『日本ベースでスタートアップを始めたら、常にアメリカを夢見て過ごすことになる』25歳の連続起業家Greg Isenbergへのインタビュー





ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、連続起業家でありエンジェル投資家でもあるGreg Isenberg氏にインタビューを行った。Greg Isenberg氏は過去に3度の事業売却を行っており、現在は前社の5byがソーシャルディスカバリーエンジンを提供しているStumbleUponに買収されたことから、StumbleUponに籍を置きながらIndicator Venturesのパートナーとしてエンジェル投資も行っている。

3度目の起業とStumbleUponへの売却、エンジェル投資家としての活動


質問者S(以下S):まず、あなたのバックグラウンドについて教えてください。今までに多くの会社を立ち上げてきたとお伺いしました。
Greg(以下G):今までで3社のスタートアップを立上げたよ。1つ目はデザインやUI/UXのエージェンシーだ。このスタートアップは7歳〜12歳のときまでやっていた。当時は、ナイキのエアジョーダン(靴)が欲しかったんだけど、親父は200ドルもするシューズは買ってくれなかった。そのとき、ちょうどインターネットに魅了されていたんだ。これはお金になるんじゃないかと思ってウェブサイトを作る商売をはじめたよ。そんな形で僕のスタートアップの歴史が始まって、いくつかスタートアップを立ち上げながら、ベンチャーキャピタルにジョインすることになったんだ。


S:StumbleUponに売却した会社5byについて教えてください。どのような経緯で会社を立ち上げ、買収に至ったのですか?
G:YouTubeの動画に注目してこの事業をはじめたよ。YouTubeの動画鑑賞はエンターテイメントとして素晴らしいんだけど、もっと効果的に閲覧できるんじゃないかと考えたんだ。そんな形でこのプロジェクトを立ち上げたよ。まだ、モバイル版を提供する前だったんだけど、大量のトラクションをwebブラウザベースで獲得することができた。

その後、StumbleUponの中のある人物にあったんだ。その人物はGarrett Camp氏で、StumbleUponの創業者であり、Uberの共同創業者(現会長)でもある。彼は素晴らしいビジネスマンでありコメディアンなんだ。彼と話をしてStumbleUponと5byのビジョンが同じであることに気づいたし、レコメンデーションエンジンをベースに面白いコンテンツをユーザーに配信するというのはとても興味深かった。実際に、StumbleUponは世界で最も大きなソーシャルメディアのレファレンスサイトのひとつなんだ。LinkedInよりも規模はでかい。我々はコンテンツや出版物のディストリビューションソースを開発したので、目指しているものは彼らと同じなんだ。自分自身でこの事業を続けることはとてもクールだけど、StumbleUponの創業者は誇張なしにリコメンデーションエンジンのパイオニアで、彼らとともにプロダクトを作った方が、目的を達成するのが早いと考えたんだ。

自分の会社を売るという決断はとてもつらいものだったけどね。また、いくつかの企業からオファーは貰っていたんだけど、ビジョンやゴールが同じだったし、それを達成するために僕達の助けが必要だと言ってくれたから、StumbleUponに決めたよ。最善の選択だったと思う。会社を売った後はすぐにカナダからサンフランシスコに移動してここのチームにジョインしたんだ。


S:他に誰が買収に興味を持ったのですか?
G:実名は言えないけど、ムービーやビデオ、ソーシャルネットワークの分野に興味のあるプレイヤーを想像してみてくれ。


S:創業から買収されるまでの期間を教えてください?
G:11ヶ月だよ。ソーシャルメディアの分野で企業を売却したケースでは最速らしい。なんでも速く進めたい質でね。僕達のチームはめちゃくちゃ速くプロダクトを立ち上げ、トラクションを獲得した。そんな感じだよ。


S:会社を売った時はどれくらいのトラクションがあったのですか?
G:数十万の月間ユーザーがいたよ。それよりもユーザーのエンゲージが顕著で、平均で22分サイトに滞在していたんだ。


