YouTubeでは音楽よりもゲームが多く再生されている、Kamcord創業者Aditya Rathnamへのインタビュー





ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Kamcordの創業者であるAditya Rathnam氏にインタビューを行った。Kamcordはモバイルゲームのプレイ動画を簡単に共有できるSDKと、それを閲覧できるプラットフォームを提供している。先日、Googleがゲームのプレイ動画共有サービスのTwitchを10億ドルで買収するという噂が出回ったように、昨今注目を集めている分野だ。また、Kamcordは著名アクセラレーターのY Combinatorを卒業しており、Google VenturesやAndreessen Horowitzなどの著名VCや、DeNAやデジタルガレージ、KLab Venturesなどの日本企業から投資を受けている。

YouTubeでは音楽よりもゲームが多く再生されている



Q:まず、あなたのバックグランドと会社のはじまりについて教えてください。
僕は、MIT(マサチューセッツ工科大学)でコンピューターサイエンス(CS)を学んでいたんだ。co-founderのMattとKevinも同様にMITのCS出身だよ。僕らは、大学で知り合ったのだけど、卒業後は別々の道に進んだんだ。僕はベイエリアにある小さなスタートアップ2社で働いて、1つ目の会社はMotorola、2つ目の会社はGoogleに買収されたよ。また、MattはGoogleのプロダクトマネージャー、KevinはシカゴでHigh-frequency trading(アルゴリズムを活用した株取引)関係の仕事をしていた。その後、卒業して3〜4年くらい働いた後に、スタートアップをやるなら今だという話になったんだ。それで2012年の初頭に会社をはじめたよ。

次に、何の事業をやるかブレインストーミングすることになったんだ。その頃、KevinがBattle Fieldというゲームにハマっていた。そして、彼はたくさんのBattle Fieldのプレイ動画をYouTubeで見ていたんだ。どのように銃やヘリコプターを使うのか、また人気の動画には新しいエピソードが投稿される度にファンがわざわざ動画を観に戻ってくるということに驚いたよ。そこで、なんでモバイルゲームのプレイ動画がないんだって話になったんだ。その件に関して少し議論したところ、やはりそういうプラットフォームは存在すべきだという話になった。技術的に可能なのか、ビジネスとして成り立つのかはまったく分からない状態だったけど、4〜5年後に人々がモバイルゲームのコンテンツを観に来る中心の場になりたい。そういう気持ちでKamcordが始まったんだ。


Q:ゲームの動画を鑑賞する市場は大きいですよね。Googleが先日Twitchを$10Bで買収するという噂があったように。
そういうことなんだ。こんなに大きなマーケットがあるのだからやってやろうという話になった。この分野では顕著なことが2つある。1つ目は、現在世界には10億人のモバイルゲーマーがいるということ。2つ目は、YouTubeで音楽を聞く人よりもゲームを観る人の方が多いということだ。しかも、これはまだTwitchが出てくる前の話だよ。ゲームはYouTubeで1番大きなカテゴリなんだ。ただ、それらのコンテンツはすべてPCかコンソールゲームのものなんだよね。人々がモバイルのゲームを鑑賞したいという需要があるのに、なぜかアップロードする術としてモバイルがそこに繋がっていないという状態があったので、それを解消する術としてKamcordを開発したよ。


Q:Kamcordと他のゲーム動画鑑賞&共有サービスの違いはなんですか?例えばTwitchとの違いはどのようなところでしょうか?
KamcordとTwitchでは大きく分けて2つの違いがあるんだ。1つ目は、TwitchはPCの領域にフォーカスしていること。そして、ライブストリーミング(生放送)にフォーカスしているのも特徴だ。一方で我々は、はじめてiPhoneからゲームを録画できるシステムを提供しているんだ。TwitchはPCゲームやコンソールゲーム、我々はモバイルにフォーカスしている点が違いだ。我々は100%モバイルでやっている。

2つ目は、現在我々がライブストリーミングに重きをおいていない点だ。なぜなら、モバイルゲームは隙間時間に消費されているという特徴があるからね。電車を待つ間の2分だけプレイしたり、電車の中でプレイしてもWi-Fiが繋がらなかくなって途切れたり、家に帰ってソファーでちょこっとプレイしたり…プレイ時間がとても短いんだよ。たくさんプレイする人はもちろんいるんだけど、実際は1分などの細切れの時間の積み重ねなんだ。このようなことから、我々はモバイルで簡単に録画でき、シェアできるというツールを開発することに注力している。決してライブストリーミングではないんだ。もしかしたら、将来的にはライブストリーミングの分野もカバーするかもしれないけどね。でも今は、プレイしていて、「おお!良いプレイができた。よしシェアしよう。」という流れで気軽に投稿をできることが大事だと考えている。


