2億5000万台の資産を新しいカタチに、個人間のカーシェアリングサービスGetaround創業者Sam Zaidへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Getaroundの創業者兼CEOであるSam Zaid氏にインタビューを行った。Getaroundは個人間(P2P)のカーシェアリングサービスで、誰でも簡単に車の貸し借りがアプリを通じてでできるといったもの。YahooのCEOであるMarissa Mayer、俳優Ashton Kutcher、Angel Listの創業者Naval Ravikant、ベイエリア著名VCのMenlo Venturesなど、数々のトップティア投資家から資金を集めている注目のスタートアップだ。

1日たった2時間未満しか使用されていない資産を新しいカタチに



Q1. Getaroundについて教えてください。
まず最初に述べておきたいのが、現在のアメリカにおける車の台数は2億5000万台。その車が実際に使われている時間というのは1日24時間の内の2時間にも満たない。つまり車の数が過剰で溢れ返っているだけでなくその車のほとんどが停まっているだけということ。この経済的実態の新しい解決策になるのがGetaround。車買う代わりに近くの人に借りるというサービスだね。カーオーナーは自分の車を共有することによって何千ドルという収入が得られる。Getaroundは登録された全ての車に保険を提供する代わりに、40%のコミッションをとるというビジネスモデルで成り立っている。すでにベイエリアではものすごい数のユーザーが登録してくれているよ。


Q2. どのようにしてGetaroundのビジネスモデルを思いついたのですか?

3、4年前から交通手段という分野に注目はしていたんだ。過去100年間を振り返ってみても乗り物の技術は進歩していても、基本的な人々の交通手段に変化は起きていない。この時点で、僕たちは交通手段のあり方が変わるのは時間の問題だとも感じていた。例えば車の自動運転技術なんかは良い例で、交通手段のあり方を大きく変える要素の一つだよね。それらを踏まえると、今後人々は「乗り物を買う、保有するというオーナーシップ」を求めるのではなく「行きたい場所へいくための手段、アクセス」を求めるようになると僕は予想したんだ。今まさに僕たちはその転換期にいると思うよ。そして何よりさっきも言ったように世の中は車で溢れ返っていて、しかもそのほとんどが停まっているだけ。スペースはとられるし、無駄が多いし、経済的にあまりにも非効率だ。そこにポテンシャルを感じて効率性や持続可能性という要素を取り込みつつ考えだしたのがGetaroundだね。


Q3. メインユーザーはどういった人達なのですか?

どこのマーケットにもよるのだけれど、メインの層は25歳−44歳の人達で、フルタイムで仕事をしているけれど車は使わない人達かな。上手くやっている人達は年間平均で6,000ドル稼いでいる。もちろんあなたがどこに住んでいてどんな車を持っているかにも大きく左右されるけれど、収入の助けにはなるよね。その次に大きなマーケットは19歳から25歳の人達、車を買うには少し高すぎるから、必要に応じて安い車、もしくは格好良い車を借りたいという人達だね。維持費やパーキングの心配をしなくても良いからそっちの方が良いという人達もいる。 


Q4. 1番苦労したことはなんですか?

シェアリングエコノミービジネスにおいてはいつも2つのビジネスが存在する。Getaroundにおいては車を持っている側と車を借りる側。それぞれの立場にたってサービスを作り上げるというのは思った以上に大変だったよ。車という有形資産を扱うという面ではすごく繊細な部分もあったし、そういった意味で保険というのは最大のチャレンジだったね。


Q5. Getaroundの最大の特徴としてBerkshire Hathawayという保険会社とパートナーになり、すべての車に保険をつけたことがあげられると思います。どのようにしてこれを可能にしたのですか?

ここで何かマジックがあると言いたいところなんだけれど、実際のところは地道にひたすら保険関係の人に話を聞き、勉強し、できることをしただけなんだ。立ち上げ当初、100人近くの保険会社の人と話をしたけどほとんどの人に断られたよ。耳を傾けてくれた最後のごくわずかの人達と交渉し、3ヶ月の試験期間を設けて結果を見るという条件付きで最終的に話がまとまったのがBerkshire Hathawayだった。基本方針を打ち出すのに15ヶ月かかったよ。結果的に苦労したけど実際動きだすと、数年前までは考えられなかったような保険の形が受け入れられるようになったんだ。  


