダーに魅力がなければ、チームは集まらず、育たずにビジネス自体ができなくなってしまいますよね。

2つ目が、成長できるビジネスを求めている点です。これは当たり前かもしれませんが、上手くいかない時期があったとしても、しっかりとアイデアをピボットして、方向転換して成長できるビジネスをY Combinatorは探しています。実際に彼らは毎週のユーザー数の増減を事細かにチェックしていますから、そこで成長率は見られます。

3つ目は、自社のビジネスのいる市場や、その市場にいるユーザーに関しての情報を誰よりも多く持っているような人を求めています。言い換えれば、どのような市場で、どのようなユーザーが、どのような問題を持っているかなど、しっかりとした問題提起を出来る人を探していると思われます。


Q16. プレゼンスライド作成サービスで思い浮かぶのはPreziなどですが、他のサービスとの大きな違いはなんでしょうか。
他社サービスのほとんどがソフトウェアですが、私達は実際のデザイナーを雇ってサービス提供している点が大きな違いです。やはりデザイナーは専門的なトレーニングも受けているため、より質の高いスライドを作成、提供できると考えています。


Q17. SketchDeckの デザインチームに関して教えて頂けますか。
チームは大きく分けて3つあります。1つがプロダクションチームです。このチームはスライドのコンテンツ整理や基本的なデザインを担当します。

2つ目がデザインチームです。このチームが担当するのはより細かいデザインです。言い換えればどのようにコンテンツを見せるのかというビジュアル面を主に担当します。

3つ目がクリエイティブ・ディレクターです。こちらではプレゼンをどうやって演出するのか、どうやってコンテンツを届けるのかなど、プレゼンに関する提案や新しい、かつ効果的なプレゼン方法をアドバイスしています。


Q18. デザインに関して、どのような 考えを核としてサービス提供しているのでしょうか。
4つあります。1つ目が、シンプルでクリーンなデザインが、私達が持つ核となるデザインに対しての考え方です。

2つ目がプレゼンテーションがコミュニケーションツールであることを忘れないことです。言い換えればユニークなデザインを披露する場所ではないことを心に留めておくことです。

3つ目がビジネス感覚を常に持ってスライドを作成することです。スライドを作成する目的は、クライアントが製品・サービスを売り出すためであることがほとんどです。このような、ビジネスサイドの目的を考えることが大事だと考えています。

最後が、既存のスタイルに従うということです。多くのクライアントが自社のブランドやロゴコンセプトなどを持っています。デザイナーはクリエイティブな面が求められる一方、既存のスタイルを壊さないという面も大切にしています。


Q19. デザインチームを経営していく上で困難なことはなんでしょうか。
デザイナーが持つ考え方と、ビジネスサイドが持つ考え方が違うことが課題です。そのため経営陣がその間を取り持つことでバランスを保とうと努力していますね。例えば、デザイナーが提案することは、クライアントにとっては普通でない、ユニークすぎる事が多いです。このようなミスマッチをなくすチーム運営が経営者として難しいですね。


Q20. SketchDeckが目指すもの、ビジョンはなんでしょうか。
私達のビジョンは、世界で一番大きなデザインチームとなることです。特にビジネス上ではデザイン面がおろそかにされ、ひどいデザインというものが多く見受けられます。その1つとして挙げられるのがスライドのデザインです。このようなビジネス上におけるデザインの問題を解決するのが私達のやろうとしていることです。


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