Q:現在のゲーム分野のトレンドをどう見ていますか?従来のコンソールゲームからモバイル中心の動きだと思うのですが。
そうだね。現在、人々は多くの時間をモバイルゲームに費やしているよ。いくつかのトレンドがあると思っている。よくハードコアゲーマーとカジュアルゲーマーがいて、カジュアルゲーマーがモバイルでプレイしているという意見を聞く。だが、実際それは違うんだ。現在League of Legendsをプレイしているようなハードコアゲーマーの多くがモバイルでもゲームをプレイしている。ある研究によると75%のハードコアゲーマーがモバイルでゲームをプレイしているらしい。この流れから分かるようにモバイルゲームの市場はとても大きいんだ。僕の母親だってモバイルでゲームをしているからね。彼女は、以前ゲームなんてしたことなかったのにも関わらず、iPhoneを購入した後は、ゲームをプレイするようになったんだ。これらは驚くべきトレンドだと思う。

もうひとつの大きなトレンドは、無料でプレイ可能になったことだ。これはディベロッパーにユーザー獲得のコストとユーザーリテンション(存続)という2点において大きな影響を与えた。どちらも彼らにとっては大きな問題だよね。Kamcordはその2点においてとても役に立つツールだと思う。まず、Kamcordは新規ユーザーの獲得にとても役立つ。録画したゲームをYouTubeやオンラインのプラットフォームで簡単にシェアできる。それを見た友人は、「おお!これは面白そうなゲームだ、自分もプレイしてみたいな!」といった感じでそのゲームをはじめるんだ。こんな流れでゲームタイトルの拡散を手助けする。これはとても強力は方法だよ。

また、ユーザーリテンションサイドだけど、Kamcordを利用することで2倍のエンゲージを記録できるケースがある。なぜなら、Kamcord上でゲームのスコアが日々更新されていくからだ。つまりそこで競争が起こるんだよ。彼らは多くのフォロワーをそこで獲得できるし、視聴者からコメントを集めることもできる。これらの要因はゲームをもっともっとプレイするための大きな欲求になるからね。どんどんみんなコンテンツを生み出してくれるよ。こういったわけで、ディベロッパーはKamcordといったソリューションを気に入ってくれる。

もう少し言及すると、これらの問題はコンソールゲームよりも、モバイルゲームの分野において深刻なんだ。なぜなら、App Storeには100万ものゲームが存在するからね。どのようにあなたのゲームをランクの上位に持っていくかの戦いになるんだ。一方、PS4のようなゲームは、そんなにゲームのタイトルがない。ゲームメーカーは少しのビックタイトルを提供しているだけだから、ユーザーはおもしろいゲームを見つけやすいんだよね。一方で、モバイルはどんなゲームがあるのか知ることさえ難しい。だから、従来よりももっとクリエイティブな方法で新規ユーザーの獲得をする必要があるんだ。


日本での採用、オフィス開設も予定





Q:トラクションについてお伺いします。現在どれくらいのディベロッパーがKamcordのSDKを利用しているのですか?

約340ものゲームがKamcordを導入しているよ。どのようにこのようなディベロッパーを獲得できたかというと、カスマーサービスを強化している点にあると思う。ディベロッパーが我々に質問を投げかけてきた時に数分で返信するようにしているんだ。例えば、2amに来た問い合わせは、4amまでには返事をしている。このような取り組みは、次第にディベロッパーと良い関係を構築することに役立つと考えている。ディベロッパーのコミュニティがKamcordを愛してくれることが大事だからね。また、ユーザー獲得や、ユーザーリテンションサイドの相談もカスタマーサービスとして受付けるようにしているよ。加えて、積極的にカンファレンスに出席してコミュニケーションを取ることも大事にしているんだ。日本にも度々足を運んでいるよ。去年はIVSにも参加したしね。その国の大きなゲームと組めると一気に広まっていくから、世界中を旅しながらKamcordを広めている。日本で言うと、DeNAやコロプラの人気ゲームに導入されることが大事だったね。


