すべての技術者にメンターを、デベロッパー向けのチュータリングサービスCodementor創業者Weiting Liuへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Codementorの創業者で連続起業家のWeiting Liu氏にインタビューを行った。Codementorは、デベロッパー向けにライブ形式のマンツーマンメンタリングサービスを提供している。レアジョブのプログラミング版というと分かりやすかもしれない。Codementorは米国の著名アクセラレーターTechstarsに参加しており、その前の会社SocialPicksはY combinatorのプログラムに採択、2009年にFinancial Contentに売却している。

すべての技術者にメンターを、デベロッパー向けのチュータリングサービス


Q:まずプロダクトについて教えてください。
デベロッパー向けにライブ形式のマンツーマンメンタリングサービスを提供しているよ。ビデオ、テキスト、スクリーンシェアリングなどを使って、コードについてエキスパートに相談にのってもらえる。2つのサイドに対してマーケットプレイスを提供していて、ひとつはメンターとなる人に15分単位で各々好きに価格付けをしてメンタリングを提供できるようにしている。一度登録されると、そこからはAirbnbのようなもので、ユーザーオリジナルのメンタリング内容を設定でき、それを宣伝することが出来る。初心者だけでなくプロ、個人のデベロッパーにとっても役立つよ。例えば僕はRuby and Railsのデベロッパーだけど、いまAngular.jsの勉強にハマっているんだ。そんな時にエキスパートがオンデマンドで手伝ってくれる。フリーランサーは先輩デベロッパーがいないから助けてもらうことができないよね。個人のフリーランサー、デベロッパー、そしてGeneral Assemblyのようなデベロッパーブートキャンププログラムの卒業生たちは、これまでに10,000ドルくらいかけて通っている。フルタイムの仕事につければ周りに質問できる人がいるから良いけれど、そうでなければ問題に遭遇したらまたポケットマネーでメンタリングを受けに行かなければならない。これは大変なことだ。Codementorは、そういった人たちのためのチュータリングサービスみたいなものだね。


Q:平均どのくらいの価格でメンタリングを受けられるのでしょうか。
価格帯は幅広くて、基本的には50〜150ドル/hくらい。他と比べるとやや高めの価格設定になっていると思う。Codementorには世界トップレベルのエキスパートたちがメンターとして登録しているからね。彼らのような実力者からメンタリングを受ける場合、通常2〜300ドル/hはかかる。これだとほとんどの人が手が出ないと思う。だけど、Codementorの場合は平均でいうと70ドル/hくらいになるかな。


Q:現在のメインユーザーについて教えてください。C向け、B向けどちらなのでしょうか。
エンタープライズの顧客は現状ではそこまで多くはなくて、多いのはウェブ開発会社やまだスタートして間もない小規模のスタートアップだ。Techstarsに参加したスタートアップも何社かユーザーとして利用してくれている。あとは、個人で利用してくれている人たちも結構いるよ。


Q:どのようにしてメンター達の質を保っているのでしょうか。
メンターになりたい人にはまずアプライしてもらう。その後、僕達でメンター登録の可否を判断する。主な質問事項としては、何の技術のエキスパートか、何年間やってきたのか、なぜそのエキスパートになったのかといったこと。またgithubやLinkedin、Stackoevr flowのプロフィールを送ったりもしてもらうね。トップレベルのスキルをもった技術者たちはすごく忙しいから、アプリケーションフォームの項目を全部は埋めてくれないことが多いんだけど、例えばStackover flowのプロフィールを見ればその実力が簡単に把握出来る。


Q:トラクションについてお尋ねします。現在Codementorには何人くらいのメンターが登録しているのでしょうか。
1000人ほどが登録していて、半分が米国、残りの半分はヨーロッパ、アジア、オーストラリアとなっている。日本人も数名いるよ。日本に関してはプロモーションを一切していないだけに面白いなと思っているし、実際日本のマーケットにはとても興味がある。Codementorは今年の3月に一般公開、それまではプライベートベータ版として運用していた。一般公開してから急速に成長しはじめたよ。


