Foursquare創業者のDennis Crowleyとは?現実世界をゲーム化する遊び心はどのようにして生まれたのか



位置情報系サービス大手のfoursquareは、先日(2014/5/15)に大幅にアップデートを行いました。友人との社交的ソーシャル情報を受け持つ「Swarm」と、おもしろいスポットを発見するための「foursquare」にサービスの領域を分けたことで注目されています。
今回は、そんなfoursquareの創業者であるDennis Crowleyについてご紹介します。



Dennis Crowleyは、1976年1月19日生まれのアメリカ人だ。 
マサチューセッツのMedwayという人口12,500人の小さな街に生まれた。家族によると、スポーツや勉強の出来は悪かったが、ビデオゲームやジョークのセンスは非常によかったという。
長男だったDennisCrowleyは、年下の姉と弟へよりも優れている主張する事ができるチャンスがあれば何でもした。
弟のJonathan Crowley はDennis Crowlyが彼が裏庭に作った秘密基地を2つも壊されたのを今でも覚えているという。しかも、3つ目は壊されないようにと木の上に作ったが、Dennisはそれを発見すると秘密基地を壊すために木を伐採しようとした。

fort:要塞や砦の事を指すが、kids fortで日本で言う秘密基地のようなもの
"わたしたちは、全てのことに並々ならぬ競争心を持っていた"と、 Jonathan Crowleyは子供時代を思い出して語った。
父親は、彼らが自立して生きていてけるように育て上げた。息子(長男のDennis)と同じ名前のDennisCrowleyは通信事業を立ち上げ、後にゼネラル・エレクトリックの一部門となる。彼は、子どもたちに”もし本当に成功したいなら、自分自身のためではなく、他の誰かのために働く必要がある”と常に言い聞かせた。
高校に入ったばかりの、Dennisにはこのアドバイスが心に刻まれていた。
彼は、高校でビデオゲームやスケボーを楽しんだり、Dystopiaという主にゲームに関しての雑誌を執筆・編集・印刷し、地元のゲームセンターや店舗で販売した。
1994年に近所のXaverian Brothers 高校を卒業する。1998年に、Syracuse University(シラキュース大学)のニューハウススクール(ジャーナリズム、広告関係のプログラム。主にマスコミ業界志望者が行く。)の学士号を取得する。その後、1998年6月から2000年6月まで Jupiter Communicatiosでリサーチの仕事を勤めるが、DennisCrowleyは大学院に行くことを希望する。
それには、大きな理由が1つあった。
New York UniversityのInteractive Telecommunications Programにどうしても行きたかったのだ。いわば、大人のための"不思議の国のアリス”であり、”クレイジーな人がそこら中にいる遊び場”のようなものだった。ファンタジーなニューヨーク大学芸術学部へ進学した。

テーブル・フットボール (Table football) は、サッカーをもとにして作られたテーブルゲーム
今日、学校内を歩くと、まだCrowleyの遊び心とゲームをテーマにした大学院でのプロジェクトを見ることができる。
例えば、広大な作業所にフーズボールのテーブルがある。
これには、マイクロプロセッサとセンサが接続されており、自動的にゴールを記録するという代物だ。Crowleyの在学中には、壁にトーナメント形式のリーダーボード(選手の順位とスコアをギャラリーや視聴者に逐一知らせる一覧表/順位表のようなもの)上で勝敗を確認できた。

packman:詳しくは、こちら
在学中、Dennisは、"人生はゲームのようなものであるべきだ"というアイディアが頭から離れず、このアイディアを学校外で実践に移した。NYUの学生グループで、マンハッタンでリアル”パックマン”計画を実行した。学生達は、ゲームキャラクターになりきった。ちなみに最初のゲームはCrowleyはパックマン役だった。彼はまるでNYがアーケードゲームであるかのように街中を走った。


