『NuzzelはSNSをチェックする無駄な時間を減らすニュースアプリ』元FriendsterのCEO、現NuzzelのCOO、Kent Lindstromへのインタビュー



インタビューシリーズ。今回は、Friendster(Facebookが台頭する前のSNS大手)の元CEO、現在NuzzelのCOOを務めるKent Lindstrom氏にインタビューを行った。Nuzzelは、ニュースのアグリゲーションアプリで、FacebookとTwitter上で友人が一番拡散しているニュースを毎日配信してくれるといったもの。PayPalの創業者Max Levchin氏、Angel Listの創業者Naval Ravikant氏、リーンスタートアップの提唱者Eric Ries氏、a16zの創業者Marc Andreessen氏などの著名エンジェル投資家が挙って出資している注目のスタートアップだ。

SNSでニュースをチェックする無駄な時間を減らす


質問者Y(以下Y):まず最初に、あなたのバックグラウンドについて教えてください。
Kent  Lindstrom氏(以下K):テクノロジーの会社の重役を15年くらいつとめたよ。そして最初の会社は本関連の会社のビジネスをしているNetreadという会社だったが、その後は今NuzzelでCEOを務めるジョナサンが立ち上げた、Friendstarという会社にジョインした。最終的にはCEOを任されるようになったんだ。

その後に自分の会社であるPlacePopを創業したね。結局PlacePopはうまくいかなかったんだけど、その後は日本で知っている人も多いであろうデジタルガレージの子会社NEOでCOOを務めたんだ。日本だけでなく世界に数百人の人材をエンジニアを持つ素晴らしい会社だよ。またその後、Friendstar時代からの知り合いであるジョナサンにNuzzelにジョインしないかと誘われたので、去年の10月にCOOとしてNuzzelに参加することにしたんだ。Nuzzelに参加してからは$1.7M(約1.7億円)をDeNAやデジタルガレージ、Wilを含むいくつかのVC達から資金調達をするに至ったよ。



Y:前回のラウンドでは、日本の投資家がいくつか入っていますね。どのように日本の投資家と繋がりを作ったのですか?
K:そうだね、デジタルガレージの関係で元々繋がりがあって、会う事が出来た人たちもいたけど、Jo Itoに紹介してもらったよ。基本的には彼の紹介が大半だね。また、Nuzzelにとってアメリカの次に大きなマーケットが日本なので、日本のVCから調達することは、投資家の人達からしても、自分たちNuzzelの立場からしても相互にメリットは大きかったと思う。


Y:確かに日本はニュースアグリゲーションの市場が大きいと思います。ただ、その分競合がたくさんいるのではないですか?
K:そうだよね。GunosyやSmartNewsのことは自分たちも認識しているよ。特にGunosyは大きな資金調達を重ねていてとても調子が良いと言う印象だね。


Y:また、アメリカでもニュースアグリゲーションの市場は競合が多いのではないでしょうか?ZiteやPrismatic、Circaなんかもあります。
K:そうだね。でもNuzzelの最も大きな特徴は、キューレーションする際にカテゴリの様な物を一切持たない事にもあるんだ。自分達のフィードはご存知の通りソーシャルメディア上で友人やフォローしている人が拡散している記事をまとめている。自分たちでコンテンツを持たないのはもちろんだが、集められる記事は全てユーザーごとに全くことなるようになっている。それ故、Nuzzelは他のキューレーションメディアとは違った軸でコンテンツを集めていることになるんだ。


Y:日本ではSNSをニュースを読むために使っている人が多いのですが、一部の人達はSNSに時間を費やし過ぎています。そんな中、Nuzzelは彼らに日々SNSをチェックするといった無駄な時間を削減する解決策を提供できると思うのですが。どうでしょう。
K:そうだね。ニュースというものはスポーツや政治、経済など全くことなる分野のコンテンツが世界中に無限に存在する。Googleは、検索エンジンというツールの立場を用いて、それらの情報を中立的な状態で提供していると思う。ただ、検索の様に全ての情報に自らアプローチする手段ではなく、各個人に関係がありそうなコンテンツ群から情報を探すというアプローチ方法も存在する。そしてそれを実現する為に考えられるアプローチは、ユーザーが各自のソーシャルグラフから最大公約数的に割り出される範囲のニュースカテゴリから、対象となる分野のコンテンツをキューレーションするという手法だ。そのソーシャルグラフを考える時にTwitterとFacebookを用いるのが恐らく最良の手段であり、自分たちはそれら2つをソースとしてニュースを提供しているんだ。これらの理論は実際かなり理にかなっていて、自分たちはコンテンツを持たずに、それぞれのユーザーが非常に高い確立で各ユーザーの求めているコンテンツを探せる様になっていると思うよ。