Q:Codementorにとってどの国が大きな市場なのでしょうか。
米国は圧倒的に大きなマーケットといえる。それからイギリスもユーザー数が非常に多いし、ドイツもそこそこ多い。メンターのうち数名は東ヨーロッパ出身で、例えばロシアにはAngular.jsのコントリビューターがいたりと著名な技術者がいたりするんだ。意外にも安く彼らのメンタリウングを受けられるよ。


Q:どのようにしてこのCodementorのアイデアを思いついたのでしょうか。
Codementorを始める前は、弟と台湾で別のスタートアップをやっていた。事業内容はソーシャルメディアエージェンシーのようなもので、会社はあっという間に大きくなり2年間で2人から50人の規模にまで成長した。

当時、社内には若手デベロッパーの小規模グループがあって、彼らはしょっちゅう1時間ほどのスタックを繰り返していた。僕はその頃会社のCTOをやっていて、彼らのような若手のために、オンデマンドで技術のエキスパートにアクセスでき、相談できる手段があればいいなと思ったんだ。それに僕自身もプロダクトを作っていてスタックしてしまうことがあるし、そういう時は往々にして自分の何が間違っているのかわからない。会社に僕よりも経験のある先輩エンジニアはいないからすぐに聞ける人がいなくて、Stackover flowを読みあさってコピーアンドペーストでなんとか解決したりね。そうすると「おっ直った!」とはなるんだけど、なぜ解決したか分からずじまいだったりする。あと、それがベストな方法なのかも分からない。その時に「CTOをオンデマンドで」というアイデアを思いついてた。

コードを学ぶことは誰にとっても全く新しいものだ。コードは新しい英語だというのが僕の持論で、今や英語は世界で必須のスキルになっていて、必ずしも流暢に話せなければならないことはないけれど、それでも基本的な知識、読み書きの能力は手に入れておく必要がある。10年後、同じことがコードにも同じことが起こると思う。それでCodementorをスタートした。


Q:将来的に日本語版もローンチ予定ですか?
まちがいなくやるつもりだ。個人的に日本のファンだし、市場も大きいし面白いと思っている。特に具体的なプランはなくて、時期としてはまだ少し早いかな。ただ既に何人か日本からメンターに登録してくれているし非常に興味がある。


起業をする意味、自分がいる世界と、自分がいない世界



Q:バックグラウンドについてお聞かせください。コードメンターを始める前はどのようなことをしていたのでしょうか。
数え方にもよるけど会社を3つやってきたことになるかな。2005年にスタンフォード修士を卒業した後、2007年に最初の会社Socialpicksを立ち上げた。その会社でYCの2007年のバッチに参加して、シリコンバレーのVCおよびエンジェル投資家から資金調達した。内容は、株式投資家のためのソーシャルネットワーク。ブローカーたちの株式市場におけるパフォーマンスをトラッキングした。有名なアナリストがTVでこの株は買いだ!というのをトラッキングして、3ヶ月後の結果を見るとかね。だけど2008年に株式市場がクラッシュして、僕らの会社は別の会社に2009年に買収された。その後しばらく経ってから、ソーシャルメディアマーケティングの会社を弟と台湾でスタートした。Mr.6という会社だ。Mr.6はもともと弟のネット上でのニックネームで、彼は台湾では有名なブロガーなんだ。会社としてはFacebook、Youtubeマーケティングを手掛けた。100%自己資金で運営していたし、十分に収益が得られるまで上がるまでに成長したよ。

その会社は今でも上手くいっているし成長を続けている。だけど、僕自身はもっとグローバルなスケールでビジネスをやりたいとある時感じた。というのも以前のYCでの経験から、世界に大きなインパクトを与えるようなプロダクトを作ることにより強い関心があったからだ。そこで、Mr.6を運営している間に新しい会社を作ろうと決めた。