S:どのようにそのような多くのユーザーを短期間で獲得したのですか?
G:なぜ人々が5byを好きかというと、ボタンを押すだけで面白いビデオが次々に彼らのもとへ届くことにあると思う。当初は多くの会社がPinterest for Videoのようなものに挑戦していた。でも結局そのようなプロダクトはPinterestのみで十分だったんだ。しかし、もっとTVのようにインターネットでビデオを閲覧したいと思うユーザーはたくさんいた。ソファーに座ってスイッチを入れれば、面白いコンテンツが次から次へと勝手に流れてくるといった体験だ。そのような需要を短期間で満たすことができたから、あのような高い滞在時間を記録できたのだと思う。


S:今はStumbleUponでどのような仕事をしているのですか?
G:僕はまだ5byのCEOとしてここに籍を置いているよ。実際、仕事に関しては買収前後で何も変わっていないんだ。ただ、オフィスはカナダからサンフランシスコの大きくて綺麗なオフィスに移動したよ。またボードメンバーが強化された。Uber会長のGarrett CampやGoogleの役員Kavitark Ram Shriram、Dropboxの役員、August CapitalのDavid Hornikなどだ。この環境はとても良いと感じるよ。特にサンフランシスコは非常に良い場所だ。もちろん、バンクーバーや東京、ロンドンなども素晴らしいけど、ここではより速く大きな成長を求められる。良い意味でのプレッシャーがあるんだ。


S:今後、自身で再びスタートアップをはじめる予定はありますか?
G:今は自分たちの掲げているビジョンを達成することに集中したい。数百万のデイリーアクティブユーザーもいるし、6ヶ月前から仕込んでいるモバイルのアプリのローンチを8月に控えているしね。それをしっかり形にしたいんだ。友達とかは色々とアイディアを持ってきてくれるんだけど、今は頭がいっぱいでね。ただ、ビデオディスカバリーといった問題を解決した後は、何かやりたいね。僕は自分でビジネスをやるのが大好きだってことに気づいたよ。麻薬みたいなもんだ。


S:あなたの投資家サイドの話しをお伺いします。なぜIndicator Venturesに参画されたのですか?
G:僕の周りにはスタートアップで成功しているたくさんの友人がいるんだ。1000億円規模の企業を作ったHootSuiteの創業者Ryan Holmesなどが良い例だ。このような環境の中、よく友人が僕のところにきて、新しく会社を起こそうと思う、このようなアイディアなんだって話にくるんだ。みんな優秀だから、彼らが本物の起業家になるかどうか試してみたくなる。そこで、友人と共同で出資するという活動をしていた。このような流れで設立したのがGood People Venturesという名前の投資ファンドで、僕が投資家として活動したはじめてのVCだね。25〜50K(約250万〜500万円)時には100K(1000万円)の投資をしていたよ。つい最近発表したんだけど、Indicator Venturesはまったく新しいファンドでもう少し大きめのやつだね。すごく優秀な人材をパートナーとして獲得できているんだ。


S:どのように良い投資先を探すのですか?
G:友人経由が多いけど、最近ではProduct Huntかな!最近話題のYoには投資はしてないんだけど、1ヶ月前にProduct Huntの創業者のRyanとコーヒーを飲んでいたら、Yoの話が出たんだよね。こんな感じで友人経由で良い案件に近づけるし、Product Huntでそういう情報をゲットすることも可能だと思う。

S:そういえば、あなたの投資先であるCirca Newsの記事を別のメディアに寄稿したことがあるんです。
G:おお、いいね!僕はこのアプリの大ファンだよ。Circa Newsの創業者兼CEOのMatt Galliganはめちゃくちゃイケてる奴なんだ。しかも、ここのPresidentであるJohn Maloneyは、Tumblrの元Presidentでもる。非常に良いチームだよ。


日本ベースでスタートアップを始めるなら、常にアメリカを夢見て過ごすことになる



S:スタートアップがVCから資金を調達する上で一番大切なことを教えてください。
G:特にシードでの調達に関しては、チームが大事だと思う。どのようにこのチームが成功するのかを見ているんだ。たとえばJohn MaloneyはTumblrをYahoo!に$1Bで売ったわけだけど、彼のように一度経験があると失敗するリスクは低くなるよね。なぜならダウンサイドリスクに関してはacquhire(人材獲得を目的とした買収)がある。というのも会社を$5M(約5億円)で売ることができれば、投資した額を回収できるからね。アップサイドはもちろん$2B(約2000億円)の企業になることが考えられる。