Y:Nuzzelは順調に成長している印象を受けます。どのようにユーザーを獲得してきたのですか?
K:そうだね。今までは非常に順調なペースで成長することが出来ている。現在、自分たちは月に数十万の訪問者を獲得している。当初β版をリリースした直後に自分たちのサービスはtech業界の多くの人々に利用してもらうこができたんだ。エリック・リースやその他著名な投資かなんかも含めてね。彼等はとてもアーリーアダプターでありながら、同時にインフルエンサーだ。そんな彼等がNuzzelのフォードに集められたニュースをシェアしてくれた事で、バイラルの効果を生み、どんどんユーザーを獲得できたね。また、数ヶ月前にアプリをローンチしたタイミングで、App StoreがNuzzelのアプリをフィーチャーしてくれたんだよ。それもまた自分たちのユーザー獲得に大きく貢献してくれた要因の一つだと思う。

それに加えて言うと、自分たちはユーザー獲得のために広告は一切使っていないね。日本ではGunosyがテレビCMで大々的にユーザーを獲得したみたいだけど。僕らに出資をした日本の投資家の人たちは「日本ではテレビCMがユーザーにアプローチするチャネルとして依然として強いから、とても良い戦略だった。」と言っていたよ。

また、アーリーアダプターとしてtech業界の著名人が登録してくれた事は資金調達する時の助けにもなったよ。業界の著名人である投資家達が日常的に自分たちのプロダクトに好感触を持ってくれていたので、ピッチがし易かったのはもちろん、興味を持ってくれる人たちがとても多かった。自分はオンラインのニュース市場は全部で2〜30億人分あると思っている。それはとても大きなチャンスでエキサイティングな舞台だよ。これはもちろん投資家の人たちにとっても魅力的だと言えるだろうね。


Y:ベイエリアを代表する著名エンジェル投資家がNuzzelに出資していますね。どのように彼らから資金調達をしたのですか?

K:一つはFounderであるジョナサンのコネクションだ。自分たちが以前やっていたFriendsterはSNSの先駆けのサービスと言っても過言ではなかった。その際にジョナサンがシリコンバレーでトップクラスの投資家達と繋がりを持ったことは大きいと思う。また、トップクラスのVCは彼等自身も含めて多くの人が日常的に利用するサービスを探しているんだ。その点、自分たちのプロダクトはニュースを読むという、人々が毎日利用するサービスだったので、魅力的にうつったのだと思う。


Y:将来的にはどのようにしてマネタイズをするつもりですか?

K:自分たちはマネタイズをまだ考えていない。とにかく今はより多くのユーザーを獲得し、彼等のエンゲージメントを高める事にのみフォーカスをしているよ。後々は恐らく広告による収入になるだろうね。ただ、一口に広告と言っても、自分たちのプロダクトはソーシャルグラフを上手く活用しているので、他のメディアやキューレーションサイトなどよりも、より詳細にターゲティング広告が提供出来るはずだと考えているよ。

具体的にどんな広告の手法になるのかはまだ分からないけど、Facebookが広告ビジネスを成功させてから、ただのSNSという次元を超えたのと同様に、自分たちも多くのユーザーを集めた後には、この分野のビジネスの大きな転換点となるだろう。


Y:創業者のジョナサン氏はどのようにしてNuzzelのアイディアを思いついたのですか? K:実は、このアイディアはジョナサンの個人的な経験に基づくものなんだ。と言うのも、彼もまた一人のエンジニアとして最新のニュースをSNSを通じて獲得してきた一人だった。しかし、SNS上にある情報はとにかく多すぎて、情報収集に苦痛を感じていたらしい。SNS上でシェアされている全てを把握するのはとても困難だからね。それを解決しようと彼自身で生み出したのがこのNuzzelになるんだよ。


