卒業生はFacebook、Dropbox、ハーバードへ!プログラミング講座MakeGamesWith.Us創業者Jeremyへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、高校生や大学生向けに2〜3ヶ月程度の短期プログラミング講座を提供しているMakeGamesWith.Usの創業者Jeremy Rossmann氏(写真右)にインタビューを行った。※彼らは著名インキュベーターY Combinatorの卒業生。


 MakeGamesWith.Usが、通常のプログラミング講座と違うのは、受講者自身のプロダクトを完成させて、リリースすることが講座のゴールである点だ。最終日にデモデイが設けられており、生徒や先生はもちろん、FacebookやAppleといった有名企業、またAndreessen Horowitzや500 Startupsといった著名キャピタリストの前で、自身のプロダクトをプレゼンする。このプログラムを卒業した生徒は、FacebookやDropbox、Squareなどの有名企業へ就職、またハーバード大学へ進学などを決めているケースも少なくないという。

プロダクトをリリースさせることがゴール


聞き手(以下S):MakeGamesWith.Usのビジネス、またブートキャンプについて教えてください。
Jeremy(以下J):私たちは、高校生や大学生にどのようにiPhoneでゲームを開発するかを教えているんだ。方法は3種類あるんだ。1つは、オンラインカリキュラム。2つ目はカリキュラムを、MITやカーネギーメロン、UCバークレーなどのアメリカの大学に提供。3つ目は、サマーアカデミーと題して自分たちでクラスを開講している。この夏でサマーアカデミーは3回目になるね。全てのカリキュラムのゴールは、参加者全員がカリキュラムを終了する際に、AppStoreにゲームをリリースすることなんだ。そして、ミッションは全ての若い学生が自分でプロダクトをリリースできる様になることなんだ。

多くの人がプログラミングを勉強しようとするけれど、「勉強」では上達しない。大事なことは、作りたいものがある過程で、実践を繰り返すことなんだ。
サマーアカデミーが他の教育機関と異なるのは、みんながそれぞれにオリジナルなプロダクトを作り、それを実際にリリースするところにある。そして、時にそれがコンピューターサイエンスにアプライできる事の証明になったりするんだ。このプログラミは、高校生の後半か早い段階の大学生を中心に、もしくはそれ以下の年齢の人を対象にしている。こないだは13歳の人も参加したよ。めちゃくちゃスマートだった。また実際には、それよりも歳を取った人も参加しているよ。25歳〜30歳の人だね。なぜなら、彼らは不幸にも、ソフトウェアプログラマーとして何年間も働いていながら、未だ実際にプロダクトをリリースした経験がないからだ。なので、25歳〜30歳の人に対しても、このプログラムはすごく価値があるんだ。彼らが未だに経験した事の無い、初めての自分のプロダクトをリリースする経験を提供する事ができるからね。


S:つまり、年齢を問わず受け入れているのですか?
J:下限は13歳だよ。基本的に上限は設けていなくて、どんな年齢も受け入れる事は可能だ。ただ、実際のところ、大抵の参加者は16〜22歳だね。


S:どれくらいの頻度でブートキャンプを開催しているのですか?
J:今は毎年夏に一度だけ開催されている。なぜなら、その時期はアメリカの学生が夏休み期間に入っているからね。僕たちは、夏以外にも開催する機会をずっと伺っているけど、現状としては毎年6〜8月にかけての開催になっている。将来的には12月〜1月にかけてオーストラリアの学生向けに開催したいと考えているんだ。なぜなら、オーストラリア人の学生は、夏休みの時期がアメリアとまったく逆だからね。南半球に位置するために、夏休みが12〜1月にかけて存在するんだ。だから、アメリカで6〜8月、オーストラリア向けに12〜1月にかけて実施しようと思う。

最終的にはオンラインコースを立ち上げて、一年中開催できる様にしたいと考えている。また、デザインコースも始めようとしているよ。これはすぐに始める予定だ。2014年9月〜2015年の9月に開講したいな。これは1年間のプログラムになる。高校を卒業した生徒を対象にこの時期を設定したよ。アメリカでは、入学が決まった生徒が実際に入学するまでに1年間フリーな時間を作る事ができる。


