ビジネス版IFTTTのZapier - 創業者兼CEO Wade Fosterへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Zapierの創業者兼CEOであるWade Foster氏にインタビューを行った。Zapierはウェブサービス間のデータ交換のやりとりを自動化するというIFTTTのようなサービスだ。米国著名アクセラレーターのYコンビネーター2012年夏期輩出で、YCのパートナーであるKevin Haleや、著名VCのBessemer Venture Partnersなどが投資をしている注目のスタートアップだ。

世界中のあらゆるウェブサービスをコネクトさせる



Q1. まず、Zapierというサービスの説明をお願いします。
Zapierはウェブサービス間のやりとりを自動化するサービスです。Zapierを使うことでユーザーは、あるウェブサービスから別のサービスへ自動でデータを移すというような、データ移動に関する自分だけのルールを設定することが出来ます。おおよそ5分間で設定は終わり、コードも何も使わないというのも特徴の1つでしょう。


Q2. Zapierのアイデアはどのように思いついたのでしょうか。
ミズーリで大学時代を過ごしていた時、中小企業向けにフリーランスのエンジニアとして働いていたんです。その頃、例えば、Paypal経由で来た発注依頼を自動で自社のアカウントシステムに記録できるようにしたい、などの要望をよく聞きました。エンジニアやディベロッパーにとってこのような下請けの仕事でコードを書くことはそんなに難しくありません。ですがコードの書ける人がいない地方の中小企業にとっては大きな問題です。このような中小企業向けに、簡単にデータのやりとりを行えるようにしたいというのが最初のアイデアでした。


Q3. アジア圏でのユーザーの割合はどのくらいなのでしょうか。
約20%がアジア圏での利用者です。海外市場にもアピールできているという点で、悪くない数字だと思っています。


Q4. どのように ユーザー獲得をしたのですか。
大きく2つユーザー獲得の導線があると思っています。1つ目は、非常にシンプルなものです。海外の人がウェブサービス間のやりとりを自動化できるサービスを探しに、ウェブ検索をした時、Zapierの名前が出てきて、その流れでユーザーになるというパターンです。Gmail、EvernoteやDropboxなど、海外にも数多くユーザーがいるプロダクトをZapierが扱っていることがこのユーザー獲得の導線に貢献していると考えています。

2つ目がソーシャル上でシェアされることです。Zapierを使っていただいたユーザーが、使い勝手などをソーシャル上でシェアしてくれてユーザー獲得につながっています。


Q5. Yコンビネーターに入るまでの経緯を聞かせて頂けないでしょうか。
2011年の10月、Zapierを創業すると同時にYコンビネーターにアプライしたのですが、実は最初は受からなかったんです。受からなかった大きな理由としては、何も持っていなかったことだと自分で思います。プロトタイプは一応ありましたが、完璧には機能もしていませんでしたし、ユーザーもほとんどいませんでした。

ですが、Yコンビネータに入れる、入れないというのは私達がビジネスを続ける上で全く問題でなかったので、迷いなくそのまま仕事を続けました。日中は他の仕事をしていましたが、夜中にプロトタイプ作りなどに取り組んでいましたね。最初にYコンビネーターに落ちた後はソーシャル上でいろんな人にZapierの紹介をして、ユーザー獲得に励んでました。そのかいあって、ようやく1,000ユーザーほど集めることが出来ました。そしてありがたいことにすでにYコンビネーターに受かったスタートアップも使ってくれていました。Zapierを公式にローンチしてはいませんでしたが、こうして当初よりは多くのユーザーを獲得し、機能も改善できたので、もう一度Yコンビネーターにアプライしました。この2回目のアプライでようやく受かりました。


Q6. アプライした際、Yコンビネーター出身のスタートアップから推薦などはもらっていたのでしょうか。
推薦をもらってはいませんでしたが、WufooSift Scienceの方にはZapierの商品を紹介していました。もちろん、公式には推薦はもらえるものではありませんが、後になって彼らがZapierをYコンビネーターのパートナー達に薦めてくれていたことがわかりました。