Q:なぜSocialPicksを売却したのですか。
2008〜2009年にかけて投資家たちはみな株式市場から手を引いていて、その先どれだけ状況が悪化していくのか全く見通しがつかなかった。恐ろしかったね。その頃Tech Crunchでは毎日のように会社の倒産、買収といった話が取り沙汰されていた。僕らと同じような株式市場関連の事業を行い$10M調達していたようなスタートアップもある日買収されてしまったりね。うまくいく保証のある会社など当時はひとつもなかった。それで僕らは買収されることを選んだ。


Q:その後、なぜ再度起業することに決めたのでしょうか。有名な大企業に入れるだけの実績、評価を得ていたと思うのですが。
会社を作ることが、自分が最も世の中に対してインパクトを与えられるやり方だと思った。僕はいつも沢山のアイデアもっている。もしどこかの会社に属していれば、できる事は会社側によってかっちりと定められてしまうよね。それは会社のミッションや会社にとってのマーケットにおける成功にフォーカスしないといけないからだ。

ずっと前に自分がいる世界と、自分がいない世界について考えたことがあってね。もし自分が大きな会社に属していれば、学習機会、トレーニングを積む機会に恵まれていただろう。ただそこでできることは職務記述書によって厳格に規定されてしまう。もちろん昇進して大成功する可能性もあるけれど、同時に他の人によって取って代わられてしまう人間になる可能性もある。僕がもしGoogleのプロジェクトマネージャーだったとして、スタンフォード出身で自分よりもスマートな若手が入ってきたら、確実に自分よりもうまく仕事をこなすからね。

僕は自分のビジョン、アイデアに従ってCodementorを始めて、今はそれをひたすら良くしていくことにフォーカスしている。僕が始めるまで他の誰も同じことをやっていなかったし、何かを真似たわけでもない。今でこそ競合は沢山いるけれどね。多くの人が、若いプログラマーにメンターが教えてくれるというアイデアを思いついていたはずだけれど誰もやっていなかった。それで始めることにしたよ。


Q:Techstarsに参加することのアドバンテージは何ですか?
YCに参加するようなもので、即座に信用を得ることが出来るのが大きい。僕は以前にもここでスタートアップをやったことがあるけれど、米国以外の起業家にとってはTechstarsやYCに参加することで外部から信用を得られるのは非常に価値があることだ。失敗しない限りは「有望なスタートアップである」と認識されるからね。あるいはハーバードやスタンフォードのようなものかも知れない。学生たちは「スマートではない」と証明されない限りは優秀だという評価を保つことが出来る。

それと、協力的なメンター、投資家、そして同じバッチに参加する仲間達とつながることができるのも嬉しい。Techstarsのシアトルでのプログラムも良いし、Techstarsのファウンダー達による投資もある。それらはすごく心強いものだ。僕らのプロダクトの性質上、できる限り多くのスタートアップと知り合えることも重要だ。彼らはCodementorにとってのポテンシャルユーザーだからね。TechstarsとYCは互いにほぼ独立していて、僕は両方のネットワークに属している。かなり少数派だと思うけど、この両方の人的ネットワークにアクセス出来るということはかなり貴重だなと感じている。


Q:TechstarsとYCの違いは何でしょうか?
Techstarsは比較的小規模だ。毎回10〜11くらいのチームが参加するのに対してYCは昨今では80くらいのチームが参加する。Techstarsはインキュベーション施設を自前で構えていて、そこでバッチメイト達と頻繁に会って話たりする。これはYCよりも遥かに多い。それにYCはいわばベイエリア限定で、参加者全員がシリコンバレーに来なければならない。それに対してTechstarsは色々な都市で異なるコミュニティを育てようとしている。NY、Seatle、Boston、Boulder、Chicago、Austin、そしてLondonなどだね。


