『ゴジラのような企業を探している』Lyft, TaskRabbitへの投資実績を持つFloodgate創業者Ann Miura-Koへのインタビュー



ベイエリアの投資家へのインタビューシリーズ。今回は、Floodgateの創業者でありパートナーのAnn Miura-Ko氏にインタビューを行った。Floodgateは、LyftやTaskRabbit、AngelList、Digg、IFTTT、ngmocoをはじめとした優良スタートアップへの投資実績を持つトップティアVCのひとつである。Ann氏は、LyftやTaskRabbit、Boxbeeへの投資を担当した。

「ゴジラ」のような企業を輩出できる投資グループへ




Q1. これまでのバックグランド、また、どうして投資家になろうと思ったのか教えてください。
カリフォルニアのパロアルトで育ち、父はNasaに勤めていました近所の人が9回も起業していましたから、小さい頃からスタートアップがある環境に育ったと言えるでしょう。イエール大学に進学後は、機械工学を専攻していました。

ここで転機が訪れました。ある日、学部長から、ある人を紹介されてキャンパスを案内するように言われたんです。話が弾んで、彼の人となりを聞いてみたら、Hewlett Packed Company(フューレット・パッカード)のCEO Lewis E. Platt氏だとわかったんです。そして幸運なことに、1週間Hewlett Packed Companyにお邪魔する機会を得たんです。 そしたら偶然にも、Bill Gates(ビル・ゲイツ)もオフィスに来ていたんです。この偶然の大きな2つの出逢いは、自分がこれからものすごく大きなことに挑戦するべきであるということ意識させてくれました。これが最初の大きな転機です。

3年間マッキンゼーで働いた後、大学院進学を考えてました。そしてちょうどその時、ある投資家に会って、お互いのキャリアを話し合っていく内に、投資家としてのキャリアを意識し始めました時期でもありました。最終的にはスタンフォード大学院で博士号を取ろうと入学を決めたのです。同時にアナリストとしての経歴が買われ、大学院の起業家クラスで講師もしていました。そこでいまのビジネス・パートナーに出会い、いまに至ります。


Q2. どうやってLyftやTaskRabbitなどの成長性の高い投資先を見つけるのでしょうか。
起業家や投資家を多く紹介してもらえるようなネットワークが非常に大事だと思います。例えば、Lyftの社員がTaskRabbitのCEO Leah Busque氏を紹介してくれたんです。そしてLeah氏が、TaskRabbitのアドバイザーであり、4hour work weekという本の著者のTimothy Ferris氏を紹介していただいて知り合いになりました。 最終的には、Leah氏とTimothy氏の3人で話し合い、TaskRabbitのシードラウンド投資につながりました。このような次につながるネットワークがすごく大切だと思います。


Q3. 投資を考える際、どのような起業家の要素を見ていますか。
2つあります。まず最初に、起業家が信頼できる要素を持っているかを見ます。言い換えると、たとえ10の素晴らしい起業アイデアをあげたとしても、いま自分のやっているたった一つのビジネスアイデアを貫き通せるかです。そして自分達こそがそれを成すことが出来ると信じているかです。

2つ目が、核となるビジネスアイデアは変えずに、しっかりと市場に自分のプロダクトを適応できるかです。言い換えれば実験を繰り返してプロダクトを成長させることのできる忍耐力を持っているかを見ます。例えばLyftはいまのビジネスモデルに行き着くまで3年かかりました。


Q4. 著名なVCから資金調達をする際、どのような要素がアーリーステージのスタートアップに求められるのでしょうか。
顧客ベースとテクノロジーベースの会社の2種類あるので、まず顧客ベースのスタートアップに関して述べます。このようなスタートアップは、将来的に多くの顧客が好むであろう全く新しいプロダクトやサービスを提供する際、なにかしらの「証拠」が必要となるでしょう。実際に顧客が使っているというデータのような「証拠」があれば、VCが投資する際、大きな示準の一つとなります。

次にテクノロジーベースのスタートアップに関して言うと、当たり前ですが、顧客が求めるというよりは、技術的に大きな変化をもたらすものを持っていることが求められます。その場合、スタートアップが生み出す市場というよりは、そのスタートアップの持つテクノロジー自体に投資するという認識を私達は持っています。


Q5. どの業界を最も注目していますか。
最初に断っておくと、私達が投資している先は、世間的には全く注目されていないとてもアーリーステージの業界です。ですが、個人的にはデータ解析の分野に注目しています。そして製造業関連にも注目しています。というのも、ロボットがこれから活用され、人件費の削除なに貢献し、製造業のプロセス自体に大きな転換が起きると考えているからです。同様に、機械学習の分野にも注目しています。

このような大きな市場の変化が起きた後に、知的労働者と呼ばれる人がどうやって新しいビジネス、経済を興すのかにも注目しています。


Q6. どの起業家が一番印象に残っていますか。
LyftのJohn Zimmer氏とLogan Green氏ですね。なぜ彼らに惹かれたかと言えば、自分達のビジョンをひたすらに追いかけているからです。今のように輸送分野がずっと注目される前からずっとこの分野で自分達のビジョンを追いかけていたんです。いまのLyftは、彼らの情熱から成し得ていると思いますし、彼らの人柄に好かれ、ひたむきな姿勢だからこそだと思います。