Q7. Yコンビネーターから得たもので、最も大きかったものはなんだと思いますか。
2つあります。1つがコネクションを増やせるという点です。Yコンビネーター出身のスタートアップやシリコンバレーエリアのテック企業とつながれることができました。このコネクションのおかげで、Zapierの取り扱うウェブサービス数も増やせましたしサービス拡大も図ることができました。

もう1つは誰もあまり言いませんが、自社サービスの開発に超集中的に取り組むことができる点です。Yコンビネーターでの3カ月間、親や友達から離れ、社会からも離れることが求められます。しかし、この3カ月の間に費やしたコミット量は、Zapierを大きく前進させ、私の人生の中でも非常に濃い時間でした。この3カ月のコミットメントこそ、Yコンビネーターで得られた大きな収穫の1つです。


Q8. YコンビネーターのパートナーであるKevin Haleはどのような人でしたか。
とにかくKevinは頭がいい人で、かつ彼は会社をユニークに育て上げたと思ってます。まず彼はWufooをシリコンバレーではなく、フロリダで会社を創業してますし、チームはほとんどリモートでの仕事です。

そしてKevinの話の中で特に面白いのがAPIコンテストの話です。多くの企業がAPIコンテストを開いて、優勝者には多額の優勝金を与えています。ですが、WufooのAPIコンテストは優勝金と本物の戦闘用斧をあげています。ウェブサイトを見ればわかりますが、トップページに「優勝して戦闘斧を手に入れろ!」と書いてあり、すごく面白いアイデアだと思いました。こんな感じで、Kevinはすごくクリエイティブでユニークなアイデアを出す人でもあります。


Q9. トップティアのVCから資金調達をする秘訣はなんでしょうか。
成功するビジネスモデルをつくることに尽きると思います。登録だけでなくユーザーが実際に好んで使ってくれて、例えば週当たりのユーザー獲得数が増えていたりしていれば、投資家は興味を持つでしょう。当たり前かもしれませんが、やはり多くの人に使ってもらえてしっかりと収益も出せるようなビジネスモデルをつくることだと思います。


Q10. IFTTTとの違いはなんでしょうか。
IFTTTはコンシューマーベースのサービスです。彼らのサービスはTwitterやFacebookなどの人気のウェブサービスに特化しています。一方、Zapierはそれらコンシューマーベースのモノ以外に、MailChimpなどのビジネス向けも含めて幅広いウェブサービスを扱っている点とユーザー層を取り込んでいる点が違いだと思っています。


Q11. マネタイズと現在の収益に関して教えていただけますか。
フリーミアムモデルを採用しています。使用するウェブサービスが増えた場合は月額プランを使えるようにしています。収益に関して言えば、キャシュフローはプラスですし、いまのところ上手く言っていると思っています。


Q12. ビジネスをしていく上で最も大切にしていることはなんでしょうか。
とにかくユーザーが喜ぶものをつくるということに徹する気持ちを大切にしています。多くのスタートアップが最初の段階でコストのことや製品の機能に関して特化し過ぎていると思います。そうではなく、ユーザーがほんとうに欲しいと思えるものを作ることに専念すべきだと思います。ユーザーが欲するものを作れば、その見返りとしてユーザーはプロダクトのいい評判をまわりに広めてくれる存在になってくれます。それに、どのような機能が必要なのかもユーザーを見ていればわかってくるでしょう。だからこそ、ユーザー視点で始めることが最も重要だと考えています。


Q13. 最後の質問です。Zapierはこれから10年後、20年後、30年後の未来どうなっていると思いますか。
世界中のあらゆるデータを簡単につなげられる存在になっていると思います。あらゆるビジネスがデータを生み出しています。Zapierは、これらあらゆる企業が簡単に自分達の生み出すデータをわかりやすい形に変換できるようなサービスを作り出したいと思っています。あらゆるウェブサービスが、まるでオーケストラのように完璧に同期できるようにすることが目標です。