S:ギャップイヤーというやつですね。
J:そうだね。僕たちはギャップイヤーのプログラムを作りたいと考えている。
もし私たちがそれを実現できれば、1年間でトップ大学4年間分の教育を提供できる自信があるよ。僕たちはビジネスの世界に面白い取り組みを仕掛けることができると思う。ギャップイヤープログラムの1年間で力をつけ、大学に行かずに直接プロフェッショナルの世界で仕事ができる人材を生み出すんだ。僕たちはそれが可能であると信じているよ。

もちろんすぐには無理かもしれないが、数年後にはMITやスタンフォード、ハーバードに行く代わりに僕たちのプログラムに参加すれば、十分ビジネスの世界で戦っていく事ができるようになると思う。なぜなら、4年間でゆっくり学ぶ大学の教育よりも、明らかに実用的で価値のある教育を僕たちが提供できるからだ。



プログラミング教育に欠けているのは、プロダクトを作る意識


S:いつこのビジネスをスタートさせたのですか?また、どのようにこのアイディアを思いついたのですか?
J:
僕とアシューで、2年半前にこのビジネスを立ち上げた。彼とは高校時代の同級生で、コンピューターサイエンスのクラスで出会ったんだ。起業はしていなかったし、どのように会社を立ち上げるかも知らなかったよ。その時、アシューがiPhoneゲームを作って、$3500も儲けたんだ。まだ高校生だよ。女の子も「わーお」って言ってた(笑)。翌年、 自分もiPhoneゲームを作り、AppStoreでフューチャーされるという出来事があったんだ。トップ画面で1週間程度ね。それは、良いデザインとして注目されたけどお金にはならなかった。

アシューがたくさんのお金を儲け、僕はAppleに取り上げられ、名声を得る事が出来た。そこで、周りの友人(プログラマー)が「それ、すごくかっけえよ!」と僕らに触発され、彼らもiPhoneゲームを作りたくなったんだ。そして、彼らは約束した。「この夏が終わるまでにiphoneゲームを作る!」とね。でも誰もできなかった。翌年、「4〜6週間あるからiPhoneゲーム作るよ」と言うのだけれど、それでも誰もできなかった。0人だよ!あんなに多くの人が作りたいと言っていたのに、結果は0人。なぜだと不思議に思うよね。なぜなら、アメリカにはアプリ開発について適切な方法で、適切なレベルを教えてくれる場所がどこにもないからなんだ。高校生には、高校生向けのカリキュラムがあって、高度なプログラミングを学ぶのは不可能だったんだ。

もし、僕らが高校卒業後から大学入学前までの間の学生に対してプログラムを作るならば、プログラミングの基礎から、iPhoneゲームの作り方まで、教える。しかも、彼ら自信がゲームの消費者だから、素晴らしいものが作れるんだ。そのような考えから、MakeGamesWith.Usを立ち上げたよ。その後、アシューはUCLA、 僕はMITに進学したんだけど、夏に再開して、このアイディアをフルタイムの仕事として立ち上げることに決めたんだ。すぐに休学の手続きをしたら、両親がとても困惑したよ。そして、Y Combinator(著名なインキュベーションプログラム)に応募し、採択。晴れてこのビジネスをスタートさせたんだ。


S:YCに応募した時は大学生だったということですね?
J:一時的に休学していたんだ。なぜなら親が反対していたからね。
僕たちはこのアイディアにめちゃくちゃ自信があったけど、親はYCに落ちたら、大学に戻って欲しかったみたいだった。もし大学に戻っていたら僕は大学を卒業するところだった。同様に、アシューも今年で卒業の予定だった。つまり僕は22歳で、アシューは21歳なんだよ。