日本は2番目に大きな市場、日本語版のローンチも考えている



Y:なぜ日本のVCから資金を調達したのか具体的に教えてください。

K:投資や資金調達に置いて信頼関係と言うのはとても大事な存在になってくる。彼等は自分がデジタルガレージで働いていた時からの知り合いだったので、投資家としてこの事業に参加してもらうのは大歓迎だった。

日本は、GunosyやSmartNewsなどが大型の資金調達を行っていることから分かるようにニュースの市場がとても大きいと言う事が分かった。それに加えてNuzzelは日本が2番目に大きな市場なので、日本のマーケットに詳しい投資家から資金調達をするのは、十分にインセンティブになったんだ。


Y:Nuzzelには現在何人のチームメンバーがいるのですか?

K:今は4人だよ。


Y:たった4人ですか!?

K:そうだよ(笑)。 ファウンダーのジョナサンに加えて2人のエンジニアと自分だね。確かに一見すると少人数で大きなユーザーを支えていると驚くかもしれないけど、WhatsAppも最終的にFacebookに買収される時には50人くらいしか社員はいなかったし、シリコンバレーではこういう事が日常的に起きていると思う。



Y:ユーザー数の増加はどのような調子ですか?
K:メール配信やwebサイト、アプリの訪問者それぞれを含めて毎月数十万のユーザーがいるとだけは言えるよ。実際ユーザー数は毎月着々と伸びているし、これをもっともっと増やしていく施策もたくさん考えている。だから、今後はさらにユーザーを伸ばしていけると確信しているよ。


Y:日本のユーザーが2番目に多いということですが、どのように日本のユーザーを獲得したのですか?
K:自分たちも正確には分かっていないよ(笑)。確かに日本のApp Storeやwebサイトには何度かフィーチャーされたこともあったし、日本の投資家が使ってくれているのも理由の一部だとは思うけど、完全には理解していないね。


Y:Friendster時代からの仲のジョンソンにはいつ出会ったのですか?
K:あれは約10年前だね。Friendsterを始めたときだった。その時からたまにオフィスに行っては少し手伝うなんて日々をで重ねていたんだ。もちろん無料でね。そしたら、最終的にジョンソンが「Friednsterを一緒にやろう!」と声をかけてくれたので、その時から正式にフルタイムとして一緒に働き始めたよ。


Y:日本語バージョンを出す予定はありますか?
K:もちろん、あるよ。ただ、自分たちは先にAndroidやiPadバージョンをローンチする必要があるから、その後になるだろうね。日本語は英語とはかなり異なる言語だし、少し時間がかかるかもしれない。


Y:Nuzzelの競合はどんなサービスでしょうか?
K:直接的な競合とは言えないかもしれないけど、恐らく日本だとGunosy、全世界だとCirca Newsだろうね。彼等はカテゴリーなどを持つ点で、自分たちよりもより一般的なニュースを扱っていると言える。一方、自分たちはカテゴリーなどはユーザーによって変わると考えているので、その点では直接的な競合ではないと言えると思う。また、Circa Newsなどは編集をCirca自身で行っているので、自分達とはプロダクトが大きく異なる部分もある。ただ、将来的にNuzzelもCirca Newsもより大きくなった時、競合となるのは間違いないと思うよ。


Y:今将来的にはどのようにビジネスを展開させていくつもりなのですか?
K:そうだね。プロダクトとしてはさっきも言った通りAndroidやiPadなどのデバイスに対応させた後、より詳細に言語化などを通じてローカライズさせていくよ。Nuzzel全体としては、ニュースのプラットフォームとしてプレゼンスを高めていくだろう。FacebookやTwitterはソーシャルメディアから様々なデータやビジネスを取り込んできたけど、Nuzzelはあくまでニュースだ。


そして何より、Nuzzelは一般的なニュースのようなカテゴリを持たない分、各ユーザーにフォーカスし、最適化されたフィードを提供していく事になる。最終的には、各個人に対してより最適化したフィードをその他のユーザーがより自由にアクセスできる様にすることで、個人をベースとした本当に質の高い情報を提供できるプラットフォームとなっていくつもりだ。そしてこれはNuzzelにしか実現できない事なんだ。