Q7. 日本人起業家はサンフランシスコのベイエリアに越してくるべきだと思いますか。
日本人起業家がベイエリアに越してくるということを考える以前に、日系企業が抱えている大きな問題をしっかりと認識しないと徒労に終わると思います。1つが、日本市場は十分に大きくないということです。一方で、例えば中国市場は経済規模からしてもスタートアップをはじめるのに十分に大きな市場です。しかも中国企業がアメリカ市場に進出するケースも数多いので、彼らは北米市場に参入する際のノウハウも持っています。日系企業は、日本市場が小さいということを始めから理解して、中国企業のように早い段階で海外市場への進出を考えるべきだと思います。

2つ目が、日系企業の経営陣は日本人的であり過ぎること。例えば、Alibabaなどは経営陣も含めグローバライズされています。海外市場を見据えた経営陣のマインドセットも然り、全員が英語を話し、正にグローバライズされていると言えるでしょう。ここから学べるように、日本人起業家にはものすごく早いステージでこっちの市場に来るか、早い段階で経営陣をグローバライズすることが求められるでしょう。

しかし日系企業でも海外市場進出に成功した好例があります。例えばDeNAの経営陣は英語も流暢にしゃべりますし、海外市場向けのマインドセットもしっかり持っていて、ロールモデルになると思w。


Q8. どのように日本人投資家がUSベースのスタートアップに投資できると思いますか。
まずすごくいい投資先を見つけたいなら、彼らはこちらに来るべきだと思いますね。なぜなら口コミや噂を入手するのも日本からだとすごく難しいからです。そして直接確かめる必要もあると考えるからです。やはり現地の人と触れる必要があると思います。Index VenturesのDanny Rimer氏がいい例です。Danny氏もロンドンからサンフランシスコ・シリコンバレーエリアに越してきていますから。


Q9. 偉大な投資家になるには何が大事だと思いますか。
抽象的な言い方になりますが、「ゴジラ」を見つけられるかです。私達にとっていい起業家のイメージは「ゴジラ」みたいになるかどうかだと考えています。市場にゴジラのように参入して圧倒的な強さをもつこと。このような大きな変革こそが市場に必要だと考えています。故に「ゴジラ」のような起業家を探せるかが投資家にとって必須条件だと思います。しかし、このようなスタートアップを育てるには10-15年かかります。なので長い年月がかかることも覚悟しなければいけないと同時に思います。

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『ゴジラのような企業を探している』Lyft, TaskRabbitへの投資実績を持つFloodgate創業者Ann Miura-Koへのインタビュー



ベイエリアの投資家へのインタビューシリーズ。今回は、Floodgateの創業者でありパートナーのAnn Miura-Ko氏にインタビューを行った。Floodgateは、LyftやTaskRabbit、AngelList、Digg、IFTTT、ngmocoをはじめとした優良スタートアップへの投資実績を持つトップティアVCのひとつである。Ann氏は、LyftやTaskRabbit、Boxbeeへの投資を担当した。

「ゴジラ」のような企業を輩出できる投資グループへ




Q1. これまでのバックグランド、また、どうして投資家になろうと思ったのか教えてください。
カリフォルニアのパロアルトで育ち、父はNasaに勤めていました近所の人が9回も起業していましたから、小さい頃からスタートアップがある環境に育ったと言えるでしょう。イエール大学に進学後は、機械工学を専攻していました。

ここで転機が訪れました。ある日、学部長から、ある人を紹介されてキャンパスを案内するように言われたんです。話が弾んで、彼の人となりを聞いてみたら、Hewlett Packed Company(フューレット・パッカード)のCEO Lewis E. Platt氏だとわかったんです。そして幸運なことに、1週間Hewlett Packed Companyにお邪魔する機会を得たんです。 そしたら偶然にも、Bill Gates(ビル・ゲイツ)もオフィスに来ていたんです。この偶然の大きな2つの出逢いは、自分がこれからものすごく大きなことに挑戦するべきであるということ意識させてくれました。これが最初の大きな転機です。

3年間マッキンゼーで働いた後、大学院進学を考えてました。そしてちょうどその時、ある投資家に会って、お互いのキャリアを話し合っていく内に、投資家としてのキャリアを意識し始めました時期でもありました。最終的にはスタンフォード大学院で博士号を取ろうと入学を決めたのです。同時にアナリストとしての経歴が買われ、大学院の起業家クラスで講師もしていました。そこでいまのビジネス・パートナーに出会い、いまに至ります。


Q2. どうやってLyftやTaskRabbitなどの成長性の高い投資先を見つけるのでしょうか。
起業家や投資家を多く紹介してもらえるようなネットワークが非常に大事だと思います。例えば、Lyftの社員がTaskRabbitのCEO Leah Busque氏を紹介してくれたんです。そしてLeah氏が、TaskRabbitのアドバイザーであり、4hour work weekという本の著者のTimothy Ferris氏を紹介していただいて知り合いになりました。 最終的には、Leah氏とTimothy氏の3人で話し合い、TaskRabbitのシードラウンド投資につながりました。このような次につながるネットワークがすごく大切だと思います。