このようにチームが最も大事なんだけど、次にはスペース(事業領域)の選択が大事になる。
市場が大きなスペースを狙っていることが大事だ。なぜなら、事業の方向転換をすることが容易だから。例えば、我々は実際にRedditのビデオ版としてサービスをはじめたが、すぐに事業をpivotさせたよ。なぜならReddit型のビデオ発見は需要がなかった。ビデオディスカバリーの領域は大きな市場があったからそのような方向転換ができたんだ。小さな市場を選択していたらできなかったと思う。


S:いくつかの日本のスタートアップがベイエリアで資金調達をしようと試みています。何か彼らにアドバイスをください。
G:シリコンバレーもしくは米国以外から挑戦するチームにとって共通して言えるアドバイスは、シードラウンドの調達はかなり難しいということだ。なぜなら、人々は彼らのことをよく知らないし、知る術もないからね。たった、2〜3週間こちらに来ても、あなた誰?といった印象だろう。なので、最初の資金調達は自国で行うことをすすめるよ。東京なら簡単に素早く調達できるだろう?そして、シードマネーを手に入れたら、トラクション作りに励むんだ。そしてシリーズAの調達をベイエリアでするために、サンフランシスコに飛んで人と会うことに時間を使おう。最新のトラクションを持って毎日人に会うことをすすめる。そしてこまめに連絡を取り続けるんだ。そのためにベイエリアに意思決定のできる人間を置いておくことをすすめる。東京はサンフランシスコから遠いから、10時間以上フライトでかかってしまうだろう。NYCとSFなら6時間程度だ。このような時間の感覚から米国のVCは日本を遠い存在に感じてしまう。なので、1〜2人をここに置いておくことをすすめるよ。


S:米国外から挑戦をする起業家にとって、YCや500などのアクセラレータは参加する価値があるでしょうか?
G:うーん、ベイエリアにはたくさんのアクセラレーターがあるからね。Y Combinatorは最高のアクセラレーターだから良いんだけど、他のアクセラレーターに事業をどのように立ち上げるかを学ぶためだけに参加する価値は正直ないと思う。もし、あなたがはじめて起業をするのであればその手のアクセラレーターやインキュベーターに参加すべきだろう。素晴らしい体験ができると思う。なぜなら、どのようにチームを形成するのか、プレゼンのや資金調達の方法、どのようにトラクションを獲得するかなどを教えてくれる。結論、はじめて起業を経験するのであれば、YC以外のアクセラレーターは十分価値があると思う。しかし、もしあなたが経験のある日本の起業家なのであればYCに参加し易い一方で、はじめての起業するという日本の起業家は入るのに苦労するというのも事実だ。


S:カナダのスタートアップのエコシステムについて教えてください。Shopify、HootSuite、kiipなど、多くの素晴らしいスタートアップが生まれています。
G:カナダはスタートアップにとって良い環境だと思う。1つ目は地理的にシリコンバレーに近いというのがカナダの利点だ。90%のカナダ人がUSの国境線近くに住んでいるらしいよ。2つ目は政府がエンジニアの給料の80%を補助金で肩代わりしてくれることだ。このように政府がスタートアップの後押しをしてくれる。そういった理由からHootSuiteなどはバンクーバーにずっと拠点を構えているんだよ。カナダからでも十分に優秀なエンジニアを集めることができるからね。


S:最後に、日本の起業家に何かメッセージをください。
G:日本の市場は素晴らしいマーケットだと思う。でも、問題はスケールしないことだ。もし、あなたのスタートアップが世界で成功したいのであれば、USでまず成功させることだ。現在ではそれが世界で成功させるための一番の近道だからね。日本でスタートアップをはじめた場合、20億円で会社が売れたりできるかもしれない。でも世界はあなたを覚えていないんだ。日本では覚えてもらえるかもしれないけどね。また、もし日本ベースでビジネスをはじめるなら、あなた達はいつもアメリカを夢見て過ごすことになる。米国ではじめれば、ビジネスは次第とイギリスやカナダといった英語圏に広がる。これが米国からネットのビジネスをはじめるべき最大の理由だ。