Y:どんなサービスもそうですが、特にニュースメディアは最初にインフルエンサーを獲得する必要があると思っています。そして彼らには、よりニッチなトピックが刺さり易いと考えています。しかし、成長の過程でより一般的なユーザー郡を獲得するには、メディアはニッチなカテゴリーからより一般的な情報を扱うことにシフトする必要があるのかもしれません。Nuzzelは今ニッチなtech業界の人たちをアーリーアダプターとして獲得しました。次に一般層の人たちを獲得するために、Nuzzelは今後どのような方法をとるつもりですか?
K:自分達は技術的な理由で特に対策は必要がないと考えている。なぜなら、自分たちはカテゴリや、記事の作成/編集を自分たちで負担していない。あくまで各個人のソーシャルグラフをベースにコンテンツを提供している。そのため、アーリアダプターは恐らくtech系のネタを好むはずであるが、tech系のネタを好む人はソーシャルグラフ的に近しい人たちも同様にtech系のネタを好むはずだ。そのためNuzzelはアーリーアダプター向けに特に何かを変更する必要はない。


また一方で、より一般層のユーザーを獲得する時にも特に変更しなければならない点もない。と言うのも、より一般的なネタの例として「政治」などがあげられが、一般的な政治ネタが好きな人たちのソーシャルグラフの周りには同様に「政治」のニュースを好む人たちが多く存在すると言えるはずだ。この様に、Nuzzelは情報のソースにNuzzel自身が一切介入せず、あくまで各ユーザーのソーシャルグラフに依存しているので、このNuzzelの設計上、特に対策などはせずにこのまま成長していけると思っているよ。


Y:最後に、日本の潜在的なNuzzelのユーザーにメッセージをお願いします。
K:既にNuzzelを利用している人たちの一部は、Nuzzelをマジックだと言っている。実際にその通りなんだ。多くの人たちが良質な情報を集める為に、無駄にアクセスしてしまうFacebookやTwitterへの時間を減らす事ができるからね。是非一度試してこのマジックを体感して欲しい。とにかく試してみてくれ。

Nuzzelのページはこちら。Kent氏のTwitterアカウントはこちら

『NuzzelはSNSをチェックする無駄な時間を減らすニュースアプリ』元FriendsterのCEO、現NuzzelのCOO、Kent Lindstromへのインタビュー



インタビューシリーズ。今回は、Friendster(Facebookが台頭する前のSNS大手)の元CEO、現在NuzzelのCOOを務めるKent Lindstrom氏にインタビューを行った。Nuzzelは、ニュースのアグリゲーションアプリで、FacebookとTwitter上で友人が一番拡散しているニュースを毎日配信してくれるといったもの。PayPalの創業者Max Levchin氏、Angel Listの創業者Naval Ravikant氏、リーンスタートアップの提唱者Eric Ries氏、a16zの創業者Marc Andreessen氏などの著名エンジェル投資家が挙って出資している注目のスタートアップだ。

SNSでニュースをチェックする無駄な時間を減らす


質問者Y(以下Y):まず最初に、あなたのバックグラウンドについて教えてください。
Kent  Lindstrom氏(以下K):テクノロジーの会社の重役を15年くらいつとめたよ。そして最初の会社は本関連の会社のビジネスをしているNetreadという会社だったが、その後は今NuzzelでCEOを務めるジョナサンが立ち上げた、Friendstarという会社にジョインした。最終的にはCEOを任されるようになったんだ。

その後に自分の会社であるPlacePopを創業したね。結局PlacePopはうまくいかなかったんだけど、その後は日本で知っている人も多いであろうデジタルガレージの子会社NEOでCOOを務めたんだ。日本だけでなく世界に数百人の人材をエンジニアを持つ素晴らしい会社だよ。またその後、Friendstar時代からの知り合いであるジョナサンにNuzzelにジョインしないかと誘われたので、去年の10月にCOOとしてNuzzelに参加することにしたんだ。Nuzzelに参加してからは$1.7M(約1.7億円)をDeNAやデジタルガレージ、Wilを含むいくつかのVC達から資金調達をするに至ったよ。