Q:YCやTechstarsなどのアクセラレータープログラムに参加したい日本のスタートアップにアドバイスをお願いします。
トラクションが重要だと思う。最近では米国外の起業家によるスタートアップがYCに参加する例が増えてきている。韓国発のMEMEBOXや、日本ではAnyperkなんかだね。特に日本はいまだに国内市場が大きいから、トラクションを作ることが出来ればアクセラレータープログラムに参加してビジネスを加速させることが出来るね。ただ、なぜプログラムに参加したいのかは明確にしておく必要がある。もちろん、自身のビジネスをグローバルに展開したくて参加するチームがほとんどだ。グローバルでトラクションを作る前に自分の国でトラクションを作るのか、その判断は起業家によりけりだと思う。ただYCは参加するにあたって今すごく競争率が高いだけに、アプライする時点でトラクションを示せることは非常に大きなアドバンテージになると言える。チーム、トラクション、アイデアが重要だとよく言われるけれど、個人的にはトラクションが他に比べて遥かに重要だと思っている。あと、アイデアは正直そこまで大事ではないとも思う。

米国出身でないことはしばしばシリコンバレーでは不利になる。グローバルで通用するブランドネームを持っている大学出身の起業家たちがいる中では、たとえ日本のトップ大学でも米国のそれらと比べるとYCの人達に対する知名度は低い。もちろん大学のレベルは高いと思うけれど、やはり数字で示せる実績がないと彼らが米国外のスタートアップを受け入れる決断をすることは難しい。でももし既に10Mユーザーでも獲得していようものなら話はまったく別だけど!(笑)


Q:日本のポテンシャルユーザーに一言お願いします。
コーディングを一人で学ぶのは大変だけど、Codementorではトップレベルの実力を持つエキスパートから、ライブでマンツーマンの指導が受けられる。米国の有名デベロッパーも多くメンターとして参加しているから、そういった人たちのコーディングの技術に興味がある人は是非利用してみてほしい。

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すべての技術者にメンターを、デベロッパー向けのチュータリングサービスCodementor創業者Weiting Liuへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Codementorの創業者で連続起業家のWeiting Liu氏にインタビューを行った。Codementorは、デベロッパー向けにライブ形式のマンツーマンメンタリングサービスを提供している。レアジョブのプログラミング版というと分かりやすかもしれない。Codementorは米国の著名アクセラレーターTechstarsに参加しており、その前の会社SocialPicksはY combinatorのプログラムに採択、2009年にFinancial Contentに売却している。

すべての技術者にメンターを、デベロッパー向けのチュータリングサービス


Q:まずプロダクトについて教えてください。
デベロッパー向けにライブ形式のマンツーマンメンタリングサービスを提供しているよ。ビデオ、テキスト、スクリーンシェアリングなどを使って、コードについてエキスパートに相談にのってもらえる。2つのサイドに対してマーケットプレイスを提供していて、ひとつはメンターとなる人に15分単位で各々好きに価格付けをしてメンタリングを提供できるようにしている。一度登録されると、そこからはAirbnbのようなもので、ユーザーオリジナルのメンタリング内容を設定でき、それを宣伝することが出来る。初心者だけでなくプロ、個人のデベロッパーにとっても役立つよ。例えば僕はRuby and Railsのデベロッパーだけど、いまAngular.jsの勉強にハマっているんだ。そんな時にエキスパートがオンデマンドで手伝ってくれる。フリーランサーは先輩デベロッパーがいないから助けてもらうことができないよね。個人のフリーランサー、デベロッパー、そしてGeneral Assemblyのようなデベロッパーブートキャンププログラムの卒業生たちは、これまでに10,000ドルくらいかけて通っている。フルタイムの仕事につければ周りに質問できる人がいるから良いけれど、そうでなければ問題に遭遇したらまたポケットマネーでメンタリングを受けに行かなければならない。これは大変なことだ。Codementorは、そういった人たちのためのチュータリングサービスみたいなものだね。