5byのサイトはこちら。StumbleUponのサイトはこちら。Greg IsenbergのTwitterアカウントはこちら

『日本ベースでスタートアップを始めたら、常にアメリカを夢見て過ごすことになる』25歳の連続起業家Greg Isenbergへのインタビュー





ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、連続起業家でありエンジェル投資家でもあるGreg Isenberg氏にインタビューを行った。Greg Isenberg氏は過去に3度の事業売却を行っており、現在は前社の5byがソーシャルディスカバリーエンジンを提供しているStumbleUponに買収されたことから、StumbleUponに籍を置きながらIndicator Venturesのパートナーとしてエンジェル投資も行っている。

3度目の起業とStumbleUponへの売却、エンジェル投資家としての活動


質問者S(以下S):まず、あなたのバックグラウンドについて教えてください。今までに多くの会社を立ち上げてきたとお伺いしました。
Greg(以下G):今までで3社のスタートアップを立上げたよ。1つ目はデザインやUI/UXのエージェンシーだ。このスタートアップは7歳〜12歳のときまでやっていた。当時は、ナイキのエアジョーダン(靴)が欲しかったんだけど、親父は200ドルもするシューズは買ってくれなかった。そのとき、ちょうどインターネットに魅了されていたんだ。これはお金になるんじゃないかと思ってウェブサイトを作る商売をはじめたよ。そんな形で僕のスタートアップの歴史が始まって、いくつかスタートアップを立ち上げながら、ベンチャーキャピタルにジョインすることになったんだ。


S:StumbleUponに売却した会社5byについて教えてください。どのような経緯で会社を立ち上げ、買収に至ったのですか?
G:YouTubeの動画に注目してこの事業をはじめたよ。YouTubeの動画鑑賞はエンターテイメントとして素晴らしいんだけど、もっと効果的に閲覧できるんじゃないかと考えたんだ。そんな形でこのプロジェクトを立ち上げたよ。まだ、モバイル版を提供する前だったんだけど、大量のトラクションをwebブラウザベースで獲得することができた。

その後、StumbleUponの中のある人物にあったんだ。その人物はGarrett Camp氏で、StumbleUponの創業者であり、Uberの共同創業者(現会長)でもある。彼は素晴らしいビジネスマンでありコメディアンなんだ。彼と話をしてStumbleUponと5byのビジョンが同じであることに気づいたし、レコメンデーションエンジンをベースに面白いコンテンツをユーザーに配信するというのはとても興味深かった。実際に、StumbleUponは世界で最も大きなソーシャルメディアのレファレンスサイトのひとつなんだ。LinkedInよりも規模はでかい。我々はコンテンツや出版物のディストリビューションソースを開発したので、目指しているものは彼らと同じなんだ。自分自身でこの事業を続けることはとてもクールだけど、StumbleUponの創業者は誇張なしにリコメンデーションエンジンのパイオニアで、彼らとともにプロダクトを作った方が、目的を達成するのが早いと考えたんだ。

自分の会社を売るという決断はとてもつらいものだったけどね。また、いくつかの企業からオファーは貰っていたんだけど、ビジョンやゴールが同じだったし、それを達成するために僕達の助けが必要だと言ってくれたから、StumbleUponに決めたよ。最善の選択だったと思う。会社を売った後はすぐにカナダからサンフランシスコに移動してここのチームにジョインしたんだ。


S:他に誰が買収に興味を持ったのですか?
G:実名は言えないけど、ムービーやビデオ、ソーシャルネットワークの分野に興味のあるプレイヤーを想像してみてくれ。


S:創業から買収されるまでの期間を教えてください?
G:11ヶ月だよ。ソーシャルメディアの分野で企業を売却したケースでは最速らしい。なんでも速く進めたい質でね。僕達のチームはめちゃくちゃ速くプロダクトを立ち上げ、トラクションを獲得した。そんな感じだよ。


S:会社を売った時はどれくらいのトラクションがあったのですか?
G:数十万の月間ユーザーがいたよ。それよりもユーザーのエンゲージが顕著で、平均で22分サイトに滞在していたんだ。