S:若いですね!退学は考えないのですか?
J:そうだね。なぜならMITは僕らのカリキュラムを使ってくれているからね。僕らが大学にいる間に、もっと多くの授業を取り込んでもらおうと思って退学はしなかったよ。
親は、「大学に戻るんだな?卒業証書は貰うんだぞ!」って言ったけど僕がもう、大学で教えてるんだからね!(笑)

そういう訳で僕たちはスクールを開始し、改めて気づいたんだ。大学生を対象としたプログラミング教室やブートキャンプで、プロダクトを作ることを目的にしたものが無さ過ぎると。ほとんどの授業は知識にフォーカスしていて、試験や小さな宿題を出して終わりなんだ。教育を提供する側が内容をデザインするばかりで、学生や生徒たちがデザインをする事はない。もし、作りたいものがあれば、卒業後にどうぞというスタンスなんだよね。
それも良いんだけど、自分が作りたいものを講義内で作った方が学びがすごく多いんだ。

2回目のサマーキャンプを終えたあたりかな、卒業生が戻ってきて僕らにこう言ったんだ。「自分でiPhoneゲームを作った事はホントに価値があった。」と。そして、大学生の参加者の多くはFacebookやSquareやDropboxに行った。また、高校生は、ハーバードに入学できた例もある。他の大学生で、「
この2ヶ月間のプログラムは、大学での3年間よりも遥かに価値がある」と言ってくれた人もいたね。そこで、アプリケーションを作ることを目的とした教育が、どれだけ価値のあるものかを知ったよ。

多くのプログラマーは理論だけを理解しているけど、インタラクティブにプロダクトを作った経験がない。僕たちは、新しい物を作る事や、他人に公開する事を強制する事で、みんながたくさん練習するような環境を提供している。それにより、より高いレベルへと到達する事ができ、かつその過程でプロダクトを作る事の大切さを学ぶ事ができるんだ。


S:ゲームにフォーカスしているのはとても面白い取り組みだと思います。
J:来年からは、ゲーム以外のプロダクトにフォーカスしていこうと思う。ゲームはデザインやプログラミング、UI、音声、アルゴリズムについて学ぶにはとても良かった。多くの事を同時に学ぶには丁度いいんだ。でも、必ずしも多くの人がゲーム業界に行きたいわけではないんだ。もちろん、ゲーム業界は大きくていい会社もいっぱいあるけど、実際多くの人はスタートアップや他のソフトウェア業界に進みたいんだ。

ゲームはすごく価値のあるものだし、多くの事を学ぶのに非常に有用なんだけど、 大抵の人はWebブラウザで動くサービスやアプリを作りたがってるってことに気付いたんだ。だから、いつかはゲーム以外の分野も対象に加えて、 Makewith.usという会社名にかえようと考えてるよ。


S:今までで何人の学生がブートキャンプに参加しているのですか?
J:最初の夏が30人、次が75人だ。また、毎月100人以上の生徒が僕らの授業を公開しているホームページを訪れている。


S:多くの参加者は米国の学生ですか?
J:ほとんどは米国国内の学生だね。たまに外国からも来るよ。インド人とかインドネシ人とか。


S:日本はいますか?
J:まだいないよ。これから来てくれると嬉しいね。僕は日本にいった事があるから少し友達がいるし、日本の文化にはとても強い尊敬の念を抱いているよ。日本には独特のエンジニアリングの文化だったりゲームの文化があるからね。日本は一番ゲームのデザインが優れている国だし、素晴らしいゲームクリエイターが日本にはたくさんいるよ。


S:是非、日本の学生にこのプログラムに参加していただきたいです。
J:そうだね。一番の問題は言語の問題だと思う。インドだったりインドネシアの人は英語が話せるから参加しやすいよね。そう考えるとやっぱり英語を話せる日本人からアプローチしていくべきなんだろうね。そういう人はこのプログラムをすごく気に入ってくれると思うよ。


S:どの大学がこのプログラムを採用しているのですか?
J:MIT、UCバークレー、ボストン大学などだね。今年の夏はカーネギーメロン大学も採用してくれたよ。もちろん他にも多くの大学に採用されているけど、日本人が知っているのはこの辺かな(笑)。 あとはい高校にも採用してもらっているよ。
 