Q:平均どのくらいの価格でメンタリングを受けられるのでしょうか。
価格帯は幅広くて、基本的には50〜150ドル/hくらい。他と比べるとやや高めの価格設定になっていると思う。Codementorには世界トップレベルのエキスパートたちがメンターとして登録しているからね。彼らのような実力者からメンタリングを受ける場合、通常2〜300ドル/hはかかる。これだとほとんどの人が手が出ないと思う。だけど、Codementorの場合は平均でいうと70ドル/hくらいになるかな。


Q:現在のメインユーザーについて教えてください。C向け、B向けどちらなのでしょうか。
エンタープライズの顧客は現状ではそこまで多くはなくて、多いのはウェブ開発会社やまだスタートして間もない小規模のスタートアップだ。Techstarsに参加したスタートアップも何社かユーザーとして利用してくれている。あとは、個人で利用してくれている人たちも結構いるよ。


Q:どのようにしてメンター達の質を保っているのでしょうか。
メンターになりたい人にはまずアプライしてもらう。その後、僕達でメンター登録の可否を判断する。主な質問事項としては、何の技術のエキスパートか、何年間やってきたのか、なぜそのエキスパートになったのかといったこと。またgithubやLinkedin、Stackoevr flowのプロフィールを送ったりもしてもらうね。トップレベルのスキルをもった技術者たちはすごく忙しいから、アプリケーションフォームの項目を全部は埋めてくれないことが多いんだけど、例えばStackover flowのプロフィールを見ればその実力が簡単に把握出来る。


Q:トラクションについてお尋ねします。現在Codementorには何人くらいのメンターが登録しているのでしょうか。
1000人ほどが登録していて、半分が米国、残りの半分はヨーロッパ、アジア、オーストラリアとなっている。日本人も数名いるよ。日本に関してはプロモーションを一切していないだけに面白いなと思っているし、実際日本のマーケットにはとても興味がある。Codementorは今年の3月に一般公開、それまではプライベートベータ版として運用していた。一般公開してから急速に成長しはじめたよ。


Q:Codementorにとってどの国が大きな市場なのでしょうか。
米国は圧倒的に大きなマーケットといえる。それからイギリスもユーザー数が非常に多いし、ドイツもそこそこ多い。メンターのうち数名は東ヨーロッパ出身で、例えばロシアにはAngular.jsのコントリビューターがいたりと著名な技術者がいたりするんだ。意外にも安く彼らのメンタリウングを受けられるよ。


Q:どのようにしてこのCodementorのアイデアを思いついたのでしょうか。
Codementorを始める前は、弟と台湾で別のスタートアップをやっていた。事業内容はソーシャルメディアエージェンシーのようなもので、会社はあっという間に大きくなり2年間で2人から50人の規模にまで成長した。

当時、社内には若手デベロッパーの小規模グループがあって、彼らはしょっちゅう1時間ほどのスタックを繰り返していた。僕はその頃会社のCTOをやっていて、彼らのような若手のために、オンデマンドで技術のエキスパートにアクセスでき、相談できる手段があればいいなと思ったんだ。それに僕自身もプロダクトを作っていてスタックしてしまうことがあるし、そういう時は往々にして自分の何が間違っているのかわからない。会社に僕よりも経験のある先輩エンジニアはいないからすぐに聞ける人がいなくて、Stackover flowを読みあさってコピーアンドペーストでなんとか解決したりね。そうすると「おっ直った!」とはなるんだけど、なぜ解決したか分からずじまいだったりする。あと、それがベストな方法なのかも分からない。その時に「CTOをオンデマンドで」というアイデアを思いついてた。

コードを学ぶことは誰にとっても全く新しいものだ。コードは新しい英語だというのが僕の持論で、今や英語は世界で必須のスキルになっていて、必ずしも流暢に話せなければならないことはないけれど、それでも基本的な知識、読み書きの能力は手に入れておく必要がある。10年後、同じことがコードにも同じことが起こると思う。それでCodementorをスタートした。