Q:どの国があなた達にとって大きな市場ですか?
USは常に我々にとって大きな市場なんだ。こういう言い方は癖があるかもしれないけど、USは簡単なんだよ。なぜなら僕達の拠点はUSにあるし、サンフランシスコにはたくさんのゲームスタジオがあるからね。自然にUSでの利用者が多くなっていく。また、USを除くと日本が№1の市場だと言えるだろう。多くのトラクションを日本から獲得しているんだ。また、日本の投資家から多くの資金を調達しているよ。例えば、DeNAは我々にとって最も大きな投資家だし、デジタルガレージ、KLab、Hiro Mashitaなど、彼らが日本の良質なネットワークを提供してくれているんだ。


Q:どのようにビデオのクオリティを管理しているのですか?
常に何百万のビデオがそこでシェアされているので、あまりそこには注意を払っていない。現在4000万を越えるビデオがKamcordにアップされているんだけど、確かに質の低いビデオ(何も起こらなかったり、興味が湧かないものなど)もいくつかあるね。でもそれでいいんだ。YouTubeもそうだと思う。質の低いビデオがたくさんある一方、1つの質の良いビデオが1億を越えるビューを集めている。そうした時に、我々の仕事は質の高いビデオをいかにユーザーに気付いてもらえるようにするかが大事になってくる。そこを大切にしているよ。



Q:中国やインドも大きな市場ですよね。興味はありますか?
我々はまだ小さなチームで、17人の従業員と5人のインターンしかいないんだ。なので、全ての市場をカバーするのはとても難しい。どの市場にリソースを割くのかは十分に考えないといけない。現在、米国外だとメインは英語圏の国々だ。もちろん日本にも注力している。中国や韓国も無視できない市場だ。そしてインドはまだ手をつけていないよ。なぜなら、インドはスマートフォンといった観点から、まだ中国や日本などに及ばないと思う。でもあと、1〜2年したら人々が多くの時間とお金をモバイルで消費しだすかもしれないので、その時に参入したいよ。また、直近で注目している市場は日本なんだ。今後は東京で現地の人間を雇いたいと考えている。次に中国と韓国だね。そして東南アジア、インド、ブラジル、ラテンアメリカ系などと続いていくつもりだ。全ての国をこの人数でカバーするのは不可能だから、そのような形で今はやっているよ。


Q:Y Combinatprでの経験についてお伺いします。YCに参加することのアドバンテージは何ですか?
1番のアドバンテージは、コミュニティに属することができる点だ。同期という点だと、80ものスタートアップと繋がることができる。みんな、「ウェブサイトを公開したんだけど、ユーザーがほぼ0なんだよね…、どうしたらいいのかな。」とか。「アプリをローンチしたんだけど、トラフィックがほぼないんだ、どうしたらいいのかな。」、「ディベロッパーに自社のプロダクトを使ってもらうにはどのようにしたらいいのか」など、同様の問題を抱えている。YCでは同期で、それをどのように解決したかをシェアすることができるんだ。このような共通した問題に対する共通知識をYCのコミュニティで共有できるのは大きいね。

もうひとつ大きなアドバンテージは資金調達面だ。YCの学期の最後にDemo Dayを通じて500人を越える投資と繋がることができる。このような多くのVCと効率的に繋がることはとても助けになるよ。10〜20人の投資家にビジネスの話を持っていって投資に合意してもらうことは難しくても、500人の投資家を相手ならYesと言ってもらうことは比較的簡単だからね。これらが大きなアドバンテージだと考えているよ。


Q:今後、YCに挑戦するスタートアップに何かアドバイスをください。
まずは、アプリケーションの内容に注力すると良いと思う。実際アプリケーションはとても短くて、3ページくらいしかないんだけど、我々はその質問に答えることに1週間もの時間を費やしたよ。でも、その質問内容がスタートアップにとって、とても役立つ内容なんだ。もし、あなたがYCに興味がなくても一度見てみるといいよ。なぜなら、質問内容はとてもシンプルで、あなたのビジネスを2〜3行で説明しろといった感じのもの。我々は、それを無駄のない簡略化された形で答えないといけないんだ。またファウンダーについてなども聞かれるね。これらの質問を答えることで、自分自身のビジネスの理解を深めることができる。だからYCに興味のないスタートアップにもおすすめなんだ。

