アプリで注文、待ち時間ゼロ!元IT起業家の作るチーズサンド店「The Melt」に行ってみた!




日本はGW。どこにいっても混んでいるし、休もうにも飲食店も長蛇の列にうんざり…という方も多いのではないだろうか。
今回はそんな状況をスマートに解決する、Tech×Foodの融合として話題のグリルチーズサンド店「The Melt」に行ってみた。

終盤ではサンフランシスコで進みつつある飲食業界のイノベーションについてもふれているので、「食」の未来に関心のある方はぜひ最後まで読んでほしい。

IT起業家×グリルチーズサンド!?

The Meltの創業者であるJonathan Kaplanは元IT起業家で、Flip Video Cameraという携帯型ビデオカメラを作り、2009年にシスコシステムズに売却している。
(このビデオカメラは携帯型ビデオカメラとして人気で、2010年には米国内ビデオカメラ部門の売上げトップとなったが、シスコシステムズのコンシューマー向け事業不振による削減のために2011年に事業閉鎖された)

彼は2011年の米テックメディアAll Things Digitalが主催するカンファレンスで突然「Flipped(反転)カメラ」から「Flipped(反転)グリルチーズサンド」にかじを切ると発表した。驚きの転身だが、投資家には超名門VCのSequoia Capitalが入っていた。(後にSV Angelも追加)

彼はThe Meltを「次世代のファスト・カジュアルレストラン」だと言っている。
テック業界出身らしく、スタッフが最小限の労力で適切にパンやチーズを焼けるようなシステムづくりや、顧客からのオーダーをwebやスマートフォンアプリで受けられるといったところに工夫が見られる。

店舗は現在ベイエリアやロサンゼルスに16店舗を構える他、バスに寄る出張も承っている。
サンフランシスコのダウンタウンにも複数店舗がある。
店舗の近くに行く機会があったので、早速使ってみた。

来店前にアプリでオーダー完了


早速起動してみると美味しそうなチーズサンドが…

こちらトップ画面。
「ORDER NOW, PICK UP ANYWHERE」との通り、
店舗を選ぶのではなく、先にオーダーを準備し、近隣の店舗に着いたらQRコードを使ってオーダーするという仕組み。
チーズサンド自体は店舗に到着してから作り始めるので、できたて熱々のチーズサンドが食べられる!

一番定番らしい「The Classic」というメニューを選んでみた。
カスタマイズがいろいろと選べるようで、中には無料のものも

とりあえず無料のものは全部つけてみた。
海外だとオーダーの仕組みがわからず適当に注文してしまうことが多いが、
アプリだとゆっくり選べる上に仕組みもわかりやすいので便利だ。

つけあわせのポテトチップスとピクルスも無料!
一緒に飲み物もおすすめしてくれた。

合計金額を確認。

ここで、初回なのでアカウント作成が必要。
といってもFacebookログインがあるので簡単。
電話番号などを入力した。

クレジットカードを登録して・・

最後にEAT INかTAKE OUTを選び、終了。

バーコードが生成された!
あとはこれをお店でかざせばOK.

近くのお店を探すこともできる。
「GET DIRECTIONS」を選ぶとマップで道順を案内してもらえるようだ。
今回はMontgomery駅の近くの店舗が近かったので行ってみた。

「ピッ」で注文も会計も完了!

お店を発見。オレンジ色が目立ち、わかりやすい。

店に入ると、レジの横に赤く光るバーコード読み取りゾーンが。
ここに先ほどのバーコードをかざせば「ピッ」と読みとられて完了
店員さんが「OKだからできるまで座って待ってて」と教えてくれた。
クレジットカードも登録済みなので会計もなく、本当に一瞬。
現金を使わないというのは予想以上に簡単でスマートだった。
あとは出来上がりを待つだけ。
※行列しているときも、先にアプリでコードを作っている場合は列をスキップできるそう!これは嬉しい。

オーダーボードに、注文順にイニシャルが並んでいる。
ドリンクは30秒ほどですぐ名前を呼ばれた。

待ち人数や、それぞれの注文内容が見えるので、呼ばれる目安がなんとなく想像できる。

できあがりがこちら。
出来立てのチェダーチーズサンドはチーズがとろけて美味しかった。
(味が濃いめなのはアメリカ仕様…)

※店内の様子の動画が以下のリンクから見られる

テック業界→飲食店への転身がトレンド?

