シリコンバレーを狙う起業家へのアドバイス、Wasabi Ventures創業者Chris Yehへのインタビュー




ベイエリアの投資家へのインタビューシリーズ。今回は、Wasabi Venturesの創業者でありパートナーのChris Yeh氏にインタビューを行った。Wasabi Venturesは、シード及びアーリーステージのベンチャーキャピタルで500 FriendsやUstream等のスタートアップへ投資を行っている。Yeh氏はUstreamのCEOをはじめ、会社経営の経験を持つ投資家だ。また、2014年7月にLinkedIn創業者Reid Hoffmanと共著で『The Alliance』という書籍を出版した。

著名ベンチャーキャピタリストMatt Cohlerの事例からみるAllianceの大切さ




Q1. まずは貴著"The Alliance"についてお聞かせください。どのようにして本書のアイデアを思いついたのでしょうか?
“The Alliance"は共著者であるReid Hoffmanと私自身がこれまでこのシリコンバレーという土地で働き、人間関係を形づくる道を模索してきた経験を大いに反映しています。人生の全てを一つの会社に捧げないとしても、シリコンバレーにおいては従業員と会社が良好な関係を築けていることが多い。例えば、私が同じ会社に属していた期間で最も長かったのは6年間ですが、シリコンバレーの時間軸で測ると6年という期間は非常に長いですよね。ただ従来の雇用期間を考えると、これはとても短いとも言えます。

そこで着目したのが、たとえ従業員が会社を離れ雇用関係がなくなったとしてもアライアンスが維持されるという点です。例えば私のキャリアはD.E.ShawというNYの著名なヘッジファンドからスタートしました。時期的には一緒では無かったけれど、かつてジェフベソスも従業員の一人だったことで知られる会社です。会社を去って随分と経ちますが、未だに私はその会社に良い印象を持っていて、同社の多くの現役社員や卒業生たちと連絡を取り合っている。会社に対する強い所属感のようなものが私の中にまだ存在しているのです。そこで私は考えました。「このような感覚はどういう理由で生じるのか。どうしたらこれをもっとも的確に説明出来るだろうか。」と。

そこで、私たちはまずこの現象の適切なメタファーを検討することから始めました。アライアンスの定義について触れておくと、アライアンスとは「独立しているが、同じ関心事を持ち、協働する道を一緒に探すことのできる二者間の関係」であると考えています。このアライアンスについて押さえておくべき最も重要なことの一つが、人々は概して他人といかにして一緒に働くかということについて、ぼんやりとしか理解できていないという事実です。二者は決して対立する者同士ではないのです。とにかく全力で働く。私はこれをやる、君はこれをやる。僕はこれを手にして、君はそれを手にする。私たちはこれが新しい雇用関係の正しいあり方だと感じています。


Q2. 日本においてどのような人に本書を手に取ってもらいたいとお考えでしょうか。

様々な会社のリーダー、マネージャークラスの人たちに是非とも読んで頂きたいと思っています。私たちが本書内で指摘していることの一つに、彼らこそこの雇用関係の変化に対応して適切に舵をとるべきである、というものがあります。決して従業員たちが自分たちで「これこそ自分が働きたかった新しい仕組みだ」と気づくのを待つべきではありません。

ただこの変化は、雇用主やリーダー、マネージャーにとっては非常に受け入れるのが大変です。 なぜなら本書の中で語られていることの多くは、彼らに従業員たちが会社を遅かれ早かれ離れることを許容するよう求めているからです。私たちの理解では、彼らマネージャー職の人々は仕組みを変えなければいけないということを心の底から強く感じている。ただ、彼らはこれまでの伝統的なマネジメントに欠陥があることには気付きながらも、それに代わる方法が何であるのかを知りません。したがって本書ではその方法を具体的かつ明快に、ステップを踏んでお伝えしています。


