TechWatchは、ベイエリアを拠点に活動する起業家へのインタビューを行い、現地から生の情報を日本へ発信していくブログメディアだ。その第一弾として、連続起業家であり投資家のニール(Neil Joglekar)氏にインタビューを行ったところ、「僕だけが、一方的にしゃべるのはつまらないから、読者から質問を募って、僕が毎週それに答える形のインタラクティブな連載にしようよ!」と彼から進んでこの連載を提案していただいた。
ニール氏は、著名なインキュベーションプログラムであるY Combinatorに採用されたReelSurferの創業者で、現在も新しいスタートアップを立ち上げ、ハードウェアの開発に勤しむ連続起業家だ。 また、Global Shaperとして世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)への参加経験もある。
今回、彼がこの企画を提案してくれた理由について、寄稿を通じて語っていただいた。以下、その内容だ。
建設的な破壊を受け入れる
『ソフトウェアが世界を飲み込んでいる』
- マーク・アンドリーセン(Marc Andreessen) ネットスケープ、アンドリーセン・ホロヴィッツ創業者
マーク・アンドリーセンがこの有名な言葉を口にしたのは、2011年のことだ。これほど正確な言葉が他にあるだろうか。僕はシリコンバレーの起業家として、多くの産業が小さなチームや夢想家、挑戦者により創造的に破壊されていく様子を見てきた。大きな組織は、より良い製品やプログラムを、設計、構築、実行するためにイノベーションやリーン思考を採用しなければならない。これは成長のために必要などという生ぬるいものではなく、生き残るために必要なマインドセットだ。
この創造的破壊は、マクロレベルだけではなく個人レベルでも感じられる。例えば、僕が高校生だった頃、プロム(年に1度のダンスパーティー)の前夜のことをまだよく覚えているよ。僕と父は、ダイニングのテーブルに紙の地図を広げ、翌日の運転経路をメモ用紙に手書きで記入していたんだ。でも今なら、何の準備もなくスマートフォンだけを持って夕方に家を出るだけでいいんだ。Google Mapsがあるからね。この10年にも満たない期間で、当時していた運転経路のプランニングや紙への書き写しなどの全てが、たったひとつのデバイスに取って代わってしまったんだ。
僕はスタンフォード大学を卒業してからずっと、大きな企業を創造的に破壊するという自分の使命に対して、失敗と成功という2つの役割を果たしてきた。なぜなら、建設的な破壊は、雇用を生み出し、人々の生活を豊かにし、生き方を変える可能性を持っていると強く信じているからね。
この流れは、シリコンバレーで実際に起きていることだし、その他の世界でも同様に起きていることだ。僕は幸運にも世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperとして、ローマやマドリード、東京などの都市を訪問し、その国の起業家と出会うことで、起業家に対する様々なエコシステムについて知ることができた。僕の意見では、起業家精神を育て、彼らを支援していくことが、万国共通で必要不可欠になっている。これは我々が次に取り組まなければならない極めて重要な課題なんだ。
僕とSatoru(筆者)が、カフェでシリコンバレーの洞察を日本のスタートアップコミュニティと共有する機会を最初に検討した時、僕はめちゃくちゃ興奮したよ。もちろん、日本のスタートアップのエコシステムの成長や、彼らの学びを手助けする機会に対して謙虚な姿勢で臨みたい。そして、この機会を一方的な対話ではなく、相互的なものにすることによって、僕も君たちの経験やストーリーから多くのことを学ぶ機会にしたいんだ。
今回、これを実現させるために、TechWatchの読者から質問を募り、毎週月曜日に僕がその質問に答える連載企画を始めてもらうことにしたよ。こちらの質問フォームか、僕のTwitterアカウント(@njcar)から質問をどんどん送って欲しい。この機会を通じて、共に学び、共に建設的な破壊と前向きな変化を受け入れていけることを楽しみにしているよ!- Neil Joglekar
質問募集中
シリコンバレーの動向や、Y Combinatorの内情、ニール氏個人に関してなど、幅広く質問を募集している。現地の連続起業家に、質問できるこの機会を多くの読者に活用していただければ嬉しい。
投稿者:@satoruitter