また、1時間程度小さなレッスンもオンラインで公開しているんだ。内容は、iPhoneアプリに関する基礎のレッスンなんだけど、ホームページ上で90万回以上も再生されたんだよ。

今回、3回目となるサマーキャンプは75以上の人に参加してもらえるそうだ。でも受講したくてもサンフランシスコに来れないって人は結構多い。だから、ブートキャンプの授業を録画して、オンラインで授業に参加できるようにしようと考えているんだ。みんなが飛行機で移動する事なく同じ授業を自由に受けれたら最高。そしたら日本からの受講者もどんどん増えのではないかな? 


S:最後に、日本の読者に何かメッセージをください。
J:この過去10年間で、歴史上で考えられなかったような変化が起こっている。学歴や国籍、住んでる地域で評価されるのではなく、何が作れるかで評価されるようなりつつある。その理由はAppStoreが誕生したからだ。AppStoreは世界をすごく近いものにした。

10か20年前では、もしかしたら偉大なクリエイターは自信の能力を、AppStoreがなかったがために証明する事が出来なかったかもしれない。会社は、
どこの大学を出たとか、どこの出身だとか、そのような指標をもとにその人間を評価するしかなかったんだ。でも、今は自分のアプリやホームページ上で何をつくれるかを証明できるんだ。リアルの人間があなたのつくったものに感謝しているという事実をすぐに証明できる。あなたのプロダクトを世に出たことで、世の中が少し改善されているという事実がね。

もうじき、あなたは、誰かに尋ねる必要がなくなる。あなたの出身校は有名ですか?どこの国の出身ですか?という質問をね。全ての人が、この人間は何を生み出すことができるのかで判断するんだ。それが全てになると思うよ。

S:ありがとうございました。サマーキャンプの申し込みはこちらから。プログラミングを学びたい13歳〜30歳の方には素晴らしい環境だと思います。

卒業生はFacebook、Dropbox、ハーバードへ!プログラミング講座MakeGamesWith.Us創業者Jeremyへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、高校生や大学生向けに2〜3ヶ月程度の短期プログラミング講座を提供しているMakeGamesWith.Usの創業者Jeremy Rossmann氏(写真右)にインタビューを行った。※彼らは著名インキュベーターY Combinatorの卒業生。


 MakeGamesWith.Usが、通常のプログラミング講座と違うのは、受講者自身のプロダクトを完成させて、リリースすることが講座のゴールである点だ。最終日にデモデイが設けられており、生徒や先生はもちろん、FacebookやAppleといった有名企業、またAndreessen Horowitzや500 Startupsといった著名キャピタリストの前で、自身のプロダクトをプレゼンする。このプログラムを卒業した生徒は、FacebookやDropbox、Squareなどの有名企業へ就職、またハーバード大学へ進学などを決めているケースも少なくないという。

プロダクトをリリースさせることがゴール


聞き手(以下S):MakeGamesWith.Usのビジネス、またブートキャンプについて教えてください。
Jeremy(以下J):私たちは、高校生や大学生にどのようにiPhoneでゲームを開発するかを教えているんだ。方法は3種類あるんだ。1つは、オンラインカリキュラム。2つ目はカリキュラムを、MITやカーネギーメロン、UCバークレーなどのアメリカの大学に提供。3つ目は、サマーアカデミーと題して自分たちでクラスを開講している。この夏でサマーアカデミーは3回目になるね。全てのカリキュラムのゴールは、参加者全員がカリキュラムを終了する際に、AppStoreにゲームをリリースすることなんだ。そして、ミッションは全ての若い学生が自分でプロダクトをリリースできる様になることなんだ。