2003年に大学の卒業制作として、学生仲間のAlex Rainertと共にDodgeballを共同創業する。DodgeballもFoursquareと同様に位置情報を基にしたSNSサービスだ。
順調にサービスは拡大するが、資金難に陥り、2005年にはDodgeballをGoogleに売却し、exitを果たす事になる。しかし、うまくは行かなかったようだ。
2006年夏にCrowleyは、マウンテンビューにあるGoogle本社とのビデオ会議で今まさにSNSがブームになろうとしている事を力説し、エンジニアのリソースを割いてくれるようお願いするがそれは叶わなかった。Googleはこのサービスをうまく活用出来なかったのだ。これが決定打となり、2007年4月にGoogleを去る事となる(Rainertも)。その後は失業生活をしばらく送る事となる。
ちなみに2009年に、Googleはこの事業のクローズを決めることとなる。

スーパーマリオブラザーズのキノコの落書き
ある日、DennisはNYBridgeをジョギングしていたときに、歩道にスプレーで書かれたキノコの落書きを見つけ立ち止まった。それは、まるでCrowleyが小さい頃に遊びながら育った"スーパーマリオブラザーズ”から出てきたようだった。彼は、それを踏みつけて、パワーアップしたくなった。ある種、それはオタクの夢みたいなものだった。
その瞬間にFoursquareのアイディアがひらめいたという。キノコのペイントは至るところに描かれていおり、自宅に戻ってから地図を確認し、キノコが合った場所を繋ぐと、まるでジョギングコースのようになっていた。そして、すぐに彼は8マイルものジョギングコースを楽しんだ。
つまり、学生の時同様Dennisは、「リアルな世界をゲームのように楽しめる!!」とまた考え始めたのだ。1人でも楽しめる上に、グループまたはサービスユーザー全体との利用体験の共有も可能となる。それがfoursquareのバッジやメイヤーなどの機能、全体の設計思想として現れている。


2008年にNaveen Selvaduraiと伴にfoursquare(dodgeballプロジェクトの続編)を開発し始める。名前の由来はdodgeball 同様、四角のマス目を描いて遊ぶボール遊びからだそう。
その後、2009年のSXSWでローンチに至った。この時、Gowallaという同じコンセプトで競合サービスもローンチされている。Dennisは、dodgeballの失敗理由の1つにSNSのゴーストタウン化があるという。それは、だから次に手がけるサービスでは、1人でも利用できる機能を用意し、1人のアクティビティがサービスユーザー全体に、逆にサービスユーザー全体のアクティビティも1人の利益になる仕組みを構築したという。

2009年にエンジェルラウンドで最初の$1.35M(135万ドル)を調達した際には、foursquareの企業口座もなかったが、Andreessen Horowitz, Spark Capital, Union Square Ventures, SVangelなどの有力VCから出資を受けて、今もなお成長し続けている。
2013年9月の時点で、累計ユーザー数は4000万人以上、累計チェックイン数は45億回を超えた。2013年12月には、FoursquareがシリーズDラウンドで、3500万ドルを調達した。そして、2014年5月1日には、Foursquareはコア機能を2つの新しいアプリに分割する計画を発表した。ひとつはレストランや店舗の推薦アプリとなり、もうひとつは、ユーザーがチェックインすると付近でチェックインしている友だちが表示されるアプリだ。
Foursquare、チェックインを廃止して新アプリに移すと発表―Yelp的な推薦と発見に特化へ 

foursquareが持っている膨大な位置情報のデータはそれだけで価値があり、MicrosoftやYahooからの買収の可能性が噂された時期もあった。これからも位置情報SNSで確固たる地位を築いたfoursquareの動向を追っていきたい。



ソース:Dennis Crowley | LinkedIn / Foursquare | CrunchBase  / ニューハウススクール - Wikipedia  / Foursquare Co-Founder Dennis Crowley: “There’s something brewing here that’s bigger than badges.” | L'Atelier: Disruptive innovation  / With Foursquare, life is a virtual game  / Foursquare & 7-11 Offer Commercial Spaceflight as Contest Prize – ReadWrite  /すぐれていた面もあったはずのGowalla、Foursquareに完敗したのはなぜだろうか?! | TechCrunch Japan / Naveen Selvadurai - Wikipedia, the free encyclopedia  / (Founder Stories) Dennis Crowley On The Origins Of Foursquare | TechCrunch 
投稿者:@tamiki_