Y:前回のラウンドでは、日本の投資家がいくつか入っていますね。どのように日本の投資家と繋がりを作ったのですか?
K:そうだね、デジタルガレージの関係で元々繋がりがあって、会う事が出来た人たちもいたけど、Jo Itoに紹介してもらったよ。基本的には彼の紹介が大半だね。また、Nuzzelにとってアメリカの次に大きなマーケットが日本なので、日本のVCから調達することは、投資家の人達からしても、自分たちNuzzelの立場からしても相互にメリットは大きかったと思う。


Y:確かに日本はニュースアグリゲーションの市場が大きいと思います。ただ、その分競合がたくさんいるのではないですか?
K:そうだよね。GunosyやSmartNewsのことは自分たちも認識しているよ。特にGunosyは大きな資金調達を重ねていてとても調子が良いと言う印象だね。


Y:また、アメリカでもニュースアグリゲーションの市場は競合が多いのではないでしょうか?ZiteやPrismatic、Circaなんかもあります。
K:そうだね。でもNuzzelの最も大きな特徴は、キューレーションする際にカテゴリの様な物を一切持たない事にもあるんだ。自分達のフィードはご存知の通りソーシャルメディア上で友人やフォローしている人が拡散している記事をまとめている。自分たちでコンテンツを持たないのはもちろんだが、集められる記事は全てユーザーごとに全くことなるようになっている。それ故、Nuzzelは他のキューレーションメディアとは違った軸でコンテンツを集めていることになるんだ。


Y:日本ではSNSをニュースを読むために使っている人が多いのですが、一部の人達はSNSに時間を費やし過ぎています。そんな中、Nuzzelは彼らに日々SNSをチェックするといった無駄な時間を削減する解決策を提供できると思うのですが。どうでしょう。
K:そうだね。ニュースというものはスポーツや政治、経済など全くことなる分野のコンテンツが世界中に無限に存在する。Googleは、検索エンジンというツールの立場を用いて、それらの情報を中立的な状態で提供していると思う。ただ、検索の様に全ての情報に自らアプローチする手段ではなく、各個人に関係がありそうなコンテンツ群から情報を探すというアプローチ方法も存在する。そしてそれを実現する為に考えられるアプローチは、ユーザーが各自のソーシャルグラフから最大公約数的に割り出される範囲のニュースカテゴリから、対象となる分野のコンテンツをキューレーションするという手法だ。そのソーシャルグラフを考える時にTwitterとFacebookを用いるのが恐らく最良の手段であり、自分たちはそれら2つをソースとしてニュースを提供しているんだ。これらの理論は実際かなり理にかなっていて、自分たちはコンテンツを持たずに、それぞれのユーザーが非常に高い確立で各ユーザーの求めているコンテンツを探せる様になっていると思うよ。


Y:Nuzzelは順調に成長している印象を受けます。どのようにユーザーを獲得してきたのですか?
K:そうだね。今までは非常に順調なペースで成長することが出来ている。現在、自分たちは月に数十万の訪問者を獲得している。当初β版をリリースした直後に自分たちのサービスはtech業界の多くの人々に利用してもらうこができたんだ。エリック・リースやその他著名な投資かなんかも含めてね。彼等はとてもアーリーアダプターでありながら、同時にインフルエンサーだ。そんな彼等がNuzzelのフォードに集められたニュースをシェアしてくれた事で、バイラルの効果を生み、どんどんユーザーを獲得できたね。また、数ヶ月前にアプリをローンチしたタイミングで、App StoreがNuzzelのアプリをフィーチャーしてくれたんだよ。それもまた自分たちのユーザー獲得に大きく貢献してくれた要因の一つだと思う。

それに加えて言うと、自分たちはユーザー獲得のために広告は一切使っていないね。日本ではGunosyがテレビCMで大々的にユーザーを獲得したみたいだけど。僕らに出資をした日本の投資家の人たちは「日本ではテレビCMがユーザーにアプローチするチャネルとして依然として強いから、とても良い戦略だった。」と言っていたよ。

また、アーリーアダプターとしてtech業界の著名人が登録してくれた事は資金調達する時の助けにもなったよ。業界の著名人である投資家達が日常的に自分たちのプロダクトに好感触を持ってくれていたので、ピッチがし易かったのはもちろん、興味を持ってくれる人たちがとても多かった。自分はオンラインのニュース市場は全部で2〜30億人分あると思っている。それはとても大きなチャンスでエキサイティングな舞台だよ。これはもちろん投資家の人たちにとっても魅力的だと言えるだろうね。


Y:ベイエリアを代表する著名エンジェル投資家がNuzzelに出資していますね。どのように彼らから資金調達をしたのですか?