Q3. 優れたアライアンスを実現している企業の事例についてお聞かせください。

本書で紹介している素晴らしい例の一つは、シリコンバレーの著名VCであるBenchmarkのGeneral Manager、Matt Cohlerに関するものです。彼は豊富な卒業生ネットワークを有することで有名な前職のMcKinsey&Companyを退職後、私の共著者であるReid Hoffmanのところにやってきました。彼は「私はベンチャーキャピタリストになりたい、それが私の夢なんです。そしていずれトップティアVCで General Partnerになりたいと思っています」と話しました。そして彼はどうすればVCで働くことが出来るのかと尋ねてきたのです。私たちが彼に伝えたのは次のことでした。「皮肉なことに、VCで働くことは良いVCになる上では最悪の選択だ」と。というのもVCのアソシエイトたちは起業家たちを助けられるだけのオペレーション経験を持っていないのです。全てのベンチャーキャピタリストというのは最終的にはオペレーションにおけるエグゼクティブになるので、オペレーションに携わる経験は必須とも言えます。かの有名な投資家Mark Andreessenも、VCになる以前には起業家として非常に大きな成功を収めていますよね。

そこで私たちはMattにこうアドバイスしました。「なあ、Linkedinで働いてはどうだろう。君がいずれ会社を離れることは理解している。君はベンチャーキャピタリストになりたいという夢を持っているし、うちの会社はVCではないからね。ただ君がLinkedinで働いてくれればうちにとっては大きな力になるし、うちも君にとって大きな力になることが出来る。君の夢の実現に向かって大きく前進することにもなるはずだ」 と。こうして彼は就業契約書にサインし、それから2、3年の間、Reidの右腕としてLinkedinの成長に大きく貢献しました。その後彼は別の会社からオファーをもらうことになります。Facebookです。初期のFacebookにおいて彼は重要な役割を与えられることになったのです。その時 Reidはこう言いました。私たちとしては君をLinkedinに留めておきたい。ただ君のためには、君が異なる2つの成功する会社で働く経験をするほうがベターだ、と。ReidはMattにLinkedinを離れてFacebookに行き、そこで新たな学びを得ることを勧めました。こうして2つの異なる会社での業務を経験をしたのち、MattはBenchmarkにおいてGeneral Partnerという責任あるポジションを得るに至りました。ただこれは非常に納得の出来る話です。なぜなら彼は非常に価値の高いスタートアップを2つも経験しているからです。

さて、これはアライアンスを考える上で良い例の一つでしょう。ReidはたとえMattが最終的に会社を離れることを分かっていても彼を採用し、さらには他の会社に転職することの手助けまでしたのです。僕は君にとってメリットのあることを、君は僕にとってメリットの あることをする。このような姿勢を垣間見ることが出来ます。すなわち自分の要求を満たすだけではなく、相手のニーズを考慮することが大切なのです。結果的に彼らは今日でも強い繋がりを保っていて、数カ月前には共同でスタートアップに投資したりしています。これが、今日まで続くアライアンスをよく表している一つの例と言えます。


Q4. VCとしてのキャリアを始める以前は、どのような経験をされてきたのでしょうか。

私のバックグラウンドは典型的なシリコンバレーらしいものです。南カリフォルニアで生まれ、シリコンバレーで育ち、大学はスタンフォードに入学しました。その後でプロダクトデザインエンジニアリング、クリエイティブ・ライティングを学びました。コンピューターサイエンスの勉強も勿論しました。その後は D.E.Shawで働くために東海岸に3年間移り住みました。東海岸では非常に多くのことを学びました。Harvard Business Schoolを出た後ふたたびシリコンバレーに戻り、投資業を始めたのは2005年になります。それ以前はもっぱらオペレーションサイドの仕事ばかりをしてのですが、ある時友人から投資をしてみてはどうだというアドバイスを受けました。これが始まりです。それから今に至るまで、恐らく50ほどの会社に投資を行ってきています。