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ビジネス版IFTTTのZapier - 創業者兼CEO Wade Fosterへのインタビュー



ベイエリアの起業家へのインタビューシリーズ。今回は、Zapierの創業者兼CEOであるWade Foster氏にインタビューを行った。Zapierはウェブサービス間のデータ交換のやりとりを自動化するというIFTTTのようなサービスだ。米国著名アクセラレーターのYコンビネーター2012年夏期輩出で、YCのパートナーであるKevin Haleや、著名VCのBessemer Venture Partnersなどが投資をしている注目のスタートアップだ。

世界中のあらゆるウェブサービスをコネクトさせる



Q1. まず、Zapierというサービスの説明をお願いします。
Zapierはウェブサービス間のやりとりを自動化するサービスです。Zapierを使うことでユーザーは、あるウェブサービスから別のサービスへ自動でデータを移すというような、データ移動に関する自分だけのルールを設定することが出来ます。おおよそ5分間で設定は終わり、コードも何も使わないというのも特徴の1つでしょう。


Q2. Zapierのアイデアはどのように思いついたのでしょうか。
ミズーリで大学時代を過ごしていた時、中小企業向けにフリーランスのエンジニアとして働いていたんです。その頃、例えば、Paypal経由で来た発注依頼を自動で自社のアカウントシステムに記録できるようにしたい、などの要望をよく聞きました。エンジニアやディベロッパーにとってこのような下請けの仕事でコードを書くことはそんなに難しくありません。ですがコードの書ける人がいない地方の中小企業にとっては大きな問題です。このような中小企業向けに、簡単にデータのやりとりを行えるようにしたいというのが最初のアイデアでした。


Q3. アジア圏でのユーザーの割合はどのくらいなのでしょうか。
約20%がアジア圏での利用者です。海外市場にもアピールできているという点で、悪くない数字だと思っています。


Q4. どのように ユーザー獲得をしたのですか。
大きく2つユーザー獲得の導線があると思っています。1つ目は、非常にシンプルなものです。海外の人がウェブサービス間のやりとりを自動化できるサービスを探しに、ウェブ検索をした時、Zapierの名前が出てきて、その流れでユーザーになるというパターンです。Gmail、EvernoteやDropboxなど、海外にも数多くユーザーがいるプロダクトをZapierが扱っていることがこのユーザー獲得の導線に貢献していると考えています。

2つ目がソーシャル上でシェアされることです。Zapierを使っていただいたユーザーが、使い勝手などをソーシャル上でシェアしてくれてユーザー獲得につながっています。


Q5. Yコンビネーターに入るまでの経緯を聞かせて頂けないでしょうか。
2011年の10月、Zapierを創業すると同時にYコンビネーターにアプライしたのですが、実は最初は受からなかったんです。受からなかった大きな理由としては、何も持っていなかったことだと自分で思います。プロトタイプは一応ありましたが、完璧には機能もしていませんでしたし、ユーザーもほとんどいませんでした。

ですが、Yコンビネータに入れる、入れないというのは私達がビジネスを続ける上で全く問題でなかったので、迷いなくそのまま仕事を続けました。日中は他の仕事をしていましたが、夜中にプロトタイプ作りなどに取り組んでいましたね。最初にYコンビネーターに落ちた後はソーシャル上でいろんな人にZapierの紹介をして、ユーザー獲得に励んでました。そのかいあって、ようやく1,000ユーザーほど集めることが出来ました。そしてありがたいことにすでにYコンビネーターに受かったスタートアップも使ってくれていました。Zapierを公式にローンチしてはいませんでしたが、こうして当初よりは多くのユーザーを獲得し、機能も改善できたので、もう一度Yコンビネーターにアプライしました。この2回目のアプライでようやく受かりました。


Q6. アプライした際、Yコンビネーター出身のスタートアップから推薦などはもらっていたのでしょうか。
推薦をもらってはいませんでしたが、WufooSift Scienceの方にはZapierの商品を紹介していました。もちろん、公式には推薦はもらえるものではありませんが、後になって彼らがZapierをYコンビネーターのパートナー達に薦めてくれていたことがわかりました。