また、YCの卒業生の話を聞きに行き、レコメンデーションを貰うことも助けになると思う。レコメンデーションの全てが、良いビジネスだったり、良いチームであることを証明することには繋がるわけではないけど、選考にあたって助けにはなると思う。また、その次にインタビューが重要になってくる。インタビューでは、シンプルでかつ端的に答えることを要求されるよ。全ての内容をずらずら話す必要はないんだ。まずは端的に答え、その次のステップで話を広げていく。時々、必要以上に背景的な情報を説明して、質問の趣旨に答えていない人がいるんだよね。このようにならないためにも、練習を重ねることが重要だ。YCはトリッキーな質問や、答えることが難しいような質問はしてこない。あなたのビジネスに関して、シンプルに質問してくるだけなんだ。それに対して明確でシンプルに回答するだけでいいんだ。


Q:資金調達に関してお伺いします。DeNAや、デジタルガレージ、ネットプライスなどの日本の企業から資金調達をしています。なぜこれらの日本企業から資金調達を行ったのですか?
我々のビジネスは、とてもビジネスディベロップメントインテンシブなんだ。なぜなら、僕らはゲームのディベロッパーとKamcordを導入してもらうためにたくさん話さなきゃならないからね。ドイツや日本、中国、韓国、米国、世界中どこのディベロッパーともだ。そこで、多様な投資家を受け入れることで、もっと多くのディベロッパー(企業)と話しができるチャンスをゲットできるんじゃないかと考えた。これがシードラウンドで日本の企業から資金を調達した理由だ。シードラウンドは、デジタルガレージとネットプライスから調達したよ。他にもドイツのVC、中国のTencent、Innovation Worksなどから調達した。うまくミックスできたと思っている。

そして、次にシリーズAラウンドを今年のはじめに行った。我々は、既に日本で何が起こっているか見てきたから、どれくらい日本のプロダクトが魅力的か理解していたんだ。そして、もっと日本の市場にフォーカスしようと考えた。我々は日本で人を雇って、オフィスも開設する計画だ。なので、誰がこれに関して助けになるだろうかと考えた。そして皆にDeNAやKLab、Hiro Mashitaなどが良いとすすめられたんだ。DeNAやKLabはKamcordを使っていてくれたし、素晴らしいタイトルも出してるから、助けになることは明白だった。


Q:そのような日本の投資家とはどのように関係を築いたのですか?
DeNAに関しては前から知っていたんだ。なぜなら彼らのUSオフィスがサンフランシスコにあるからね。Kamcordを導入してもらうために彼らとは長い時間話したよ。彼らとの付き合いはもう2年くらいになるのかな。一方KLabとはそれほどの関係もなかったんだ。僕が去年の12月にIVSに参加したとき、真田さんと話す機会があってね。彼が僕らのプロダクトにとても感銘を受けてくれた。それ以来、とても関係が近くなったよ。昔のオフィスが1ブロック離れたところにあったことも有効に働いてね。ランチに行ったりしたんだ。


Q:A16ZやGoogle VenturesなどトップティアVCから資金調達を行っていますが、それらのVCから調達する際に大事なことは何ですか?チーム、トラクション、アイディアなどあると思いますが。
それらの全て大事だね。シードステージに関しては、チームが1番重要になるだろう。なぜなら、我々の場合は3人しか従業員がいないし、プロトタイプもシンプルなものだから、プロダクトについて聞くことがあまりないような状態なんだ。だから、投資家はチームを信じるしかない。

また、シリーズAのステージは、チームも依然として重要なのだけど、そのビジネスにどれくらい市場があるのかが更に重要になってくる。僕はこれがシリーズAにおいては1番重要になると思うよ。どれくらい市場が大きいのか、その市場の中でどれほどの数字を残しているのかだ。我々は、10億人が日々ゲームで遊んでいる市場で、僕らはそれらの人々に繋がることができる。これがKamcordだと説明していたよ。このような説明が著名なVCに響いたのかもしれないね。


Q:最後に、日本の潜在的なユーザーにメッセージをください。
Kamcordには素晴らしい日本のモバイルゲームをたくさんあるんだ!進撃の巨人アヴァベルといったタイトルがおすすめだよ。それらのゲームを是非Kamcordからチェックして、プレイしてみてくれ!