Foursquare創業者のDennis Crowleyとは?現実世界をゲーム化する遊び心はどのようにして生まれたのか



位置情報系サービス大手のfoursquareは、先日(2014/5/15)に大幅にアップデートを行いました。友人との社交的ソーシャル情報を受け持つ「Swarm」と、おもしろいスポットを発見するための「foursquare」にサービスの領域を分けたことで注目されています。
今回は、そんなfoursquareの創業者であるDennis Crowleyについてご紹介します。



Dennis Crowleyは、1976年1月19日生まれのアメリカ人だ。 
マサチューセッツのMedwayという人口12,500人の小さな街に生まれた。家族によると、スポーツや勉強の出来は悪かったが、ビデオゲームやジョークのセンスは非常によかったという。
長男だったDennisCrowleyは、年下の姉と弟へよりも優れている主張する事ができるチャンスがあれば何でもした。
弟のJonathan Crowley はDennis Crowlyが彼が裏庭に作った秘密基地を2つも壊されたのを今でも覚えているという。しかも、3つ目は壊されないようにと木の上に作ったが、Dennisはそれを発見すると秘密基地を壊すために木を伐採しようとした。

fort:要塞や砦の事を指すが、kids fortで日本で言う秘密基地のようなもの
"わたしたちは、全てのことに並々ならぬ競争心を持っていた"と、 Jonathan Crowleyは子供時代を思い出して語った。
父親は、彼らが自立して生きていてけるように育て上げた。息子(長男のDennis)と同じ名前のDennisCrowleyは通信事業を立ち上げ、後にゼネラル・エレクトリックの一部門となる。彼は、子どもたちに”もし本当に成功したいなら、自分自身のためではなく、他の誰かのために働く必要がある”と常に言い聞かせた。
高校に入ったばかりの、Dennisにはこのアドバイスが心に刻まれていた。
彼は、高校でビデオゲームやスケボーを楽しんだり、Dystopiaという主にゲームに関しての雑誌を執筆・編集・印刷し、地元のゲームセンターや店舗で販売した。
1994年に近所のXaverian Brothers 高校を卒業する。1998年に、Syracuse University(シラキュース大学)のニューハウススクール(ジャーナリズム、広告関係のプログラム。主にマスコミ業界志望者が行く。)の学士号を取得する。その後、1998年6月から2000年6月まで Jupiter Communicatiosでリサーチの仕事を勤めるが、DennisCrowleyは大学院に行くことを希望する。
それには、大きな理由が1つあった。
New York UniversityのInteractive Telecommunications Programにどうしても行きたかったのだ。いわば、大人のための"不思議の国のアリス”であり、”クレイジーな人がそこら中にいる遊び場”のようなものだった。ファンタジーなニューヨーク大学芸術学部へ進学した。

テーブル・フットボール (Table football) は、サッカーをもとにして作られたテーブルゲーム
今日、学校内を歩くと、まだCrowleyの遊び心とゲームをテーマにした大学院でのプロジェクトを見ることができる。
例えば、広大な作業所にフーズボールのテーブルがある。
これには、マイクロプロセッサとセンサが接続されており、自動的にゴールを記録するという代物だ。Crowleyの在学中には、壁にトーナメント形式のリーダーボード(選手の順位とスコアをギャラリーや視聴者に逐一知らせる一覧表/順位表のようなもの)上で勝敗を確認できた。

packman:詳しくは、こちら
在学中、Dennisは、"人生はゲームのようなものであるべきだ"というアイディアが頭から離れず、このアイディアを学校外で実践に移した。NYUの学生グループで、マンハッタンでリアル”パックマン”計画を実行した。学生達は、ゲームキャラクターになりきった。ちなみに最初のゲームはCrowleyはパックマン役だった。彼はまるでNYがアーケードゲームであるかのように街中を走った。