Tech業界やスタートアップと関係が深い飲食店は、The Melt以外にも複数存在する。
代表的ものでは、サードウェーブコーヒーと呼ばれるコーヒーショップ。
つい先日日本進出を発表したBlue Bottle Coffeeは、Google VenturesのKevin RoseやTwitter創業者のEvan Williamsらから投資をうけている。
また、同じくサードウェーブコーヒーの代表店Sightglass Coffeeも、Twitter共同創業者のJack Dorseyが投資していることで有名で、現在Jack Dorseyが手がけるSquareのテスト店舗としても使われていたという。

また、サンフランシスコではサードウェーブコーヒーと同様の流れがチョコレート業界にも起きつつある。
Wired Magazine・Wired.comの共同創業者であるJane MetcalfeやNASAでスペースシャトルを開発していたTimothy Childsらが創業したチョコレート店「TCHO" Technology meets Chocolate"を掲げ、無添加・高品質なチョコレートを販売する。
チョコレートの製造過程をiPhoneアプリから管理することができるというハイテクっぷりは、AppleのサイトでもiPhoneをビジネスに活用した例として紹介されている。
http://www.apple.com/iphone/business/profiles/tcho-chocolate/
また、最近ではソーシャルコンタクト管理サービスを創業しComcastに売却した経験のあるTodd MasonisとCameron RingがはじめたDandelion Chocolateも、品質の高いチョコレートを提供し、人気を博している。

イノベーティブな飲食店と投資家たちの見据える未来

飲食店にTech業界からの参入が増えることで、食事や飲食店のあり方といった日常に大きなイノベーションがもたらされることへの期待は大きい。
しかし一方で、飲食業界の失敗(撤退)率は他業界と比べると高く、リアル店舗の場合はwebサービスのような急激なスケールも難しい。
それでも優秀な人材や投資が集まりつつあるのは、「飲食」という行為が日常の中で重要な役割をしめる大きな市場であること、そしてイノベーションの余地が大量に残されていることからだと考えられる。

実際に筆者がサンフランシスコに来た実感として、ほぼ全てのレストランでベジタリアンやヴィーガン用のメニューを用意していることや、オーガニックな食材にこだわる店の多さ、カフェのお菓子ですらグルテンフリーのマフィンやクッキーが常に用意されていることに驚いた。
また、スターバックスでもメニューボードに全てのカロリーが表記されていたり、週末に開かれるファーマーズ・マーケットが大盛況だったりと、人々の健康志向のライフスタイルはサンフランシスコ全域で感じられる

このような環境の中にいると、いままで国民も不健康とは理解しながらアメリカ的な大量生産・大量消費に巻き込まれていた飲食業界で、ヘルシー志向・産地との人間的な関係を大切にする新しいスタイルの飲食店が注目されることはよく理解できる。
今後、アメリカの巨大な飲食業界に起きていくイノベーションが、ここサンフランシスコ発となることは間違いないだろう。


参考:
After Selling A Tech Startup For Millions Of Dollars, These Two Founders Decided To Start A Chocolate Company
テクノロジー×フード – THE MELTが提供する次世代のユーザーエクスペリエンス

投稿者:中澤理香(@r1ccha


アプリで注文、待ち時間ゼロ!元IT起業家の作るチーズサンド店「The Melt」に行ってみた!




日本はGW。どこにいっても混んでいるし、休もうにも飲食店も長蛇の列にうんざり…という方も多いのではないだろうか。
今回はそんな状況をスマートに解決する、Tech×Foodの融合として話題のグリルチーズサンド店「The Melt」に行ってみた。

終盤ではサンフランシスコで進みつつある飲食業界のイノベーションについてもふれているので、「食」の未来に関心のある方はぜひ最後まで読んでほしい。

IT起業家×グリルチーズサンド!?

The Meltの創業者であるJonathan Kaplanは元IT起業家で、Flip Video Cameraという携帯型ビデオカメラを作り、2009年にシスコシステムズに売却している。
(このビデオカメラは携帯型ビデオカメラとして人気で、2010年には米国内ビデオカメラ部門の売上げトップとなったが、シスコシステムズのコンシューマー向け事業不振による削減のために2011年に事業閉鎖された)

彼は2011年の米テックメディアAll Things Digitalが主催するカンファレンスで突然「Flipped(反転)カメラ」から「Flipped(反転)グリルチーズサンド」にかじを切ると発表した。驚きの転身だが、投資家には超名門VCのSequoia Capitalが入っていた。(後にSV Angelも追加)

彼はThe Meltを「次世代のファスト・カジュアルレストラン」だと言っている。
テック業界出身らしく、スタッフが最小限の労力で適切にパンやチーズを焼けるようなシステムづくりや、顧客からのオーダーをwebやスマートフォンアプリで受けられるといったところに工夫が見られる。

店舗は現在ベイエリアやロサンゼルスに16店舗を構える他、バスに寄る出張も承っている。
サンフランシスコのダウンタウンにも複数店舗がある。
店舗の近くに行く機会があったので、早速使ってみた。

来店前にアプリでオーダー完了


早速起動してみると美味しそうなチーズサンドが…

こちらトップ画面。
「ORDER NOW, PICK UP ANYWHERE」との通り、
店舗を選ぶのではなく、先にオーダーを準備し、近隣の店舗に着いたらQRコードを使ってオーダーするという仕組み。
チーズサンド自体は店舗に到着してから作り始めるので、できたて熱々のチーズサンドが食べられる!