【Kamcordのダウンロードはこちら

YouTubeでは音楽よりもゲームが多く再生されている、Kamcord創業者Aditya Rathnamへのインタビュー





ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Kamcordの創業者であるAditya Rathnam氏にインタビューを行った。Kamcordはモバイルゲームのプレイ動画を簡単に共有できるSDKと、それを閲覧できるプラットフォームを提供している。先日、Googleがゲームのプレイ動画共有サービスのTwitchを10億ドルで買収するという噂が出回ったように、昨今注目を集めている分野だ。また、Kamcordは著名アクセラレーターのY Combinatorを卒業しており、Google VenturesやAndreessen Horowitzなどの著名VCや、DeNAやデジタルガレージ、KLab Venturesなどの日本企業から投資を受けている。

YouTubeでは音楽よりもゲームが多く再生されている



Q:まず、あなたのバックグランドと会社のはじまりについて教えてください。
僕は、MIT(マサチューセッツ工科大学)でコンピューターサイエンス(CS)を学んでいたんだ。co-founderのMattとKevinも同様にMITのCS出身だよ。僕らは、大学で知り合ったのだけど、卒業後は別々の道に進んだんだ。僕はベイエリアにある小さなスタートアップ2社で働いて、1つ目の会社はMotorola、2つ目の会社はGoogleに買収されたよ。また、MattはGoogleのプロダクトマネージャー、KevinはシカゴでHigh-frequency trading(アルゴリズムを活用した株取引)関係の仕事をしていた。その後、卒業して3〜4年くらい働いた後に、スタートアップをやるなら今だという話になったんだ。それで2012年の初頭に会社をはじめたよ。

次に、何の事業をやるかブレインストーミングすることになったんだ。その頃、KevinがBattle Fieldというゲームにハマっていた。そして、彼はたくさんのBattle Fieldのプレイ動画をYouTubeで見ていたんだ。どのように銃やヘリコプターを使うのか、また人気の動画には新しいエピソードが投稿される度にファンがわざわざ動画を観に戻ってくるということに驚いたよ。そこで、なんでモバイルゲームのプレイ動画がないんだって話になったんだ。その件に関して少し議論したところ、やはりそういうプラットフォームは存在すべきだという話になった。技術的に可能なのか、ビジネスとして成り立つのかはまったく分からない状態だったけど、4〜5年後に人々がモバイルゲームのコンテンツを観に来る中心の場になりたい。そういう気持ちでKamcordが始まったんだ。


Q:ゲームの動画を鑑賞する市場は大きいですよね。Googleが先日Twitchを$10Bで買収するという噂があったように。
そういうことなんだ。こんなに大きなマーケットがあるのだからやってやろうという話になった。この分野では顕著なことが2つある。1つ目は、現在世界には10億人のモバイルゲーマーがいるということ。2つ目は、YouTubeで音楽を聞く人よりもゲームを観る人の方が多いということだ。しかも、これはまだTwitchが出てくる前の話だよ。ゲームはYouTubeで1番大きなカテゴリなんだ。ただ、それらのコンテンツはすべてPCかコンソールゲームのものなんだよね。人々がモバイルのゲームを鑑賞したいという需要があるのに、なぜかアップロードする術としてモバイルがそこに繋がっていないという状態があったので、それを解消する術としてKamcordを開発したよ。


Q:Kamcordと他のゲーム動画鑑賞&共有サービスの違いはなんですか?例えばTwitchとの違いはどのようなところでしょうか?
KamcordとTwitchでは大きく分けて2つの違いがあるんだ。1つ目は、TwitchはPCの領域にフォーカスしていること。そして、ライブストリーミング(生放送)にフォーカスしているのも特徴だ。一方で我々は、はじめてiPhoneからゲームを録画できるシステムを提供しているんだ。TwitchはPCゲームやコンソールゲーム、我々はモバイルにフォーカスしている点が違いだ。我々は100%モバイルでやっている。

2つ目は、現在我々がライブストリーミングに重きをおいていない点だ。なぜなら、モバイルゲームは隙間時間に消費されているという特徴があるからね。電車を待つ間の2分だけプレイしたり、電車の中でプレイしてもWi-Fiが繋がらなかくなって途切れたり、家に帰ってソファーでちょこっとプレイしたり…プレイ時間がとても短いんだよ。たくさんプレイする人はもちろんいるんだけど、実際は1分などの細切れの時間の積み重ねなんだ。このようなことから、我々はモバイルで簡単に録画でき、シェアできるというツールを開発することに注力している。決してライブストリーミングではないんだ。もしかしたら、将来的にはライブストリーミングの分野もカバーするかもしれないけどね。でも今は、プレイしていて、「おお!良いプレイができた。よしシェアしよう。」という流れで気軽に投稿をできることが大事だと考えている。