Q6. あなたのバックグラウンドについてお聞かせ下さい。Getaroundを起業する前のキャリアは?
小さいときから何か新しい物を作り出すことに興味があってね。頭の良い人達と話をしながら、違ったものを生み出すプロセスがたまらなく好きなんだ。Getaround起業前、私とJessicaはSingularity大学で一緒だった。Singurarity大学は世界最先端の科学技術の研究をめざし、人類の未来に焦点をあてて教育が行われる学校だよ。スタンフォードの関係者やGoolgeのLarry Page、MITのAI開発に携わる人間や投資家達が未来にフォーカスした学校を作りたいと足を運んでいたよ。大学に在籍しながら360piという会社のスタートアップにも関わっていた。小売り市場の価格分析に特化したスタートアップで今はマーケットをリードする会社に成長しているよ。僕自身はイギリスで生まれカナダで育った。Singularity大学への進学が理由でサンフランシスコに来たんだ。移住者が起業するのは何かと手続きがやっかいだけど、Getaroundは奇抜なアイデアであり、ここは新しい発想を実現する場所だからね。


Q7. 資金調達についてお伺いします。Getaroundはベイエリアでトップティアの投資家から出資を受けていますが、彼らから出資受けるために何か特別なことをしたのですか?

もちろんできるだけたくさんの人と話をする必要があるよね。自分のビジネスにおけるビジョンに共感してもらう必要があるし一緒に働きたいって思ってもらえるだけのチームがないといけない。今回Getaroundの立ち上げにあたってはありがたいことにたくさんのトップティアの投資家達が支援してくれている。Navalと僕たちは彼がAngel Listを立ち上げる当初から知っているというつながりで、YahooのMarissaはTech Crunch Disruptで出会ったのがきっかけだね。Angel Listを通じていろんな投資家達とコンタクトをとったりもしたよ。当時はシェアリングエコノミーという言葉自体があまり浸透しておらず、僕たちのビジネスモデルもかなり目新しいものだった。


Q8. Getaroundの次のゴールを教えてください。

世の中に何億台もの車で溢れている。Getaroundを通じて億単位で車がシェアされるようになれば経済的にも環境的にも大きなインパクトになる。世界により良い変化をもたらすためにGetaroundをどこまで大きくできるかというのが僕たちにとっての次のチャレンジだね。もちろんそういう意味では日本のマーケット進出もそれに含まれるよ。

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2億5000万台の資産を新しいカタチに、個人間のカーシェアリングサービスGetaround創業者Sam Zaidへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Getaroundの創業者兼CEOであるSam Zaid氏にインタビューを行った。Getaroundは個人間(P2P)のカーシェアリングサービスで、誰でも簡単に車の貸し借りがアプリを通じてでできるといったもの。YahooのCEOであるMarissa Mayer、俳優Ashton Kutcher、Angel Listの創業者Naval Ravikant、ベイエリア著名VCのMenlo Venturesなど、数々のトップティア投資家から資金を集めている注目のスタートアップだ。

1日たった2時間未満しか使用されていない資産を新しいカタチに



Q1. Getaroundについて教えてください。
まず最初に述べておきたいのが、現在のアメリカにおける車の台数は2億5000万台。その車が実際に使われている時間というのは1日24時間の内の2時間にも満たない。つまり車の数が過剰で溢れ返っているだけでなくその車のほとんどが停まっているだけということ。この経済的実態の新しい解決策になるのがGetaround。車買う代わりに近くの人に借りるというサービスだね。カーオーナーは自分の車を共有することによって何千ドルという収入が得られる。Getaroundは登録された全ての車に保険を提供する代わりに、40%のコミッションをとるというビジネスモデルで成り立っている。すでにベイエリアではものすごい数のユーザーが登録してくれているよ。


Q2. どのようにしてGetaroundのビジネスモデルを思いついたのですか?

3、4年前から交通手段という分野に注目はしていたんだ。過去100年間を振り返ってみても乗り物の技術は進歩していても、基本的な人々の交通手段に変化は起きていない。この時点で、僕たちは交通手段のあり方が変わるのは時間の問題だとも感じていた。例えば車の自動運転技術なんかは良い例で、交通手段のあり方を大きく変える要素の一つだよね。それらを踏まえると、今後人々は「乗り物を買う、保有するというオーナーシップ」を求めるのではなく「行きたい場所へいくための手段、アクセス」を求めるようになると僕は予想したんだ。今まさに僕たちはその転換期にいると思うよ。そして何よりさっきも言ったように世の中は車で溢れ返っていて、しかもそのほとんどが停まっているだけ。スペースはとられるし、無駄が多いし、経済的にあまりにも非効率だ。そこにポテンシャルを感じて効率性や持続可能性という要素を取り込みつつ考えだしたのがGetaroundだね。


Q3. メインユーザーはどういった人達なのですか?