一番定番らしい「The Classic」というメニューを選んでみた。
カスタマイズがいろいろと選べるようで、中には無料のものも

とりあえず無料のものは全部つけてみた。
海外だとオーダーの仕組みがわからず適当に注文してしまうことが多いが、
アプリだとゆっくり選べる上に仕組みもわかりやすいので便利だ。

つけあわせのポテトチップスとピクルスも無料!
一緒に飲み物もおすすめしてくれた。

合計金額を確認。

ここで、初回なのでアカウント作成が必要。
といってもFacebookログインがあるので簡単。
電話番号などを入力した。

クレジットカードを登録して・・

最後にEAT INかTAKE OUTを選び、終了。

バーコードが生成された!
あとはこれをお店でかざせばOK.

近くのお店を探すこともできる。
「GET DIRECTIONS」を選ぶとマップで道順を案内してもらえるようだ。
今回はMontgomery駅の近くの店舗が近かったので行ってみた。

「ピッ」で注文も会計も完了!

お店を発見。オレンジ色が目立ち、わかりやすい。

店に入ると、レジの横に赤く光るバーコード読み取りゾーンが。
ここに先ほどのバーコードをかざせば「ピッ」と読みとられて完了
店員さんが「OKだからできるまで座って待ってて」と教えてくれた。
クレジットカードも登録済みなので会計もなく、本当に一瞬。
現金を使わないというのは予想以上に簡単でスマートだった。
あとは出来上がりを待つだけ。
※行列しているときも、先にアプリでコードを作っている場合は列をスキップできるそう!これは嬉しい。

オーダーボードに、注文順にイニシャルが並んでいる。
ドリンクは30秒ほどですぐ名前を呼ばれた。

待ち人数や、それぞれの注文内容が見えるので、呼ばれる目安がなんとなく想像できる。

できあがりがこちら。
出来立てのチェダーチーズサンドはチーズがとろけて美味しかった。
(味が濃いめなのはアメリカ仕様…)

※店内の様子の動画が以下のリンクから見られる

テック業界→飲食店への転身がトレンド?

Tech業界やスタートアップと関係が深い飲食店は、The Melt以外にも複数存在する。
代表的ものでは、サードウェーブコーヒーと呼ばれるコーヒーショップ。
つい先日日本進出を発表したBlue Bottle Coffeeは、Google VenturesのKevin RoseやTwitter創業者のEvan Williamsらから投資をうけている。
また、同じくサードウェーブコーヒーの代表店Sightglass Coffeeも、Twitter共同創業者のJack Dorseyが投資していることで有名で、現在Jack Dorseyが手がけるSquareのテスト店舗としても使われていたという。

また、サンフランシスコではサードウェーブコーヒーと同様の流れがチョコレート業界にも起きつつある。
Wired Magazine・Wired.comの共同創業者であるJane MetcalfeやNASAでスペースシャトルを開発していたTimothy Childsらが創業したチョコレート店「TCHO" Technology meets Chocolate"を掲げ、無添加・高品質なチョコレートを販売する。
チョコレートの製造過程をiPhoneアプリから管理することができるというハイテクっぷりは、AppleのサイトでもiPhoneをビジネスに活用した例として紹介されている。
http://www.apple.com/iphone/business/profiles/tcho-chocolate/
また、最近ではソーシャルコンタクト管理サービスを創業しComcastに売却した経験のあるTodd MasonisとCameron RingがはじめたDandelion Chocolateも、品質の高いチョコレートを提供し、人気を博している。

イノベーティブな飲食店と投資家たちの見据える未来

飲食店にTech業界からの参入が増えることで、食事や飲食店のあり方といった日常に大きなイノベーションがもたらされることへの期待は大きい。
しかし一方で、飲食業界の失敗(撤退)率は他業界と比べると高く、リアル店舗の場合はwebサービスのような急激なスケールも難しい。
それでも優秀な人材や投資が集まりつつあるのは、「飲食」という行為が日常の中で重要な役割をしめる大きな市場であること、そしてイノベーションの余地が大量に残されていることからだと考えられる。

実際に筆者がサンフランシスコに来た実感として、ほぼ全てのレストランでベジタリアンやヴィーガン用のメニューを用意していることや、オーガニックな食材にこだわる店の多さ、カフェのお菓子ですらグルテンフリーのマフィンやクッキーが常に用意されていることに驚いた。
また、スターバックスでもメニューボードに全てのカロリーが表記されていたり、週末に開かれるファーマーズ・マーケットが大盛況だったりと、人々の健康志向のライフスタイルはサンフランシスコ全域で感じられる

このような環境の中にいると、いままで国民も不健康とは理解しながらアメリカ的な大量生産・大量消費に巻き込まれていた飲食業界で、ヘルシー志向・産地との人間的な関係を大切にする新しいスタイルの飲食店が注目されることはよく理解できる。
今後、アメリカの巨大な飲食業界に起きていくイノベーションが、ここサンフランシスコ発となることは間違いないだろう。


参考:
After Selling A Tech Startup For Millions Of Dollars, These Two Founders Decided To Start A Chocolate Company
テクノロジー×フード – THE MELTが提供する次世代のユーザーエクスペリエンス

投稿者:中澤理香(@r1ccha