Max Levchin(マックス・レヴチン)とは?PayPalマフィアが仕掛けるスタートアップ輩出プロジェクトに注目!



Max Levchinはシリアルアントレプレナー(PayPal、Slide等の創業者)であり、Angelist・Pinterest・Kaggle・Yammer・Yelpなどに投資しているエンジェル投資家でもある。今回は、そんな彼の経歴と、彼が今一番力を入れているスタートアップ輩出プロジェクトであるHVF(Hard,Valuable,Fun)について紹介していく。


Max Levchin(マックス・レヴチン)は、当時ソビエト連邦領だったウクライナのキエフで、ユダヤ人家族の元に生まれた。
その後、政治的亡命者の保護の一環で、1991年にイリノイ州シカゴへ移住。2年間シカゴの公立高校に通うことになる。(1991年にソビエト連邦が崩壊するとウクライナはの独立を達成するが、それ以前はソビエトに圧迫されていた。)
物理学者の家族だったこともあり、最初は物理、その後、数学の勉強に励みとてもいい成績をとる。
1997年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で計算機科学の学士号を取得。
同級生にYouTube共同設立者のスティーブ・チェンがおり、後にPayPal従業員として採用している。
同じく、1997年にインターネットツール開発会社である、NetMeridian Software と SponsorNet New Mediaを共同創業する。1998年には John Bernard Powersを設立。その後すぐに退社する。その後、PeterTheilが行なっていた無料の講演会で、Theilと出会い、"金融界で一山当てるなら、こいつと一緒にやるしかない"と思ったという。
PeterTheilとともにPayPalの前身である、Fieldlink を設立する。Elon Muskの X.com と合併し、社名をPayPalへと変更した。

PayPalは2002年2月にIPOし、同年10月eBayに買収。買収時には、Levchinが所有していた2.3%の株は約3400万ドルもの価値になった。Levchinは特にPayPalの詐欺防止システムへの貢献でも知られている。


2004年にSlideを設立した。Slideの事業内容はSNS関連を中心に多岐に渡っている。
例えば、2005年には画像管理用デスクトップアプリケーションをリリースしており、その後は、ウィジェットベースの写真のスライドショ-を提供していた。ユーザーはこれをMySpace、Facebook、Bebo、Friendsterなどさまざまなソーシャルネットワークサイトに埋め込むことができるというものだ。
他には、FacebookやMySpaceなどのSNS向けに、バーチャルペット飼育ゲームの「SuperPoke! Pets」などのエンターテインメントアプリを提供も行なっていた。
Slideは2010年8月にGoogleに1億8200万ドルで買収され、レヴチンはGoogleのエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントに任命された。その際に、自身の資金を700万ドル出資していたLevchinは3900万ドルを得ている。
2011年8月にGoogleはSlideのサービス終了を発表したため、Levchinは同社を去る事となる。


そして、2011年末には、HVF(Hard,Valuable,Funが由来)という会社を設立した。

Levchinは、近況報告のためミュンヘンで開催されたDLDカンファレンスに立ち寄った際に、HVFについて語った。
この会社は、アナログセンサ等からのデータを活用する分野のプロジェクトや企業を見つけ、資金提供する事を意図しているという。Levichinはそれが、どうのように人類に利益をもたらすことができるかを模索している。
Levchinのデータに焦点を当てた取組みのすべてを「アンブレラプロジェクト」としてHVFのwebサイトに記載している。
現時点でHVFのアンブレラプロジェクトからスピンアウトした企業は2社で、 AffirmとGlowだ。

Affirm https://www.affirm.com/

1つ目のAffrimは、モバイル向けオンライン決済サービスを提供している会社だ。
Levchinもfounder兼CEOとしてジョインしている。
Affirmを使えば、たった2タップで全てのモバイル決済を行うことができるという謳い文句だ。後払い・分割払いにも対応している。
手順は、以下のとおりだ。
①ECサイト等のストアでAffrimで決済をクリックし、電話番号・誕生日などを入力。
②購入確認のためのテキストメッセージが送信される。
③注文はストアに送信され、支払日にもう一度リマインドが来る。
後払いの方法は、銀行振込やクレジットカード

競合企業には、欧州全体にオンライン決済ソリューションを提供しているKlarna(セコイアキャピタルも出資しているストックホルムの企業)などがある。
2012年初めに次世代の決済ネットワークを構築することを目標に、HFVからスピンアウトした。


