iOSアプリのソースコードをAndroid向けに簡単に変換できるApportableとは、創業者Ian Fischerへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Apportableの創業者であるIan Fischer氏にインタビューを行なった。Apportableは、iOS用に作られたゲームをAndroidに簡単にコンバートすることができるアプリ開発プラットフォームを主に提供している。また、米国著名アクセラレーターのY Combinator、スタンフォード大学のアクセラレーターStartXの出身企業だ。Google VenturesやAME Cloud Ventures、その他著名エンジェル投資家から$8M以上の資金調達を行っている(2014年9月現在)。


iOSのソースコードをAndroidでも


Q:簡単にプロダクトについての説明をお願いします。

A:Apportableには2つのプロダクトがあって、1つはiOS(objective-C)で作ったアプリをandroidに簡単に変換できるサービスだ。ソースコードをドラッグアンドドロップで変換できる。もう1つは、SpriteBuilderという名前のCocos2Dのdeveloper向けにSDKを提供している。オープンソースプロジェクトであるCocosbuilderみたいな感じだね。最も有名なゲームエンジンであるCocos2Dを使いながら書いたコードをAndroidに簡単にコンパイルできる開発環境を提供しているんだ。


Q:両方のプラットフォームで簡単にゲームがリリースできるなんて、素晴らしいサービスだと思います。なぜこのサービスを作ろうと思ったのですか?
A:ディベロッパーはコードを書く事、理解する事にとても時間がかかる。だから、AndroidとiOS両方のプラットフォームでリリースしようとするときに似たような作業をするのは、基本的に退屈でいらつくし、本当にきつい作業なんだ。私のようにiOSでの開発に慣れている人は、AndroidのためにJavaを勉強しなくてはいけないし、新しい言語をマスターにするのはとても難しい事だ。マルチプラットフォームを実現するものとして確かにUnity, cocos2DといったC#やjavascriptのゲームエンジンは多数存在するが、それは正直良い解決策ではない。 なぜなら、どれも結局ネイティブ言語を使うことができないからだ。(C#はiOSとandroidのネイティブ言語ではなく、共通言語基盤"共通言語ランタイムなど"が解釈する共通中間言語にコンパイルされて実行される言語
)エンジニアは、コーディングのパフォーマンスをとても気にするものだ。できれば、objective-Cでコードを書きたいはずだと思う。iOSが最もいいUXを提供できるからね。そこでobjective-CをAndroidプラットフォームでも使えるようなサービスを作ることにしたんだ。





Q:ターゲットとしているのは、どのぐらいの規模の会社ですか?小さいスタートアップとか大企業とか。
A:インディーズのゲームディベロッパー向けをメインに展開しているよ。例えば、カナダ人2人のディベロッパーで作られているOsmosというiPadのゲームに使われていた。2010年のiPad game of the year にも選ばれている、とてもとても綺麗なアプリだ。スティーブジョブズにステージで紹介されてたほどなんだよ。6ヶ月以内に、彼らはAndroidアプリをリリースしようとしていたのだがとても忙しくて無理だった。その時、たまたま私達のプロダクトを聞いて使ってくれたそうだ。開発リソース、時間がないのは大きい会社も小さい会社も共通の問題だからね。他にも多くの個人ゲームディベロッパーやZynga, pocketgems, Booyah等のゲーム会社などでも使われているよ。


Q:日本のマーケットに興味はありますか?
A:とてもあるよ。実際直近で日本に行く予定だ。この記事を読んでくれた会社から話しかけられたり、メールが来るといいな。10日間滞在して、最初は横浜に行きその後東京に行く予定だ。顧客である、数社のゲーム会社にも会いに行く予定だ。日本でもサービスを広げて、その素晴らしいiOSゲームをAndroidプラットフォームにも持って行きたいと思っているし願っている。日本のゲーム市場は大きいし、とても綺麗なゲームを作っていると思う。


Q:どうやってユーザーを獲得しているのですか?教えて下さい。
A:セールスチームも持っているし、口コミで広がっている部分もある。 大抵のインディーズゲームを扱っているhumble bundle と協力している。ここサンフランシスコに本社があるしね。 humble bundleは、1ドル以上を支払うと、複数のゲームを購入でき、ユーザー全体の平均額以上($5程度)の金額を支払う事で、より多くのゲームとサウンドトラックなどの特典が手に入るという仕組みとなっている。humble bundleが主に扱っているのはインディーズゲームだ。見込み客が獲得できるようなサービス・会社と業務提携できるといいと思う。