多くの人がプログラミングを勉強しようとするけれど、「勉強」では上達しない。大事なことは、作りたいものがある過程で、実践を繰り返すことなんだ。
サマーアカデミーが他の教育機関と異なるのは、みんながそれぞれにオリジナルなプロダクトを作り、それを実際にリリースするところにある。そして、時にそれがコンピューターサイエンスにアプライできる事の証明になったりするんだ。このプログラミは、高校生の後半か早い段階の大学生を中心に、もしくはそれ以下の年齢の人を対象にしている。こないだは13歳の人も参加したよ。めちゃくちゃスマートだった。また実際には、それよりも歳を取った人も参加しているよ。25歳〜30歳の人だね。なぜなら、彼らは不幸にも、ソフトウェアプログラマーとして何年間も働いていながら、未だ実際にプロダクトをリリースした経験がないからだ。なので、25歳〜30歳の人に対しても、このプログラムはすごく価値があるんだ。彼らが未だに経験した事の無い、初めての自分のプロダクトをリリースする経験を提供する事ができるからね。


S:つまり、年齢を問わず受け入れているのですか?
J:下限は13歳だよ。基本的に上限は設けていなくて、どんな年齢も受け入れる事は可能だ。ただ、実際のところ、大抵の参加者は16〜22歳だね。


S:どれくらいの頻度でブートキャンプを開催しているのですか?
J:今は毎年夏に一度だけ開催されている。なぜなら、その時期はアメリカの学生が夏休み期間に入っているからね。僕たちは、夏以外にも開催する機会をずっと伺っているけど、現状としては毎年6〜8月にかけての開催になっている。将来的には12月〜1月にかけてオーストラリアの学生向けに開催したいと考えているんだ。なぜなら、オーストラリア人の学生は、夏休みの時期がアメリアとまったく逆だからね。南半球に位置するために、夏休みが12〜1月にかけて存在するんだ。だから、アメリカで6〜8月、オーストラリア向けに12〜1月にかけて実施しようと思う。

最終的にはオンラインコースを立ち上げて、一年中開催できる様にしたいと考えている。また、デザインコースも始めようとしているよ。これはすぐに始める予定だ。2014年9月〜2015年の9月に開講したいな。これは1年間のプログラムになる。高校を卒業した生徒を対象にこの時期を設定したよ。アメリカでは、入学が決まった生徒が実際に入学するまでに1年間フリーな時間を作る事ができる。


S:ギャップイヤーというやつですね。
J:そうだね。僕たちはギャップイヤーのプログラムを作りたいと考えている。
もし私たちがそれを実現できれば、1年間でトップ大学4年間分の教育を提供できる自信があるよ。僕たちはビジネスの世界に面白い取り組みを仕掛けることができると思う。ギャップイヤープログラムの1年間で力をつけ、大学に行かずに直接プロフェッショナルの世界で仕事ができる人材を生み出すんだ。僕たちはそれが可能であると信じているよ。

もちろんすぐには無理かもしれないが、数年後にはMITやスタンフォード、ハーバードに行く代わりに僕たちのプログラムに参加すれば、十分ビジネスの世界で戦っていく事ができるようになると思う。なぜなら、4年間でゆっくり学ぶ大学の教育よりも、明らかに実用的で価値のある教育を僕たちが提供できるからだ。



プログラミング教育に欠けているのは、プロダクトを作る意識


S:いつこのビジネスをスタートさせたのですか?また、どのようにこのアイディアを思いついたのですか?
J:
僕とアシューで、2年半前にこのビジネスを立ち上げた。彼とは高校時代の同級生で、コンピューターサイエンスのクラスで出会ったんだ。起業はしていなかったし、どのように会社を立ち上げるかも知らなかったよ。その時、アシューがiPhoneゲームを作って、$3500も儲けたんだ。まだ高校生だよ。女の子も「わーお」って言ってた(笑)。翌年、 自分もiPhoneゲームを作り、AppStoreでフューチャーされるという出来事があったんだ。トップ画面で1週間程度ね。それは、良いデザインとして注目されたけどお金にはならなかった。