Q:将来的に日本語版もローンチ予定ですか?
まちがいなくやるつもりだ。個人的に日本のファンだし、市場も大きいし面白いと思っている。特に具体的なプランはなくて、時期としてはまだ少し早いかな。ただ既に何人か日本からメンターに登録してくれているし非常に興味がある。


起業をする意味、自分がいる世界と、自分がいない世界



Q:バックグラウンドについてお聞かせください。コードメンターを始める前はどのようなことをしていたのでしょうか。
数え方にもよるけど会社を3つやってきたことになるかな。2005年にスタンフォード修士を卒業した後、2007年に最初の会社Socialpicksを立ち上げた。その会社でYCの2007年のバッチに参加して、シリコンバレーのVCおよびエンジェル投資家から資金調達した。内容は、株式投資家のためのソーシャルネットワーク。ブローカーたちの株式市場におけるパフォーマンスをトラッキングした。有名なアナリストがTVでこの株は買いだ!というのをトラッキングして、3ヶ月後の結果を見るとかね。だけど2008年に株式市場がクラッシュして、僕らの会社は別の会社に2009年に買収された。その後しばらく経ってから、ソーシャルメディアマーケティングの会社を弟と台湾でスタートした。Mr.6という会社だ。Mr.6はもともと弟のネット上でのニックネームで、彼は台湾では有名なブロガーなんだ。会社としてはFacebook、Youtubeマーケティングを手掛けた。100%自己資金で運営していたし、十分に収益が得られるまで上がるまでに成長したよ。

その会社は今でも上手くいっているし成長を続けている。だけど、僕自身はもっとグローバルなスケールでビジネスをやりたいとある時感じた。というのも以前のYCでの経験から、世界に大きなインパクトを与えるようなプロダクトを作ることにより強い関心があったからだ。そこで、Mr.6を運営している間に新しい会社を作ろうと決めた。


Q:なぜSocialPicksを売却したのですか。
2008〜2009年にかけて投資家たちはみな株式市場から手を引いていて、その先どれだけ状況が悪化していくのか全く見通しがつかなかった。恐ろしかったね。その頃Tech Crunchでは毎日のように会社の倒産、買収といった話が取り沙汰されていた。僕らと同じような株式市場関連の事業を行い$10M調達していたようなスタートアップもある日買収されてしまったりね。うまくいく保証のある会社など当時はひとつもなかった。それで僕らは買収されることを選んだ。


Q:その後、なぜ再度起業することに決めたのでしょうか。有名な大企業に入れるだけの実績、評価を得ていたと思うのですが。
会社を作ることが、自分が最も世の中に対してインパクトを与えられるやり方だと思った。僕はいつも沢山のアイデアもっている。もしどこかの会社に属していれば、できる事は会社側によってかっちりと定められてしまうよね。それは会社のミッションや会社にとってのマーケットにおける成功にフォーカスしないといけないからだ。

ずっと前に自分がいる世界と、自分がいない世界について考えたことがあってね。もし自分が大きな会社に属していれば、学習機会、トレーニングを積む機会に恵まれていただろう。ただそこでできることは職務記述書によって厳格に規定されてしまう。もちろん昇進して大成功する可能性もあるけれど、同時に他の人によって取って代わられてしまう人間になる可能性もある。僕がもしGoogleのプロジェクトマネージャーだったとして、スタンフォード出身で自分よりもスマートな若手が入ってきたら、確実に自分よりもうまく仕事をこなすからね。

僕は自分のビジョン、アイデアに従ってCodementorを始めて、今はそれをひたすら良くしていくことにフォーカスしている。僕が始めるまで他の誰も同じことをやっていなかったし、何かを真似たわけでもない。今でこそ競合は沢山いるけれどね。多くの人が、若いプログラマーにメンターが教えてくれるというアイデアを思いついていたはずだけれど誰もやっていなかった。それで始めることにしたよ。