Q:シードラウンドの資金調達について質問です。Y Combinator・Google Ventures・Salesforce・BetaworksといったいわゆるトップティアVC等から出資を受けていますよね。素晴らしいVCから投資を受けるのに重要なことを教えて下さい。
A:私は、シードラウンドの投資家は一般的に創業者の資質を見ていると思う。創業者が賢明でタフな事が求められる。私達は、既に充分に売上が上がっているという点で他のスタートアップとは違った。他の大抵のスタートアップは、売上が上がるのはもっと後になることが多い。売上が上げるということは、つまりユーザーに必要とされているということでありとても重要だ。もう一つの重要な判断基準は、やはり現在ユーザーが急速に増えているかを見せられるかだ。そうすればVCは、売上がいつか将来的に上がるのを見越して先に投資をしてくれる可能性が高い。


Q:昨今Y Combinatorのようなシードアクセラレーターに応募する日本のスタートアップが増えてきています。なにか彼らのアドバイスをいただけないでしょうか。
A:我々は参加していた、Y CombinatorとStartXは多少違いがある。今回はY Combinatorについて話すよ。大抵は創業者を含めたチームを一番重視している。創業メンバーが魅力的であれば、事業アイディアに関係なく投資する場合が数多くある。Y CombinatorもStarXも、創業者にアイディアがなくとも受け入れている例もあるし、それは別に特別なことではない。ほとんどのYCカンパニーは、創業者が2-5人だね。自分自身を理解できていること、プレゼンできることが求められる。Y Combinatorが発表している通り、創業者がハッカーとしてのセンスを持っているかを見てくるよ。コンピュータのハッキング以外で、何かシステム(仕組み)やセキュリティを破壊した経験を話すよう言われるし、それを実現した能力を重視していると思う。


Q:ありがとうございます。とても為になりました。 最後に、日本のポテンシャルユーザーやディベロッパーに対してメッセージをお願いします。
A:iOSのアプリ開発は本当に素晴らしいものだ。最も良いツールだし、素晴らしい体験を提供できて、うまくお金も稼ぐことができる。クロスプラットフォームへのアプリ展開はもはや宿命とも言えるが、決して諦めるべきではない。iOSの開発者には、Apportableを是非使って欲しいと考えている。objective-Cをためらわずに使って、自信を持って開発を進めて欲しい。そしてベストなプロダクトを作り成功することを願っているよ。

Apportableのページはこちら。SpriteBuilderのページはこちら

iOSアプリのソースコードをAndroid向けに簡単に変換できるApportableとは、創業者Ian Fischerへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Apportableの創業者であるIan Fischer氏にインタビューを行なった。Apportableは、iOS用に作られたゲームをAndroidに簡単にコンバートすることができるアプリ開発プラットフォームを主に提供している。また、米国著名アクセラレーターのY Combinator、スタンフォード大学のアクセラレーターStartXの出身企業だ。Google VenturesやAME Cloud Ventures、その他著名エンジェル投資家から$8M以上の資金調達を行っている(2014年9月現在)。


iOSのソースコードをAndroidでも


Q:簡単にプロダクトについての説明をお願いします。

A:Apportableには2つのプロダクトがあって、1つはiOS(objective-C)で作ったアプリをandroidに簡単に変換できるサービスだ。ソースコードをドラッグアンドドロップで変換できる。もう1つは、SpriteBuilderという名前のCocos2Dのdeveloper向けにSDKを提供している。オープンソースプロジェクトであるCocosbuilderみたいな感じだね。最も有名なゲームエンジンであるCocos2Dを使いながら書いたコードをAndroidに簡単にコンパイルできる開発環境を提供しているんだ。


Q:両方のプラットフォームで簡単にゲームがリリースできるなんて、素晴らしいサービスだと思います。なぜこのサービスを作ろうと思ったのですか?
A:ディベロッパーはコードを書く事、理解する事にとても時間がかかる。だから、AndroidとiOS両方のプラットフォームでリリースしようとするときに似たような作業をするのは、基本的に退屈でいらつくし、本当にきつい作業なんだ。私のようにiOSでの開発に慣れている人は、AndroidのためにJavaを勉強しなくてはいけないし、新しい言語をマスターにするのはとても難しい事だ。マルチプラットフォームを実現するものとして確かにUnity, cocos2DといったC#やjavascriptのゲームエンジンは多数存在するが、それは正直良い解決策ではない。 なぜなら、どれも結局ネイティブ言語を使うことができないからだ。(C#はiOSとandroidのネイティブ言語ではなく、共通言語基盤"共通言語ランタイムなど"が解釈する共通中間言語にコンパイルされて実行される言語
)エンジニアは、コーディングのパフォーマンスをとても気にするものだ。できれば、objective-Cでコードを書きたいはずだと思う。iOSが最もいいUXを提供できるからね。そこでobjective-CをAndroidプラットフォームでも使えるようなサービスを作ることにしたんだ。