Q:現在のゲーム分野のトレンドをどう見ていますか?従来のコンソールゲームからモバイル中心の動きだと思うのですが。
そうだね。現在、人々は多くの時間をモバイルゲームに費やしているよ。いくつかのトレンドがあると思っている。よくハードコアゲーマーとカジュアルゲーマーがいて、カジュアルゲーマーがモバイルでプレイしているという意見を聞く。だが、実際それは違うんだ。現在League of Legendsをプレイしているようなハードコアゲーマーの多くがモバイルでもゲームをプレイしている。ある研究によると75%のハードコアゲーマーがモバイルでゲームをプレイしているらしい。この流れから分かるようにモバイルゲームの市場はとても大きいんだ。僕の母親だってモバイルでゲームをしているからね。彼女は、以前ゲームなんてしたことなかったのにも関わらず、iPhoneを購入した後は、ゲームをプレイするようになったんだ。これらは驚くべきトレンドだと思う。

もうひとつの大きなトレンドは、無料でプレイ可能になったことだ。これはディベロッパーにユーザー獲得のコストとユーザーリテンション(存続)という2点において大きな影響を与えた。どちらも彼らにとっては大きな問題だよね。Kamcordはその2点においてとても役に立つツールだと思う。まず、Kamcordは新規ユーザーの獲得にとても役立つ。録画したゲームをYouTubeやオンラインのプラットフォームで簡単にシェアできる。それを見た友人は、「おお!これは面白そうなゲームだ、自分もプレイしてみたいな!」といった感じでそのゲームをはじめるんだ。こんな流れでゲームタイトルの拡散を手助けする。これはとても強力は方法だよ。

また、ユーザーリテンションサイドだけど、Kamcordを利用することで2倍のエンゲージを記録できるケースがある。なぜなら、Kamcord上でゲームのスコアが日々更新されていくからだ。つまりそこで競争が起こるんだよ。彼らは多くのフォロワーをそこで獲得できるし、視聴者からコメントを集めることもできる。これらの要因はゲームをもっともっとプレイするための大きな欲求になるからね。どんどんみんなコンテンツを生み出してくれるよ。こういったわけで、ディベロッパーはKamcordといったソリューションを気に入ってくれる。

もう少し言及すると、これらの問題はコンソールゲームよりも、モバイルゲームの分野において深刻なんだ。なぜなら、App Storeには100万ものゲームが存在するからね。どのようにあなたのゲームをランクの上位に持っていくかの戦いになるんだ。一方、PS4のようなゲームは、そんなにゲームのタイトルがない。ゲームメーカーは少しのビックタイトルを提供しているだけだから、ユーザーはおもしろいゲームを見つけやすいんだよね。一方で、モバイルはどんなゲームがあるのか知ることさえ難しい。だから、従来よりももっとクリエイティブな方法で新規ユーザーの獲得をする必要があるんだ。


日本での採用、オフィス開設も予定





Q:トラクションについてお伺いします。現在どれくらいのディベロッパーがKamcordのSDKを利用しているのですか?

約340ものゲームがKamcordを導入しているよ。どのようにこのようなディベロッパーを獲得できたかというと、カスマーサービスを強化している点にあると思う。ディベロッパーが我々に質問を投げかけてきた時に数分で返信するようにしているんだ。例えば、2amに来た問い合わせは、4amまでには返事をしている。このような取り組みは、次第にディベロッパーと良い関係を構築することに役立つと考えている。ディベロッパーのコミュニティがKamcordを愛してくれることが大事だからね。また、ユーザー獲得や、ユーザーリテンションサイドの相談もカスタマーサービスとして受付けるようにしているよ。加えて、積極的にカンファレンスに出席してコミュニケーションを取ることも大事にしているんだ。日本にも度々足を運んでいるよ。去年はIVSにも参加したしね。その国の大きなゲームと組めると一気に広まっていくから、世界中を旅しながらKamcordを広めている。日本で言うと、DeNAやコロプラの人気ゲームに導入されることが大事だったね。