S:どのようにそのような多くのユーザーを短期間で獲得したのですか?
G:なぜ人々が5byを好きかというと、ボタンを押すだけで面白いビデオが次々に彼らのもとへ届くことにあると思う。当初は多くの会社がPinterest for Videoのようなものに挑戦していた。でも結局そのようなプロダクトはPinterestのみで十分だったんだ。しかし、もっとTVのようにインターネットでビデオを閲覧したいと思うユーザーはたくさんいた。ソファーに座ってスイッチを入れれば、面白いコンテンツが次から次へと勝手に流れてくるといった体験だ。そのような需要を短期間で満たすことができたから、あのような高い滞在時間を記録できたのだと思う。


S:今はStumbleUponでどのような仕事をしているのですか?
G:僕はまだ5byのCEOとしてここに籍を置いているよ。実際、仕事に関しては買収前後で何も変わっていないんだ。ただ、オフィスはカナダからサンフランシスコの大きくて綺麗なオフィスに移動したよ。またボードメンバーが強化された。Uber会長のGarrett CampやGoogleの役員Kavitark Ram Shriram、Dropboxの役員、August CapitalのDavid Hornikなどだ。この環境はとても良いと感じるよ。特にサンフランシスコは非常に良い場所だ。もちろん、バンクーバーや東京、ロンドンなども素晴らしいけど、ここではより速く大きな成長を求められる。良い意味でのプレッシャーがあるんだ。


S:今後、自身で再びスタートアップをはじめる予定はありますか?
G:今は自分たちの掲げているビジョンを達成することに集中したい。数百万のデイリーアクティブユーザーもいるし、6ヶ月前から仕込んでいるモバイルのアプリのローンチを8月に控えているしね。それをしっかり形にしたいんだ。友達とかは色々とアイディアを持ってきてくれるんだけど、今は頭がいっぱいでね。ただ、ビデオディスカバリーといった問題を解決した後は、何かやりたいね。僕は自分でビジネスをやるのが大好きだってことに気づいたよ。麻薬みたいなもんだ。


S:あなたの投資家サイドの話しをお伺いします。なぜIndicator Venturesに参画されたのですか?
G:僕の周りにはスタートアップで成功しているたくさんの友人がいるんだ。1000億円規模の企業を作ったHootSuiteの創業者Ryan Holmesなどが良い例だ。このような環境の中、よく友人が僕のところにきて、新しく会社を起こそうと思う、このようなアイディアなんだって話にくるんだ。みんな優秀だから、彼らが本物の起業家になるかどうか試してみたくなる。そこで、友人と共同で出資するという活動をしていた。このような流れで設立したのがGood People Venturesという名前の投資ファンドで、僕が投資家として活動したはじめてのVCだね。25〜50K(約250万〜500万円)時には100K(1000万円)の投資をしていたよ。つい最近発表したんだけど、Indicator Venturesはまったく新しいファンドでもう少し大きめのやつだね。すごく優秀な人材をパートナーとして獲得できているんだ。


S:どのように良い投資先を探すのですか?
G:友人経由が多いけど、最近ではProduct Huntかな!最近話題のYoには投資はしてないんだけど、1ヶ月前にProduct Huntの創業者のRyanとコーヒーを飲んでいたら、Yoの話が出たんだよね。こんな感じで友人経由で良い案件に近づけるし、Product Huntでそういう情報をゲットすることも可能だと思う。

S:そういえば、あなたの投資先であるCirca Newsの記事を別のメディアに寄稿したことがあるんです。
G:おお、いいね!僕はこのアプリの大ファンだよ。Circa Newsの創業者兼CEOのMatt Galliganはめちゃくちゃイケてる奴なんだ。しかも、ここのPresidentであるJohn Maloneyは、Tumblrの元Presidentでもる。非常に良いチームだよ。


日本ベースでスタートアップを始めるなら、常にアメリカを夢見て過ごすことになる



S:スタートアップがVCから資金を調達する上で一番大切なことを教えてください。
G:特にシードでの調達に関しては、チームが大事だと思う。どのようにこのチームが成功するのかを見ているんだ。たとえばJohn MaloneyはTumblrをYahoo!に$1Bで売ったわけだけど、彼のように一度経験があると失敗するリスクは低くなるよね。なぜならダウンサイドリスクに関してはacquhire(人材獲得を目的とした買収)がある。というのも会社を$5M(約5億円)で売ることができれば、投資した額を回収できるからね。アップサイドはもちろん$2B(約2000億円)の企業になることが考えられる。