K:一つはFounderであるジョナサンのコネクションだ。自分たちが以前やっていたFriendsterはSNSの先駆けのサービスと言っても過言ではなかった。その際にジョナサンがシリコンバレーでトップクラスの投資家達と繋がりを持ったことは大きいと思う。また、トップクラスのVCは彼等自身も含めて多くの人が日常的に利用するサービスを探しているんだ。その点、自分たちのプロダクトはニュースを読むという、人々が毎日利用するサービスだったので、魅力的にうつったのだと思う。


Y:将来的にはどのようにしてマネタイズをするつもりですか?

K:自分たちはマネタイズをまだ考えていない。とにかく今はより多くのユーザーを獲得し、彼等のエンゲージメントを高める事にのみフォーカスをしているよ。後々は恐らく広告による収入になるだろうね。ただ、一口に広告と言っても、自分たちのプロダクトはソーシャルグラフを上手く活用しているので、他のメディアやキューレーションサイトなどよりも、より詳細にターゲティング広告が提供出来るはずだと考えているよ。

具体的にどんな広告の手法になるのかはまだ分からないけど、Facebookが広告ビジネスを成功させてから、ただのSNSという次元を超えたのと同様に、自分たちも多くのユーザーを集めた後には、この分野のビジネスの大きな転換点となるだろう。


Y:創業者のジョナサン氏はどのようにしてNuzzelのアイディアを思いついたのですか? K:実は、このアイディアはジョナサンの個人的な経験に基づくものなんだ。と言うのも、彼もまた一人のエンジニアとして最新のニュースをSNSを通じて獲得してきた一人だった。しかし、SNS上にある情報はとにかく多すぎて、情報収集に苦痛を感じていたらしい。SNS上でシェアされている全てを把握するのはとても困難だからね。それを解決しようと彼自身で生み出したのがこのNuzzelになるんだよ。


日本は2番目に大きな市場、日本語版のローンチも考えている



Y:なぜ日本のVCから資金を調達したのか具体的に教えてください。

K:投資や資金調達に置いて信頼関係と言うのはとても大事な存在になってくる。彼等は自分がデジタルガレージで働いていた時からの知り合いだったので、投資家としてこの事業に参加してもらうのは大歓迎だった。

日本は、GunosyやSmartNewsなどが大型の資金調達を行っていることから分かるようにニュースの市場がとても大きいと言う事が分かった。それに加えてNuzzelは日本が2番目に大きな市場なので、日本のマーケットに詳しい投資家から資金調達をするのは、十分にインセンティブになったんだ。


Y:Nuzzelには現在何人のチームメンバーがいるのですか?

K:今は4人だよ。


Y:たった4人ですか!?

K:そうだよ(笑)。 ファウンダーのジョナサンに加えて2人のエンジニアと自分だね。確かに一見すると少人数で大きなユーザーを支えていると驚くかもしれないけど、WhatsAppも最終的にFacebookに買収される時には50人くらいしか社員はいなかったし、シリコンバレーではこういう事が日常的に起きていると思う。



Y:ユーザー数の増加はどのような調子ですか?
K:メール配信やwebサイト、アプリの訪問者それぞれを含めて毎月数十万のユーザーがいるとだけは言えるよ。実際ユーザー数は毎月着々と伸びているし、これをもっともっと増やしていく施策もたくさん考えている。だから、今後はさらにユーザーを伸ばしていけると確信しているよ。


Y:日本のユーザーが2番目に多いということですが、どのように日本のユーザーを獲得したのですか?
K:自分たちも正確には分かっていないよ(笑)。確かに日本のApp Storeやwebサイトには何度かフィーチャーされたこともあったし、日本の投資家が使ってくれているのも理由の一部だとは思うけど、完全には理解していないね。