Q:どの国があなた達にとって大きな市場ですか?
USは常に我々にとって大きな市場なんだ。こういう言い方は癖があるかもしれないけど、USは簡単なんだよ。なぜなら僕達の拠点はUSにあるし、サンフランシスコにはたくさんのゲームスタジオがあるからね。自然にUSでの利用者が多くなっていく。また、USを除くと日本が№1の市場だと言えるだろう。多くのトラクションを日本から獲得しているんだ。また、日本の投資家から多くの資金を調達しているよ。例えば、DeNAは我々にとって最も大きな投資家だし、デジタルガレージ、KLab、Hiro Mashitaなど、彼らが日本の良質なネットワークを提供してくれているんだ。


Q:どのようにビデオのクオリティを管理しているのですか?
常に何百万のビデオがそこでシェアされているので、あまりそこには注意を払っていない。現在4000万を越えるビデオがKamcordにアップされているんだけど、確かに質の低いビデオ(何も起こらなかったり、興味が湧かないものなど)もいくつかあるね。でもそれでいいんだ。YouTubeもそうだと思う。質の低いビデオがたくさんある一方、1つの質の良いビデオが1億を越えるビューを集めている。そうした時に、我々の仕事は質の高いビデオをいかにユーザーに気付いてもらえるようにするかが大事になってくる。そこを大切にしているよ。



Q:中国やインドも大きな市場ですよね。興味はありますか?
我々はまだ小さなチームで、17人の従業員と5人のインターンしかいないんだ。なので、全ての市場をカバーするのはとても難しい。どの市場にリソースを割くのかは十分に考えないといけない。現在、米国外だとメインは英語圏の国々だ。もちろん日本にも注力している。中国や韓国も無視できない市場だ。そしてインドはまだ手をつけていないよ。なぜなら、インドはスマートフォンといった観点から、まだ中国や日本などに及ばないと思う。でもあと、1〜2年したら人々が多くの時間とお金をモバイルで消費しだすかもしれないので、その時に参入したいよ。また、直近で注目している市場は日本なんだ。今後は東京で現地の人間を雇いたいと考えている。次に中国と韓国だね。そして東南アジア、インド、ブラジル、ラテンアメリカ系などと続いていくつもりだ。全ての国をこの人数でカバーするのは不可能だから、そのような形で今はやっているよ。


Q:Y Combinatprでの経験についてお伺いします。YCに参加することのアドバンテージは何ですか?
1番のアドバンテージは、コミュニティに属することができる点だ。同期という点だと、80ものスタートアップと繋がることができる。みんな、「ウェブサイトを公開したんだけど、ユーザーがほぼ0なんだよね…、どうしたらいいのかな。」とか。「アプリをローンチしたんだけど、トラフィックがほぼないんだ、どうしたらいいのかな。」、「ディベロッパーに自社のプロダクトを使ってもらうにはどのようにしたらいいのか」など、同様の問題を抱えている。YCでは同期で、それをどのように解決したかをシェアすることができるんだ。このような共通した問題に対する共通知識をYCのコミュニティで共有できるのは大きいね。

もうひとつ大きなアドバンテージは資金調達面だ。YCの学期の最後にDemo Dayを通じて500人を越える投資と繋がることができる。このような多くのVCと効率的に繋がることはとても助けになるよ。10〜20人の投資家にビジネスの話を持っていって投資に合意してもらうことは難しくても、500人の投資家を相手ならYesと言ってもらうことは比較的簡単だからね。これらが大きなアドバンテージだと考えているよ。


Q:今後、YCに挑戦するスタートアップに何かアドバイスをください。
まずは、アプリケーションの内容に注力すると良いと思う。実際アプリケーションはとても短くて、3ページくらいしかないんだけど、我々はその質問に答えることに1週間もの時間を費やしたよ。でも、その質問内容がスタートアップにとって、とても役立つ内容なんだ。もし、あなたがYCに興味がなくても一度見てみるといいよ。なぜなら、質問内容はとてもシンプルで、あなたのビジネスを2〜3行で説明しろといった感じのもの。我々は、それを無駄のない簡略化された形で答えないといけないんだ。またファウンダーについてなども聞かれるね。これらの質問を答えることで、自分自身のビジネスの理解を深めることができる。だからYCに興味のないスタートアップにもおすすめなんだ。