このようにチームが最も大事なんだけど、次にはスペース(事業領域)の選択が大事になる。
市場が大きなスペースを狙っていることが大事だ。なぜなら、事業の方向転換をすることが容易だから。例えば、我々は実際にRedditのビデオ版としてサービスをはじめたが、すぐに事業をpivotさせたよ。なぜならReddit型のビデオ発見は需要がなかった。ビデオディスカバリーの領域は大きな市場があったからそのような方向転換ができたんだ。小さな市場を選択していたらできなかったと思う。


S:いくつかの日本のスタートアップがベイエリアで資金調達をしようと試みています。何か彼らにアドバイスをください。
G:シリコンバレーもしくは米国以外から挑戦するチームにとって共通して言えるアドバイスは、シードラウンドの調達はかなり難しいということだ。なぜなら、人々は彼らのことをよく知らないし、知る術もないからね。たった、2〜3週間こちらに来ても、あなた誰?といった印象だろう。なので、最初の資金調達は自国で行うことをすすめるよ。東京なら簡単に素早く調達できるだろう?そして、シードマネーを手に入れたら、トラクション作りに励むんだ。そしてシリーズAの調達をベイエリアでするために、サンフランシスコに飛んで人と会うことに時間を使おう。最新のトラクションを持って毎日人に会うことをすすめる。そしてこまめに連絡を取り続けるんだ。そのためにベイエリアに意思決定のできる人間を置いておくことをすすめる。東京はサンフランシスコから遠いから、10時間以上フライトでかかってしまうだろう。NYCとSFなら6時間程度だ。このような時間の感覚から米国のVCは日本を遠い存在に感じてしまう。なので、1〜2人をここに置いておくことをすすめるよ。


S:米国外から挑戦をする起業家にとって、YCや500などのアクセラレータは参加する価値があるでしょうか?
G:うーん、ベイエリアにはたくさんのアクセラレーターがあるからね。Y Combinatorは最高のアクセラレーターだから良いんだけど、他のアクセラレーターに事業をどのように立ち上げるかを学ぶためだけに参加する価値は正直ないと思う。もし、あなたがはじめて起業をするのであればその手のアクセラレーターやインキュベーターに参加すべきだろう。素晴らしい体験ができると思う。なぜなら、どのようにチームを形成するのか、プレゼンのや資金調達の方法、どのようにトラクションを獲得するかなどを教えてくれる。結論、はじめて起業を経験するのであれば、YC以外のアクセラレーターは十分価値があると思う。しかし、もしあなたが経験のある日本の起業家なのであればYCに参加し易い一方で、はじめての起業するという日本の起業家は入るのに苦労するというのも事実だ。


S:カナダのスタートアップのエコシステムについて教えてください。Shopify、HootSuite、kiipなど、多くの素晴らしいスタートアップが生まれています。
G:カナダはスタートアップにとって良い環境だと思う。1つ目は地理的にシリコンバレーに近いというのがカナダの利点だ。90%のカナダ人がUSの国境線近くに住んでいるらしいよ。2つ目は政府がエンジニアの給料の80%を補助金で肩代わりしてくれることだ。このように政府がスタートアップの後押しをしてくれる。そういった理由からHootSuiteなどはバンクーバーにずっと拠点を構えているんだよ。カナダからでも十分に優秀なエンジニアを集めることができるからね。


S:最後に、日本の起業家に何かメッセージをください。
G:日本の市場は素晴らしいマーケットだと思う。でも、問題はスケールしないことだ。もし、あなたのスタートアップが世界で成功したいのであれば、USでまず成功させることだ。現在ではそれが世界で成功させるための一番の近道だからね。日本でスタートアップをはじめた場合、20億円で会社が売れたりできるかもしれない。でも世界はあなたを覚えていないんだ。日本では覚えてもらえるかもしれないけどね。また、もし日本ベースでビジネスをはじめるなら、あなた達はいつもアメリカを夢見て過ごすことになる。米国ではじめれば、ビジネスは次第とイギリスやカナダといった英語圏に広がる。これが米国からネットのビジネスをはじめるべき最大の理由だ。

5byのサイトはこちら。StumbleUponのサイトはこちら。Greg IsenbergのTwitterアカウントはこちら