Q:ターゲットとしているのは、どのぐらいの規模の会社ですか?小さいスタートアップとか大企業とか。
A:インディーズのゲームディベロッパー向けをメインに展開しているよ。例えば、カナダ人2人のディベロッパーで作られているOsmosというiPadのゲームに使われていた。2010年のiPad game of the year にも選ばれている、とてもとても綺麗なアプリだ。スティーブジョブズにステージで紹介されてたほどなんだよ。6ヶ月以内に、彼らはAndroidアプリをリリースしようとしていたのだがとても忙しくて無理だった。その時、たまたま私達のプロダクトを聞いて使ってくれたそうだ。開発リソース、時間がないのは大きい会社も小さい会社も共通の問題だからね。他にも多くの個人ゲームディベロッパーやZynga, pocketgems, Booyah等のゲーム会社などでも使われているよ。


Q:日本のマーケットに興味はありますか?
A:とてもあるよ。実際直近で日本に行く予定だ。この記事を読んでくれた会社から話しかけられたり、メールが来るといいな。10日間滞在して、最初は横浜に行きその後東京に行く予定だ。顧客である、数社のゲーム会社にも会いに行く予定だ。日本でもサービスを広げて、その素晴らしいiOSゲームをAndroidプラットフォームにも持って行きたいと思っているし願っている。日本のゲーム市場は大きいし、とても綺麗なゲームを作っていると思う。


Q:どうやってユーザーを獲得しているのですか?教えて下さい。
A:セールスチームも持っているし、口コミで広がっている部分もある。 大抵のインディーズゲームを扱っているhumble bundle と協力している。ここサンフランシスコに本社があるしね。 humble bundleは、1ドル以上を支払うと、複数のゲームを購入でき、ユーザー全体の平均額以上($5程度)の金額を支払う事で、より多くのゲームとサウンドトラックなどの特典が手に入るという仕組みとなっている。humble bundleが主に扱っているのはインディーズゲームだ。見込み客が獲得できるようなサービス・会社と業務提携できるといいと思う。


Q:シードラウンドの資金調達について質問です。Y Combinator・Google Ventures・Salesforce・BetaworksといったいわゆるトップティアVC等から出資を受けていますよね。素晴らしいVCから投資を受けるのに重要なことを教えて下さい。
A:私は、シードラウンドの投資家は一般的に創業者の資質を見ていると思う。創業者が賢明でタフな事が求められる。私達は、既に充分に売上が上がっているという点で他のスタートアップとは違った。他の大抵のスタートアップは、売上が上がるのはもっと後になることが多い。売上が上げるということは、つまりユーザーに必要とされているということでありとても重要だ。もう一つの重要な判断基準は、やはり現在ユーザーが急速に増えているかを見せられるかだ。そうすればVCは、売上がいつか将来的に上がるのを見越して先に投資をしてくれる可能性が高い。


Q:昨今Y Combinatorのようなシードアクセラレーターに応募する日本のスタートアップが増えてきています。なにか彼らのアドバイスをいただけないでしょうか。
A:我々は参加していた、Y CombinatorとStartXは多少違いがある。今回はY Combinatorについて話すよ。大抵は創業者を含めたチームを一番重視している。創業メンバーが魅力的であれば、事業アイディアに関係なく投資する場合が数多くある。Y CombinatorもStarXも、創業者にアイディアがなくとも受け入れている例もあるし、それは別に特別なことではない。ほとんどのYCカンパニーは、創業者が2-5人だね。自分自身を理解できていること、プレゼンできることが求められる。Y Combinatorが発表している通り、創業者がハッカーとしてのセンスを持っているかを見てくるよ。コンピュータのハッキング以外で、何かシステム(仕組み)やセキュリティを破壊した経験を話すよう言われるし、それを実現した能力を重視していると思う。


Q:ありがとうございます。とても為になりました。 最後に、日本のポテンシャルユーザーやディベロッパーに対してメッセージをお願いします。
A:iOSのアプリ開発は本当に素晴らしいものだ。最も良いツールだし、素晴らしい体験を提供できて、うまくお金も稼ぐことができる。クロスプラットフォームへのアプリ展開はもはや宿命とも言えるが、決して諦めるべきではない。iOSの開発者には、Apportableを是非使って欲しいと考えている。objective-Cをためらわずに使って、自信を持って開発を進めて欲しい。そしてベストなプロダクトを作り成功することを願っているよ。

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