また、YCの卒業生の話を聞きに行き、レコメンデーションを貰うことも助けになると思う。レコメンデーションの全てが、良いビジネスだったり、良いチームであることを証明することには繋がるわけではないけど、選考にあたって助けにはなると思う。また、その次にインタビューが重要になってくる。インタビューでは、シンプルでかつ端的に答えることを要求されるよ。全ての内容をずらずら話す必要はないんだ。まずは端的に答え、その次のステップで話を広げていく。時々、必要以上に背景的な情報を説明して、質問の趣旨に答えていない人がいるんだよね。このようにならないためにも、練習を重ねることが重要だ。YCはトリッキーな質問や、答えることが難しいような質問はしてこない。あなたのビジネスに関して、シンプルに質問してくるだけなんだ。それに対して明確でシンプルに回答するだけでいいんだ。


Q:資金調達に関してお伺いします。DeNAや、デジタルガレージ、ネットプライスなどの日本の企業から資金調達をしています。なぜこれらの日本企業から資金調達を行ったのですか?
我々のビジネスは、とてもビジネスディベロップメントインテンシブなんだ。なぜなら、僕らはゲームのディベロッパーとKamcordを導入してもらうためにたくさん話さなきゃならないからね。ドイツや日本、中国、韓国、米国、世界中どこのディベロッパーともだ。そこで、多様な投資家を受け入れることで、もっと多くのディベロッパー(企業)と話しができるチャンスをゲットできるんじゃないかと考えた。これがシードラウンドで日本の企業から資金を調達した理由だ。シードラウンドは、デジタルガレージとネットプライスから調達したよ。他にもドイツのVC、中国のTencent、Innovation Worksなどから調達した。うまくミックスできたと思っている。

そして、次にシリーズAラウンドを今年のはじめに行った。我々は、既に日本で何が起こっているか見てきたから、どれくらい日本のプロダクトが魅力的か理解していたんだ。そして、もっと日本の市場にフォーカスしようと考えた。我々は日本で人を雇って、オフィスも開設する計画だ。なので、誰がこれに関して助けになるだろうかと考えた。そして皆にDeNAやKLab、Hiro Mashitaなどが良いとすすめられたんだ。DeNAやKLabはKamcordを使っていてくれたし、素晴らしいタイトルも出してるから、助けになることは明白だった。


Q:そのような日本の投資家とはどのように関係を築いたのですか?
DeNAに関しては前から知っていたんだ。なぜなら彼らのUSオフィスがサンフランシスコにあるからね。Kamcordを導入してもらうために彼らとは長い時間話したよ。彼らとの付き合いはもう2年くらいになるのかな。一方KLabとはそれほどの関係もなかったんだ。僕が去年の12月にIVSに参加したとき、真田さんと話す機会があってね。彼が僕らのプロダクトにとても感銘を受けてくれた。それ以来、とても関係が近くなったよ。昔のオフィスが1ブロック離れたところにあったことも有効に働いてね。ランチに行ったりしたんだ。


Q:A16ZやGoogle VenturesなどトップティアVCから資金調達を行っていますが、それらのVCから調達する際に大事なことは何ですか?チーム、トラクション、アイディアなどあると思いますが。
それらの全て大事だね。シードステージに関しては、チームが1番重要になるだろう。なぜなら、我々の場合は3人しか従業員がいないし、プロトタイプもシンプルなものだから、プロダクトについて聞くことがあまりないような状態なんだ。だから、投資家はチームを信じるしかない。

また、シリーズAのステージは、チームも依然として重要なのだけど、そのビジネスにどれくらい市場があるのかが更に重要になってくる。僕はこれがシリーズAにおいては1番重要になると思うよ。どれくらい市場が大きいのか、その市場の中でどれほどの数字を残しているのかだ。我々は、10億人が日々ゲームで遊んでいる市場で、僕らはそれらの人々に繋がることができる。これがKamcordだと説明していたよ。このような説明が著名なVCに響いたのかもしれないね。


Q:最後に、日本の潜在的なユーザーにメッセージをください。
Kamcordには素晴らしい日本のモバイルゲームをたくさんあるんだ!進撃の巨人アヴァベルといったタイトルがおすすめだよ。それらのゲームを是非Kamcordからチェックして、プレイしてみてくれ!

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