Glow - Creating tiny miracles https://www.glowing.com
2つ目のGlowは、カップルの不妊治療を支援するためのアプリを提供している。2013年の夏に、LevichinがD11conferenceでこのアプリを発表し聴衆を驚かせた。
Levchin曰く、不妊治療の大きなハードルになっているのは、データとコストだという。以上の問題を解決するためのアプリだ。
生理周期や基礎体温などの様々な身体情報を入力していくことで、機械学習を通じて、妊娠の確立が高い日を通知してくれる。Glow Firstというサービスも行なっている。それは、毎月50ドル預けて10ヶ月経過しても妊娠できなかったカップルが治療費用を受け取れるという相互扶助の制度のようなものだ。完全に非営利のプログラムであり、Glowがそこか収益を得ることはない。
Founders FundやAndreessen Horowitzなどから600万ドルもの資金調達を行なっており、非常に注目されている。
HVFの趣旨の通り、ビッグ・データを何かに活かすという試みの1つだ。

HVFは自身をインキュベーターと呼ばないで欲しいと主張している。同社のウェブサイト上では、Levchinは次のように述べている。 "我々はすべてのプロトタイピングや開発しているプロジェクトは、ここから始めますが、HVFはインキュベーターでもコーワーキングスペースでもありません。”

特に関心を持っている分野は、消費者向け金融サービス、企業向けのセキュリティ管理、疾病予防などの健康産業だ。今後もHVF発のスタートアップに注目していきたい。

他にも、YelpとKaggleのディレクター兼取締役とYahoo!とEvernoteのディレクターを勤めている。Y Combinator のStartup Schoolのスピーカーとして登壇しており、そこで今までの起業家としての道のりや失敗談、教訓を話したりといったイベント活動や、Peter Theilと伴に本(未来の構想についての本:The Blueprint: Reviving Innovation, Rediscovering Risk, and Rescuing the Free Market)を出版してたりしている。

ソース:Max Levchin - AngelList HVF  / マックス・レヴチン /Glow | CrunchBase
I, Cringely . NerdTV . Transcript | PBS /Exclusive: Max Levchin to Leave Google as Slide Is Shut Down - Liz Gannes - Social - AllThingsD/Google、Slideの買収を公式に発表。Social分野での闘いを準備中 | TechCrunch Japan  /-Speaking of loops: Slide | TechCrunch /-Slideのウィジェット追加数1日100万件突破 | TechCrunch Japan 
Glow, The Fertility App Founded By Max Levchin, Crosses 1,000 User Pregnancies | TechCrunch / Glow - Creating tiny miracles / Backed With $6M, Max Levchin’s Glow App For Tracking Female Fertility Debuts On The App Store | TechCrunch  / Glow | CrunchBase
投稿者:@tamiki_

Max Levchin(マックス・レヴチン)とは?PayPalマフィアが仕掛けるスタートアップ輩出プロジェクトに注目!



Max Levchinはシリアルアントレプレナー(PayPal、Slide等の創業者)であり、Angelist・Pinterest・Kaggle・Yammer・Yelpなどに投資しているエンジェル投資家でもある。今回は、そんな彼の経歴と、彼が今一番力を入れているスタートアップ輩出プロジェクトであるHVF(Hard,Valuable,Fun)について紹介していく。


Max Levchin(マックス・レヴチン)は、当時ソビエト連邦領だったウクライナのキエフで、ユダヤ人家族の元に生まれた。
その後、政治的亡命者の保護の一環で、1991年にイリノイ州シカゴへ移住。2年間シカゴの公立高校に通うことになる。(1991年にソビエト連邦が崩壊するとウクライナはの独立を達成するが、それ以前はソビエトに圧迫されていた。)
物理学者の家族だったこともあり、最初は物理、その後、数学の勉強に励みとてもいい成績をとる。
1997年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で計算機科学の学士号を取得。
同級生にYouTube共同設立者のスティーブ・チェンがおり、後にPayPal従業員として採用している。
同じく、1997年にインターネットツール開発会社である、NetMeridian Software と SponsorNet New Mediaを共同創業する。1998年には John Bernard Powersを設立。その後すぐに退社する。その後、PeterTheilが行なっていた無料の講演会で、Theilと出会い、"金融界で一山当てるなら、こいつと一緒にやるしかない"と思ったという。
PeterTheilとともにPayPalの前身である、Fieldlink を設立する。Elon Muskの X.com と合併し、社名をPayPalへと変更した。

PayPalは2002年2月にIPOし、同年10月eBayに買収。買収時には、Levchinが所有していた2.3%の株は約3400万ドルもの価値になった。Levchinは特にPayPalの詐欺防止システムへの貢献でも知られている。


2004年にSlideを設立した。Slideの事業内容はSNS関連を中心に多岐に渡っている。
例えば、2005年には画像管理用デスクトップアプリケーションをリリースしており、その後は、ウィジェットベースの写真のスライドショ-を提供していた。ユーザーはこれをMySpace、Facebook、Bebo、Friendsterなどさまざまなソーシャルネットワークサイトに埋め込むことができるというものだ。
他には、FacebookやMySpaceなどのSNS向けに、バーチャルペット飼育ゲームの「SuperPoke! Pets」などのエンターテインメントアプリを提供も行なっていた。
Slideは2010年8月にGoogleに1億8200万ドルで買収され、レヴチンはGoogleのエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントに任命された。その際に、自身の資金を700万ドル出資していたLevchinは3900万ドルを得ている。
2011年8月にGoogleはSlideのサービス終了を発表したため、Levchinは同社を去る事となる。