アシューがたくさんのお金を儲け、僕はAppleに取り上げられ、名声を得る事が出来た。そこで、周りの友人(プログラマー)が「それ、すごくかっけえよ!」と僕らに触発され、彼らもiPhoneゲームを作りたくなったんだ。そして、彼らは約束した。「この夏が終わるまでにiphoneゲームを作る!」とね。でも誰もできなかった。翌年、「4〜6週間あるからiPhoneゲーム作るよ」と言うのだけれど、それでも誰もできなかった。0人だよ!あんなに多くの人が作りたいと言っていたのに、結果は0人。なぜだと不思議に思うよね。なぜなら、アメリカにはアプリ開発について適切な方法で、適切なレベルを教えてくれる場所がどこにもないからなんだ。高校生には、高校生向けのカリキュラムがあって、高度なプログラミングを学ぶのは不可能だったんだ。

もし、僕らが高校卒業後から大学入学前までの間の学生に対してプログラムを作るならば、プログラミングの基礎から、iPhoneゲームの作り方まで、教える。しかも、彼ら自信がゲームの消費者だから、素晴らしいものが作れるんだ。そのような考えから、MakeGamesWith.Usを立ち上げたよ。その後、アシューはUCLA、 僕はMITに進学したんだけど、夏に再開して、このアイディアをフルタイムの仕事として立ち上げることに決めたんだ。すぐに休学の手続きをしたら、両親がとても困惑したよ。そして、Y Combinator(著名なインキュベーションプログラム)に応募し、採択。晴れてこのビジネスをスタートさせたんだ。


S:YCに応募した時は大学生だったということですね?
J:一時的に休学していたんだ。なぜなら親が反対していたからね。
僕たちはこのアイディアにめちゃくちゃ自信があったけど、親はYCに落ちたら、大学に戻って欲しかったみたいだった。もし大学に戻っていたら僕は大学を卒業するところだった。同様に、アシューも今年で卒業の予定だった。つまり僕は22歳で、アシューは21歳なんだよ。


S:若いですね!退学は考えないのですか?
J:そうだね。なぜならMITは僕らのカリキュラムを使ってくれているからね。僕らが大学にいる間に、もっと多くの授業を取り込んでもらおうと思って退学はしなかったよ。
親は、「大学に戻るんだな?卒業証書は貰うんだぞ!」って言ったけど僕がもう、大学で教えてるんだからね!(笑)

そういう訳で僕たちはスクールを開始し、改めて気づいたんだ。大学生を対象としたプログラミング教室やブートキャンプで、プロダクトを作ることを目的にしたものが無さ過ぎると。ほとんどの授業は知識にフォーカスしていて、試験や小さな宿題を出して終わりなんだ。教育を提供する側が内容をデザインするばかりで、学生や生徒たちがデザインをする事はない。もし、作りたいものがあれば、卒業後にどうぞというスタンスなんだよね。
それも良いんだけど、自分が作りたいものを講義内で作った方が学びがすごく多いんだ。

2回目のサマーキャンプを終えたあたりかな、卒業生が戻ってきて僕らにこう言ったんだ。「自分でiPhoneゲームを作った事はホントに価値があった。」と。そして、大学生の参加者の多くはFacebookやSquareやDropboxに行った。また、高校生は、ハーバードに入学できた例もある。他の大学生で、「
この2ヶ月間のプログラムは、大学での3年間よりも遥かに価値がある」と言ってくれた人もいたね。そこで、アプリケーションを作ることを目的とした教育が、どれだけ価値のあるものかを知ったよ。

多くのプログラマーは理論だけを理解しているけど、インタラクティブにプロダクトを作った経験がない。僕たちは、新しい物を作る事や、他人に公開する事を強制する事で、みんながたくさん練習するような環境を提供している。それにより、より高いレベルへと到達する事ができ、かつその過程でプロダクトを作る事の大切さを学ぶ事ができるんだ。