2003年に大学の卒業制作として、学生仲間のAlex Rainertと共にDodgeballを共同創業する。DodgeballもFoursquareと同様に位置情報を基にしたSNSサービスだ。
順調にサービスは拡大するが、資金難に陥り、2005年にはDodgeballをGoogleに売却し、exitを果たす事になる。しかし、うまくは行かなかったようだ。
2006年夏にCrowleyは、マウンテンビューにあるGoogle本社とのビデオ会議で今まさにSNSがブームになろうとしている事を力説し、エンジニアのリソースを割いてくれるようお願いするがそれは叶わなかった。Googleはこのサービスをうまく活用出来なかったのだ。これが決定打となり、2007年4月にGoogleを去る事となる(Rainertも)。その後は失業生活をしばらく送る事となる。
ちなみに2009年に、Googleはこの事業のクローズを決めることとなる。

スーパーマリオブラザーズのキノコの落書き
ある日、DennisはNYBridgeをジョギングしていたときに、歩道にスプレーで書かれたキノコの落書きを見つけ立ち止まった。それは、まるでCrowleyが小さい頃に遊びながら育った"スーパーマリオブラザーズ”から出てきたようだった。彼は、それを踏みつけて、パワーアップしたくなった。ある種、それはオタクの夢みたいなものだった。
その瞬間にFoursquareのアイディアがひらめいたという。キノコのペイントは至るところに描かれていおり、自宅に戻ってから地図を確認し、キノコが合った場所を繋ぐと、まるでジョギングコースのようになっていた。そして、すぐに彼は8マイルものジョギングコースを楽しんだ。
つまり、学生の時同様Dennisは、「リアルな世界をゲームのように楽しめる!!」とまた考え始めたのだ。1人でも楽しめる上に、グループまたはサービスユーザー全体との利用体験の共有も可能となる。それがfoursquareのバッジやメイヤーなどの機能、全体の設計思想として現れている。


2008年にNaveen Selvaduraiと伴にfoursquare(dodgeballプロジェクトの続編)を開発し始める。名前の由来はdodgeball 同様、四角のマス目を描いて遊ぶボール遊びからだそう。
その後、2009年のSXSWでローンチに至った。この時、Gowallaという同じコンセプトで競合サービスもローンチされている。Dennisは、dodgeballの失敗理由の1つにSNSのゴーストタウン化があるという。それは、だから次に手がけるサービスでは、1人でも利用できる機能を用意し、1人のアクティビティがサービスユーザー全体に、逆にサービスユーザー全体のアクティビティも1人の利益になる仕組みを構築したという。

2009年にエンジェルラウンドで最初の$1.35M(135万ドル)を調達した際には、foursquareの企業口座もなかったが、Andreessen Horowitz, Spark Capital, Union Square Ventures, SVangelなどの有力VCから出資を受けて、今もなお成長し続けている。
2013年9月の時点で、累計ユーザー数は4000万人以上、累計チェックイン数は45億回を超えた。2013年12月には、FoursquareがシリーズDラウンドで、3500万ドルを調達した。そして、2014年5月1日には、Foursquareはコア機能を2つの新しいアプリに分割する計画を発表した。ひとつはレストランや店舗の推薦アプリとなり、もうひとつは、ユーザーがチェックインすると付近でチェックインしている友だちが表示されるアプリだ。
Foursquare、チェックインを廃止して新アプリに移すと発表―Yelp的な推薦と発見に特化へ 

foursquareが持っている膨大な位置情報のデータはそれだけで価値があり、MicrosoftやYahooからの買収の可能性が噂された時期もあった。これからも位置情報SNSで確固たる地位を築いたfoursquareの動向を追っていきたい。



ソース:Dennis Crowley | LinkedIn / Foursquare | CrunchBase  / ニューハウススクール - Wikipedia  / Foursquare Co-Founder Dennis Crowley: “There’s something brewing here that’s bigger than badges.” | L'Atelier: Disruptive innovation  / With Foursquare, life is a virtual game  / Foursquare & 7-11 Offer Commercial Spaceflight as Contest Prize – ReadWrite  /すぐれていた面もあったはずのGowalla、Foursquareに完敗したのはなぜだろうか?! | TechCrunch Japan / Naveen Selvadurai - Wikipedia, the free encyclopedia  / (Founder Stories) Dennis Crowley On The Origins Of Foursquare | TechCrunch 
投稿者:@tamiki_