Y:Friendster時代からの仲のジョンソンにはいつ出会ったのですか?
K:あれは約10年前だね。Friendsterを始めたときだった。その時からたまにオフィスに行っては少し手伝うなんて日々をで重ねていたんだ。もちろん無料でね。そしたら、最終的にジョンソンが「Friednsterを一緒にやろう!」と声をかけてくれたので、その時から正式にフルタイムとして一緒に働き始めたよ。


Y:日本語バージョンを出す予定はありますか?
K:もちろん、あるよ。ただ、自分たちは先にAndroidやiPadバージョンをローンチする必要があるから、その後になるだろうね。日本語は英語とはかなり異なる言語だし、少し時間がかかるかもしれない。


Y:Nuzzelの競合はどんなサービスでしょうか?
K:直接的な競合とは言えないかもしれないけど、恐らく日本だとGunosy、全世界だとCirca Newsだろうね。彼等はカテゴリーなどを持つ点で、自分たちよりもより一般的なニュースを扱っていると言える。一方、自分たちはカテゴリーなどはユーザーによって変わると考えているので、その点では直接的な競合ではないと言えると思う。また、Circa Newsなどは編集をCirca自身で行っているので、自分達とはプロダクトが大きく異なる部分もある。ただ、将来的にNuzzelもCirca Newsもより大きくなった時、競合となるのは間違いないと思うよ。


Y:今将来的にはどのようにビジネスを展開させていくつもりなのですか?
K:そうだね。プロダクトとしてはさっきも言った通りAndroidやiPadなどのデバイスに対応させた後、より詳細に言語化などを通じてローカライズさせていくよ。Nuzzel全体としては、ニュースのプラットフォームとしてプレゼンスを高めていくだろう。FacebookやTwitterはソーシャルメディアから様々なデータやビジネスを取り込んできたけど、Nuzzelはあくまでニュースだ。


そして何より、Nuzzelは一般的なニュースのようなカテゴリを持たない分、各ユーザーにフォーカスし、最適化されたフィードを提供していく事になる。最終的には、各個人に対してより最適化したフィードをその他のユーザーがより自由にアクセスできる様にすることで、個人をベースとした本当に質の高い情報を提供できるプラットフォームとなっていくつもりだ。そしてこれはNuzzelにしか実現できない事なんだ。


Y:どんなサービスもそうですが、特にニュースメディアは最初にインフルエンサーを獲得する必要があると思っています。そして彼らには、よりニッチなトピックが刺さり易いと考えています。しかし、成長の過程でより一般的なユーザー郡を獲得するには、メディアはニッチなカテゴリーからより一般的な情報を扱うことにシフトする必要があるのかもしれません。Nuzzelは今ニッチなtech業界の人たちをアーリーアダプターとして獲得しました。次に一般層の人たちを獲得するために、Nuzzelは今後どのような方法をとるつもりですか?
K:自分達は技術的な理由で特に対策は必要がないと考えている。なぜなら、自分たちはカテゴリや、記事の作成/編集を自分たちで負担していない。あくまで各個人のソーシャルグラフをベースにコンテンツを提供している。そのため、アーリアダプターは恐らくtech系のネタを好むはずであるが、tech系のネタを好む人はソーシャルグラフ的に近しい人たちも同様にtech系のネタを好むはずだ。そのためNuzzelはアーリーアダプター向けに特に何かを変更する必要はない。


また一方で、より一般層のユーザーを獲得する時にも特に変更しなければならない点もない。と言うのも、より一般的なネタの例として「政治」などがあげられが、一般的な政治ネタが好きな人たちのソーシャルグラフの周りには同様に「政治」のニュースを好む人たちが多く存在すると言えるはずだ。この様に、Nuzzelは情報のソースにNuzzel自身が一切介入せず、あくまで各ユーザーのソーシャルグラフに依存しているので、このNuzzelの設計上、特に対策などはせずにこのまま成長していけると思っているよ。


Y:最後に、日本の潜在的なNuzzelのユーザーにメッセージをお願いします。
K:既にNuzzelを利用している人たちの一部は、Nuzzelをマジックだと言っている。実際にその通りなんだ。多くの人たちが良質な情報を集める為に、無駄にアクセスしてしまうFacebookやTwitterへの時間を減らす事ができるからね。是非一度試してこのマジックを体感して欲しい。とにかく試してみてくれ。

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