Q3. 投資を考える際、どのような起業家の要素を見ていますか。
2つあります。まず最初に、起業家が信頼できる要素を持っているかを見ます。言い換えると、たとえ10の素晴らしい起業アイデアをあげたとしても、いま自分のやっているたった一つのビジネスアイデアを貫き通せるかです。そして自分達こそがそれを成すことが出来ると信じているかです。

2つ目が、核となるビジネスアイデアは変えずに、しっかりと市場に自分のプロダクトを適応できるかです。言い換えれば実験を繰り返してプロダクトを成長させることのできる忍耐力を持っているかを見ます。例えばLyftはいまのビジネスモデルに行き着くまで3年かかりました。


Q4. 著名なVCから資金調達をする際、どのような要素がアーリーステージのスタートアップに求められるのでしょうか。
顧客ベースとテクノロジーベースの会社の2種類あるので、まず顧客ベースのスタートアップに関して述べます。このようなスタートアップは、将来的に多くの顧客が好むであろう全く新しいプロダクトやサービスを提供する際、なにかしらの「証拠」が必要となるでしょう。実際に顧客が使っているというデータのような「証拠」があれば、VCが投資する際、大きな示準の一つとなります。

次にテクノロジーベースのスタートアップに関して言うと、当たり前ですが、顧客が求めるというよりは、技術的に大きな変化をもたらすものを持っていることが求められます。その場合、スタートアップが生み出す市場というよりは、そのスタートアップの持つテクノロジー自体に投資するという認識を私達は持っています。


Q5. どの業界を最も注目していますか。
最初に断っておくと、私達が投資している先は、世間的には全く注目されていないとてもアーリーステージの業界です。ですが、個人的にはデータ解析の分野に注目しています。そして製造業関連にも注目しています。というのも、ロボットがこれから活用され、人件費の削除なに貢献し、製造業のプロセス自体に大きな転換が起きると考えているからです。同様に、機械学習の分野にも注目しています。

このような大きな市場の変化が起きた後に、知的労働者と呼ばれる人がどうやって新しいビジネス、経済を興すのかにも注目しています。


Q6. どの起業家が一番印象に残っていますか。
LyftのJohn Zimmer氏とLogan Green氏ですね。なぜ彼らに惹かれたかと言えば、自分達のビジョンをひたすらに追いかけているからです。今のように輸送分野がずっと注目される前からずっとこの分野で自分達のビジョンを追いかけていたんです。いまのLyftは、彼らの情熱から成し得ていると思いますし、彼らの人柄に好かれ、ひたむきな姿勢だからこそだと思います。


Q7. 日本人起業家はサンフランシスコのベイエリアに越してくるべきだと思いますか。
日本人起業家がベイエリアに越してくるということを考える以前に、日系企業が抱えている大きな問題をしっかりと認識しないと徒労に終わると思います。1つが、日本市場は十分に大きくないということです。一方で、例えば中国市場は経済規模からしてもスタートアップをはじめるのに十分に大きな市場です。しかも中国企業がアメリカ市場に進出するケースも数多いので、彼らは北米市場に参入する際のノウハウも持っています。日系企業は、日本市場が小さいということを始めから理解して、中国企業のように早い段階で海外市場への進出を考えるべきだと思います。

2つ目が、日系企業の経営陣は日本人的であり過ぎること。例えば、Alibabaなどは経営陣も含めグローバライズされています。海外市場を見据えた経営陣のマインドセットも然り、全員が英語を話し、正にグローバライズされていると言えるでしょう。ここから学べるように、日本人起業家にはものすごく早いステージでこっちの市場に来るか、早い段階で経営陣をグローバライズすることが求められるでしょう。

しかし日系企業でも海外市場進出に成功した好例があります。例えばDeNAの経営陣は英語も流暢にしゃべりますし、海外市場向けのマインドセットもしっかり持っていて、ロールモデルになると思w。


Q8. どのように日本人投資家がUSベースのスタートアップに投資できると思いますか。
まずすごくいい投資先を見つけたいなら、彼らはこちらに来るべきだと思いますね。なぜなら口コミや噂を入手するのも日本からだとすごく難しいからです。そして直接確かめる必要もあると考えるからです。やはり現地の人と触れる必要があると思います。Index VenturesのDanny Rimer氏がいい例です。Danny氏もロンドンからサンフランシスコ・シリコンバレーエリアに越してきていますから。


Q9. 偉大な投資家になるには何が大事だと思いますか。
抽象的な言い方になりますが、「ゴジラ」を見つけられるかです。私達にとっていい起業家のイメージは「ゴジラ」みたいになるかどうかだと考えています。市場にゴジラのように参入して圧倒的な強さをもつこと。このような大きな変革こそが市場に必要だと考えています。故に「ゴジラ」のような起業家を探せるかが投資家にとって必須条件だと思います。しかし、このようなスタートアップを育てるには10-15年かかります。なので長い年月がかかることも覚悟しなければいけないと同時に思います。

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