そして、2011年末には、HVF(Hard,Valuable,Funが由来)という会社を設立した。

Levchinは、近況報告のためミュンヘンで開催されたDLDカンファレンスに立ち寄った際に、HVFについて語った。
この会社は、アナログセンサ等からのデータを活用する分野のプロジェクトや企業を見つけ、資金提供する事を意図しているという。Levichinはそれが、どうのように人類に利益をもたらすことができるかを模索している。
Levchinのデータに焦点を当てた取組みのすべてを「アンブレラプロジェクト」としてHVFのwebサイトに記載している。
現時点でHVFのアンブレラプロジェクトからスピンアウトした企業は2社で、 AffirmとGlowだ。

Affirm https://www.affirm.com/

1つ目のAffrimは、モバイル向けオンライン決済サービスを提供している会社だ。
Levchinもfounder兼CEOとしてジョインしている。
Affirmを使えば、たった2タップで全てのモバイル決済を行うことができるという謳い文句だ。後払い・分割払いにも対応している。
手順は、以下のとおりだ。
①ECサイト等のストアでAffrimで決済をクリックし、電話番号・誕生日などを入力。
②購入確認のためのテキストメッセージが送信される。
③注文はストアに送信され、支払日にもう一度リマインドが来る。
後払いの方法は、銀行振込やクレジットカード

競合企業には、欧州全体にオンライン決済ソリューションを提供しているKlarna(セコイアキャピタルも出資しているストックホルムの企業)などがある。
2012年初めに次世代の決済ネットワークを構築することを目標に、HFVからスピンアウトした。


Glow - Creating tiny miracles https://www.glowing.com
2つ目のGlowは、カップルの不妊治療を支援するためのアプリを提供している。2013年の夏に、LevichinがD11conferenceでこのアプリを発表し聴衆を驚かせた。
Levchin曰く、不妊治療の大きなハードルになっているのは、データとコストだという。以上の問題を解決するためのアプリだ。
生理周期や基礎体温などの様々な身体情報を入力していくことで、機械学習を通じて、妊娠の確立が高い日を通知してくれる。Glow Firstというサービスも行なっている。それは、毎月50ドル預けて10ヶ月経過しても妊娠できなかったカップルが治療費用を受け取れるという相互扶助の制度のようなものだ。完全に非営利のプログラムであり、Glowがそこか収益を得ることはない。
Founders FundやAndreessen Horowitzなどから600万ドルもの資金調達を行なっており、非常に注目されている。
HVFの趣旨の通り、ビッグ・データを何かに活かすという試みの1つだ。

HVFは自身をインキュベーターと呼ばないで欲しいと主張している。同社のウェブサイト上では、Levchinは次のように述べている。 "我々はすべてのプロトタイピングや開発しているプロジェクトは、ここから始めますが、HVFはインキュベーターでもコーワーキングスペースでもありません。”

特に関心を持っている分野は、消費者向け金融サービス、企業向けのセキュリティ管理、疾病予防などの健康産業だ。今後もHVF発のスタートアップに注目していきたい。

他にも、YelpとKaggleのディレクター兼取締役とYahoo!とEvernoteのディレクターを勤めている。Y Combinator のStartup Schoolのスピーカーとして登壇しており、そこで今までの起業家としての道のりや失敗談、教訓を話したりといったイベント活動や、Peter Theilと伴に本(未来の構想についての本:The Blueprint: Reviving Innovation, Rediscovering Risk, and Rescuing the Free Market)を出版してたりしている。

ソース:Max Levchin - AngelList HVF  / マックス・レヴチン /Glow | CrunchBase
I, Cringely . NerdTV . Transcript | PBS /Exclusive: Max Levchin to Leave Google as Slide Is Shut Down - Liz Gannes - Social - AllThingsD/Google、Slideの買収を公式に発表。Social分野での闘いを準備中 | TechCrunch Japan  /-Speaking of loops: Slide | TechCrunch /-Slideのウィジェット追加数1日100万件突破 | TechCrunch Japan 
Glow, The Fertility App Founded By Max Levchin, Crosses 1,000 User Pregnancies | TechCrunch / Glow - Creating tiny miracles / Backed With $6M, Max Levchin’s Glow App For Tracking Female Fertility Debuts On The App Store | TechCrunch  / Glow | CrunchBase
投稿者:@tamiki_