Q5. スタンフォード入学の経緯についてお聞かせください。

15歳の時にスタンフォードに入学しました。誕生日が10月なのですぐに16歳にはなりましたが。2つグレードをスキップしたことになりますね。


Q6. 投資サイドのお話についてお伺いします。Wasabiと他のVCとの違いを教えてください。
私たちは基本的に手を動かすオペレーターであると思っています。そして、単にオペレーターとしての業務を遂行するだけでなく、オペレーションそのものを楽しむ姿勢を持っています。VCがオペレーションに関わることには非常に大きな価値があるのですが、例えば起業家たちのマーケティングプラン策定を腰を据えて手伝おうとするVCはなかなかいないものです。私たちは投資した会社、起業家には深くコミットしていますし、それを非常に楽しんでいます。

私たちのインキュベーションプログラムはまさにこれを体現しています。従来のインキュベーターは3ヶ月間の期間を設けて、その期間にメンター陣によるメンタリングを行うというものが多いでしょう。ですが我々は、参加者たちをプログラムが始まる前に招いて基本的なガイダンスを行い、期間中は集中的に彼らと一緒になって、第一のパートナーとして作業にあたります。外部のメンターとしてではありません。

かつて私はアドバイザーという立場で25ほどのスタートアップのメンタリングに携わっていました。この時私は起業家一人ひとりと十分な時間を一緒に過ごすことが出来ないことにフラストレーションを感じていました。私としては、少数の起業家とそれぞれより長い時間を共に過ごし、より強い関係性を築いていくことに重きをおきたいのです。こうすることで、 より深いアライアンスを作ることが出来るからです。


シリコンバレーは無名でコネクションも評価も信用もお金もない人々が世界を変える程の成功をおさめる場所



Q7. どのようにして投資に値するスタートアップを見つけているのですか。

これは非常に難しいことです。単にAngel Listを眺めていれば見つけられるというような簡単なものではないんですよね。Angel Listに名前が乗る頃には皆が知ってしまっていますから。いくつかやるべきことがあって、人々が今まさに使い始めているプロダクトを見つけることがその一つです。最近では、投資家まわりで支持を集めているProduct Huntは見ています。最新のホットなプロダクトを知ることが出来るし、誰がそのプロダクトについて言及しているかも知ることが出来て便利です。それと、 Y CombinatorのHacker Newsもチェックしています。多くのアーリーアダプターがそこに集まっているからですね。

もう一つは、沢山の起業家と話すこと、実際に会って良い関係を作ることです。起業家は他の起業家を助けることが好きなので、良い関係を築くことが出来れば彼らは別の起業家を紹介してくれるようになります。誰に投資することが最終的に素晴らしい投資実績につながるをか事前に知ることは出来ません。だからこそ、 出来る限り多くの起業家と話すことが必要になってくると考えています。私がやっていることは、出来る限り多くの起業家と話し、無料で相談に乗り、プロダクトを開発するサポートをしたりすることです。そうすることで自分たちのバリューを示し、将来的に伸びるスタートアップが私たちから投資を受けることを選んでくれるようになるのです。


Q8. トラクション、チーム、アイデアなどの中で、資金調達のために最も重要なものは何でしょうか。
全てが重要です。とりわけ何よりも重要なのは可能な限り最高のチームであることです。もしそうであれば、資金調達は比較的容易になります。ただ問題は、チームは自分一人の力ではコントロール出来ないという点です。自分は自分以上でも以下でもないからです。自分がスーパースターでなければ、他のスーパースターを自分のチームにジョインさせることもなかなか難しいことですしね。しかし自分のプロダクトが上手くいけばいつしかスーパースターとみなされるようになり、自然と良い人材が集まり良いチームが出来ていくものです。Mark Zuckerbergがハーバード大学を中退する時、それを気にする人はいなかったはずです。なぜならMarkはあのFacebookを作ったMarkだからです。他のすべて起業家にも同じことが言えると思います。