Q:Techstarsに参加することのアドバンテージは何ですか?
YCに参加するようなもので、即座に信用を得ることが出来るのが大きい。僕は以前にもここでスタートアップをやったことがあるけれど、米国以外の起業家にとってはTechstarsやYCに参加することで外部から信用を得られるのは非常に価値があることだ。失敗しない限りは「有望なスタートアップである」と認識されるからね。あるいはハーバードやスタンフォードのようなものかも知れない。学生たちは「スマートではない」と証明されない限りは優秀だという評価を保つことが出来る。

それと、協力的なメンター、投資家、そして同じバッチに参加する仲間達とつながることができるのも嬉しい。Techstarsのシアトルでのプログラムも良いし、Techstarsのファウンダー達による投資もある。それらはすごく心強いものだ。僕らのプロダクトの性質上、できる限り多くのスタートアップと知り合えることも重要だ。彼らはCodementorにとってのポテンシャルユーザーだからね。TechstarsとYCは互いにほぼ独立していて、僕は両方のネットワークに属している。かなり少数派だと思うけど、この両方の人的ネットワークにアクセス出来るということはかなり貴重だなと感じている。


Q:TechstarsとYCの違いは何でしょうか?
Techstarsは比較的小規模だ。毎回10〜11くらいのチームが参加するのに対してYCは昨今では80くらいのチームが参加する。Techstarsはインキュベーション施設を自前で構えていて、そこでバッチメイト達と頻繁に会って話たりする。これはYCよりも遥かに多い。それにYCはいわばベイエリア限定で、参加者全員がシリコンバレーに来なければならない。それに対してTechstarsは色々な都市で異なるコミュニティを育てようとしている。NY、Seatle、Boston、Boulder、Chicago、Austin、そしてLondonなどだね。


Q:YCやTechstarsなどのアクセラレータープログラムに参加したい日本のスタートアップにアドバイスをお願いします。
トラクションが重要だと思う。最近では米国外の起業家によるスタートアップがYCに参加する例が増えてきている。韓国発のMEMEBOXや、日本ではAnyperkなんかだね。特に日本はいまだに国内市場が大きいから、トラクションを作ることが出来ればアクセラレータープログラムに参加してビジネスを加速させることが出来るね。ただ、なぜプログラムに参加したいのかは明確にしておく必要がある。もちろん、自身のビジネスをグローバルに展開したくて参加するチームがほとんどだ。グローバルでトラクションを作る前に自分の国でトラクションを作るのか、その判断は起業家によりけりだと思う。ただYCは参加するにあたって今すごく競争率が高いだけに、アプライする時点でトラクションを示せることは非常に大きなアドバンテージになると言える。チーム、トラクション、アイデアが重要だとよく言われるけれど、個人的にはトラクションが他に比べて遥かに重要だと思っている。あと、アイデアは正直そこまで大事ではないとも思う。

米国出身でないことはしばしばシリコンバレーでは不利になる。グローバルで通用するブランドネームを持っている大学出身の起業家たちがいる中では、たとえ日本のトップ大学でも米国のそれらと比べるとYCの人達に対する知名度は低い。もちろん大学のレベルは高いと思うけれど、やはり数字で示せる実績がないと彼らが米国外のスタートアップを受け入れる決断をすることは難しい。でももし既に10Mユーザーでも獲得していようものなら話はまったく別だけど!(笑)


Q:日本のポテンシャルユーザーに一言お願いします。
コーディングを一人で学ぶのは大変だけど、Codementorではトップレベルの実力を持つエキスパートから、ライブでマンツーマンの指導が受けられる。米国の有名デベロッパーも多くメンターとして参加しているから、そういった人たちのコーディングの技術に興味がある人は是非利用してみてほしい。

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