S:ゲームにフォーカスしているのはとても面白い取り組みだと思います。
J:来年からは、ゲーム以外のプロダクトにフォーカスしていこうと思う。ゲームはデザインやプログラミング、UI、音声、アルゴリズムについて学ぶにはとても良かった。多くの事を同時に学ぶには丁度いいんだ。でも、必ずしも多くの人がゲーム業界に行きたいわけではないんだ。もちろん、ゲーム業界は大きくていい会社もいっぱいあるけど、実際多くの人はスタートアップや他のソフトウェア業界に進みたいんだ。

ゲームはすごく価値のあるものだし、多くの事を学ぶのに非常に有用なんだけど、 大抵の人はWebブラウザで動くサービスやアプリを作りたがってるってことに気付いたんだ。だから、いつかはゲーム以外の分野も対象に加えて、 Makewith.usという会社名にかえようと考えてるよ。


S:今までで何人の学生がブートキャンプに参加しているのですか?
J:最初の夏が30人、次が75人だ。また、毎月100人以上の生徒が僕らの授業を公開しているホームページを訪れている。


S:多くの参加者は米国の学生ですか?
J:ほとんどは米国国内の学生だね。たまに外国からも来るよ。インド人とかインドネシ人とか。


S:日本はいますか?
J:まだいないよ。これから来てくれると嬉しいね。僕は日本にいった事があるから少し友達がいるし、日本の文化にはとても強い尊敬の念を抱いているよ。日本には独特のエンジニアリングの文化だったりゲームの文化があるからね。日本は一番ゲームのデザインが優れている国だし、素晴らしいゲームクリエイターが日本にはたくさんいるよ。


S:是非、日本の学生にこのプログラムに参加していただきたいです。
J:そうだね。一番の問題は言語の問題だと思う。インドだったりインドネシアの人は英語が話せるから参加しやすいよね。そう考えるとやっぱり英語を話せる日本人からアプローチしていくべきなんだろうね。そういう人はこのプログラムをすごく気に入ってくれると思うよ。


S:どの大学がこのプログラムを採用しているのですか?
J:MIT、UCバークレー、ボストン大学などだね。今年の夏はカーネギーメロン大学も採用してくれたよ。もちろん他にも多くの大学に採用されているけど、日本人が知っているのはこの辺かな(笑)。 あとはい高校にも採用してもらっているよ。
 

また、1時間程度小さなレッスンもオンラインで公開しているんだ。内容は、iPhoneアプリに関する基礎のレッスンなんだけど、ホームページ上で90万回以上も再生されたんだよ。

今回、3回目となるサマーキャンプは75以上の人に参加してもらえるそうだ。でも受講したくてもサンフランシスコに来れないって人は結構多い。だから、ブートキャンプの授業を録画して、オンラインで授業に参加できるようにしようと考えているんだ。みんなが飛行機で移動する事なく同じ授業を自由に受けれたら最高。そしたら日本からの受講者もどんどん増えのではないかな? 


S:最後に、日本の読者に何かメッセージをください。
J:この過去10年間で、歴史上で考えられなかったような変化が起こっている。学歴や国籍、住んでる地域で評価されるのではなく、何が作れるかで評価されるようなりつつある。その理由はAppStoreが誕生したからだ。AppStoreは世界をすごく近いものにした。

10か20年前では、もしかしたら偉大なクリエイターは自信の能力を、AppStoreがなかったがために証明する事が出来なかったかもしれない。会社は、
どこの大学を出たとか、どこの出身だとか、そのような指標をもとにその人間を評価するしかなかったんだ。でも、今は自分のアプリやホームページ上で何をつくれるかを証明できるんだ。リアルの人間があなたのつくったものに感謝しているという事実をすぐに証明できる。あなたのプロダクトを世に出たことで、世の中が少し改善されているという事実がね。

もうじき、あなたは、誰かに尋ねる必要がなくなる。あなたの出身校は有名ですか?どこの国の出身ですか?という質問をね。全ての人が、この人間は何を生み出すことができるのかで判断するんだ。それが全てになると思うよ。

S:ありがとうございました。サマーキャンプの申し込みはこちらから。プログラミングを学びたい13歳〜30歳の方には素晴らしい環境だと思います。