どこのマーケットにもよるのだけれど、メインの層は25歳−44歳の人達で、フルタイムで仕事をしているけれど車は使わない人達かな。上手くやっている人達は年間平均で6,000ドル稼いでいる。もちろんあなたがどこに住んでいてどんな車を持っているかにも大きく左右されるけれど、収入の助けにはなるよね。その次に大きなマーケットは19歳から25歳の人達、車を買うには少し高すぎるから、必要に応じて安い車、もしくは格好良い車を借りたいという人達だね。維持費やパーキングの心配をしなくても良いからそっちの方が良いという人達もいる。 


Q4. 1番苦労したことはなんですか?

シェアリングエコノミービジネスにおいてはいつも2つのビジネスが存在する。Getaroundにおいては車を持っている側と車を借りる側。それぞれの立場にたってサービスを作り上げるというのは思った以上に大変だったよ。車という有形資産を扱うという面ではすごく繊細な部分もあったし、そういった意味で保険というのは最大のチャレンジだったね。


Q5. Getaroundの最大の特徴としてBerkshire Hathawayという保険会社とパートナーになり、すべての車に保険をつけたことがあげられると思います。どのようにしてこれを可能にしたのですか?

ここで何かマジックがあると言いたいところなんだけれど、実際のところは地道にひたすら保険関係の人に話を聞き、勉強し、できることをしただけなんだ。立ち上げ当初、100人近くの保険会社の人と話をしたけどほとんどの人に断られたよ。耳を傾けてくれた最後のごくわずかの人達と交渉し、3ヶ月の試験期間を設けて結果を見るという条件付きで最終的に話がまとまったのがBerkshire Hathawayだった。基本方針を打ち出すのに15ヶ月かかったよ。結果的に苦労したけど実際動きだすと、数年前までは考えられなかったような保険の形が受け入れられるようになったんだ。  


Q6. あなたのバックグラウンドについてお聞かせ下さい。Getaroundを起業する前のキャリアは?
小さいときから何か新しい物を作り出すことに興味があってね。頭の良い人達と話をしながら、違ったものを生み出すプロセスがたまらなく好きなんだ。Getaround起業前、私とJessicaはSingularity大学で一緒だった。Singurarity大学は世界最先端の科学技術の研究をめざし、人類の未来に焦点をあてて教育が行われる学校だよ。スタンフォードの関係者やGoolgeのLarry Page、MITのAI開発に携わる人間や投資家達が未来にフォーカスした学校を作りたいと足を運んでいたよ。大学に在籍しながら360piという会社のスタートアップにも関わっていた。小売り市場の価格分析に特化したスタートアップで今はマーケットをリードする会社に成長しているよ。僕自身はイギリスで生まれカナダで育った。Singularity大学への進学が理由でサンフランシスコに来たんだ。移住者が起業するのは何かと手続きがやっかいだけど、Getaroundは奇抜なアイデアであり、ここは新しい発想を実現する場所だからね。


Q7. 資金調達についてお伺いします。Getaroundはベイエリアでトップティアの投資家から出資を受けていますが、彼らから出資受けるために何か特別なことをしたのですか?

もちろんできるだけたくさんの人と話をする必要があるよね。自分のビジネスにおけるビジョンに共感してもらう必要があるし一緒に働きたいって思ってもらえるだけのチームがないといけない。今回Getaroundの立ち上げにあたってはありがたいことにたくさんのトップティアの投資家達が支援してくれている。Navalと僕たちは彼がAngel Listを立ち上げる当初から知っているというつながりで、YahooのMarissaはTech Crunch Disruptで出会ったのがきっかけだね。Angel Listを通じていろんな投資家達とコンタクトをとったりもしたよ。当時はシェアリングエコノミーという言葉自体があまり浸透しておらず、僕たちのビジネスモデルもかなり目新しいものだった。


Q8. Getaroundの次のゴールを教えてください。

世の中に何億台もの車で溢れている。Getaroundを通じて億単位で車がシェアされるようになれば経済的にも環境的にも大きなインパクトになる。世界により良い変化をもたらすためにGetaroundをどこまで大きくできるかというのが僕たちにとっての次のチャレンジだね。もちろんそういう意味では日本のマーケット進出もそれに含まれるよ。

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