Q7. Yコンビネーターから得たもので、最も大きかったものはなんだと思いますか。
2つあります。1つがコネクションを増やせるという点です。Yコンビネーター出身のスタートアップやシリコンバレーエリアのテック企業とつながれることができました。このコネクションのおかげで、Zapierの取り扱うウェブサービス数も増やせましたしサービス拡大も図ることができました。

もう1つは誰もあまり言いませんが、自社サービスの開発に超集中的に取り組むことができる点です。Yコンビネーターでの3カ月間、親や友達から離れ、社会からも離れることが求められます。しかし、この3カ月の間に費やしたコミット量は、Zapierを大きく前進させ、私の人生の中でも非常に濃い時間でした。この3カ月のコミットメントこそ、Yコンビネーターで得られた大きな収穫の1つです。


Q8. YコンビネーターのパートナーであるKevin Haleはどのような人でしたか。
とにかくKevinは頭がいい人で、かつ彼は会社をユニークに育て上げたと思ってます。まず彼はWufooをシリコンバレーではなく、フロリダで会社を創業してますし、チームはほとんどリモートでの仕事です。

そしてKevinの話の中で特に面白いのがAPIコンテストの話です。多くの企業がAPIコンテストを開いて、優勝者には多額の優勝金を与えています。ですが、WufooのAPIコンテストは優勝金と本物の戦闘用斧をあげています。ウェブサイトを見ればわかりますが、トップページに「優勝して戦闘斧を手に入れろ!」と書いてあり、すごく面白いアイデアだと思いました。こんな感じで、Kevinはすごくクリエイティブでユニークなアイデアを出す人でもあります。


Q9. トップティアのVCから資金調達をする秘訣はなんでしょうか。
成功するビジネスモデルをつくることに尽きると思います。登録だけでなくユーザーが実際に好んで使ってくれて、例えば週当たりのユーザー獲得数が増えていたりしていれば、投資家は興味を持つでしょう。当たり前かもしれませんが、やはり多くの人に使ってもらえてしっかりと収益も出せるようなビジネスモデルをつくることだと思います。


Q10. IFTTTとの違いはなんでしょうか。
IFTTTはコンシューマーベースのサービスです。彼らのサービスはTwitterやFacebookなどの人気のウェブサービスに特化しています。一方、Zapierはそれらコンシューマーベースのモノ以外に、MailChimpなどのビジネス向けも含めて幅広いウェブサービスを扱っている点とユーザー層を取り込んでいる点が違いだと思っています。


Q11. マネタイズと現在の収益に関して教えていただけますか。
フリーミアムモデルを採用しています。使用するウェブサービスが増えた場合は月額プランを使えるようにしています。収益に関して言えば、キャシュフローはプラスですし、いまのところ上手く言っていると思っています。


Q12. ビジネスをしていく上で最も大切にしていることはなんでしょうか。
とにかくユーザーが喜ぶものをつくるということに徹する気持ちを大切にしています。多くのスタートアップが最初の段階でコストのことや製品の機能に関して特化し過ぎていると思います。そうではなく、ユーザーがほんとうに欲しいと思えるものを作ることに専念すべきだと思います。ユーザーが欲するものを作れば、その見返りとしてユーザーはプロダクトのいい評判をまわりに広めてくれる存在になってくれます。それに、どのような機能が必要なのかもユーザーを見ていればわかってくるでしょう。だからこそ、ユーザー視点で始めることが最も重要だと考えています。


Q13. 最後の質問です。Zapierはこれから10年後、20年後、30年後の未来どうなっていると思いますか。
世界中のあらゆるデータを簡単につなげられる存在になっていると思います。あらゆるビジネスがデータを生み出しています。Zapierは、これらあらゆる企業が簡単に自分達の生み出すデータをわかりやすい形に変換できるようなサービスを作り出したいと思っています。あらゆるウェブサービスが、まるでオーケストラのように完璧に同期できるようにすることが目標です。

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