良いチームを意識的に作ることが難しい一方で、自分の力で多くのことがコントロール可能なのがトラクションサイドです。私はことあるごとに起業家たちにトラクションを作ることの重要性を説いています。トラクションはそのプロダクトが価値あるものということの証明になります。市場があること、あなたがどうやってプロダクトをグローバルでスケールさせていくかを知っていることの証明になる。トラクションさえ出来ていれば、プロダクトが優れていることを主張するまでもなく、人々を説得させ惹きつけることは非常に簡単になります。

例えば投資家たちは最初Snapchatがどんなものなのか全く分かりませんでした。「他人に自分の裸の写真を送ることができるアプリ?なんだそれは...」とね。(一同笑)ですがSnapchatには1億人のユーザーがいて、数十億枚の写真が投稿されている。なんてことだ!良く分からないけれどこれは何かすごいことが起きている、と彼らは感じずにはいられません。


Q9. 米国のVCから資金調達を受けたい日本のスタートアップが増えていますが、コネクションや言語面での障壁があります。すでに十分なトラクションのあるスタートアップもあります。彼らにアドバイスをお願いします。

ベイエリアに来て3ヶ月間ほどこちらで過ごすことです。シリコンバレーは基本的に皆オープンで、この土地の一員になることは実は簡単です。自分たちのバリューを示しさえすれば良いのです。アソシエイトのKenは、こちらに来た当初誰も知り合いがいなく、コネクションもないという状態でした。僕は彼に言いました。「シリコンバレーの人々はとてもオープンだ。君がやるべきことはたったひとつ、人々の前で自分の持っている価値を提供することだ」と。よく使うジョークを一つ。シリコンバレーで誰か新しい人に会う時は、初対面では「やあ、僕はクリス。はじめまして」「どうもはじめまして」、2回目に会うと「あれ君はクリスだよね!最近どうしてる?」 「やあ!元気だよ。そちらは?」、そして3回目にあった時にはもう「おおクリス!!めちゃくちゃ久しぶりだな!!また会えて嬉しいよ!!最近どんな調子なんだい!!!」という具合です。(一同笑い)

こちらに来て数ヶ月過ごし、現地の人たちと一緒に過ごし、彼らと良好な関係を構築しましょう。そうすることで、最終的にはベンチャーキャピタリストたちとのつながりにこぎ着けることもできます。彼らにトラクションを示して、市場が日本国外のグローバル市場にも広がっていることを示せば、資金調達を行うことは遥かに容易になることでしょう。こちらの人にアポを取りピッチをして1週間ほど過ごし、すぐに日本に帰ってしまうのではこちらで十分なコネクションは作れませんし、調達も難しいと思います。3ヶ月という滞在期間は非常にアグレッシブなものですが、それでも米国移民法が許可している期間内には違いありません。


Q10. 米国外から来たスタートアップのいくつかは、開発チームは自国に、CEOやビジネスパーソンは米国という体制をとっています。これは合理的でしょうか?

合理的です。ただしダウンサイドもあります。主なダウンサイドとしてはサイクルタイムです。チームが1つの場所に集まっていれば、同じ部屋で同じホワイトボードを共有して、高速でプロダクトの開発サイクルを回すことが出来ますが、離れていればそのスピードは遅くなります。ただし逆に、恐ろしいほど高い生活コストがこのベイエリアでは必要になるのも事実です。お金はスタートアップにとってはとても貴重な限りあるものですよね。なのでよくあるケースとしては開発拠点はドイツ、インド、東ヨーロッパにあったりします。シリコンバレーの人々はそれを許容します。事実として、多くの会社がオフショア開発でも素晴らしい実績を上げているからです。例えば私たちの投資先の一つであるUstreamの技術チームは、ハンガリーに拠点をおいています。ハンガリーにはライブビデオに関する優秀な技術者が多く集まっていますし、彼らの給与は米国で採用するよりもはるかに安価だからです。これら開発サイクルのスピードと、優秀な人材の獲得、維持コストとの間のトレードオフにはどうしても直面することになります。


Q11. 日本のスタートアップのアドバンテージ、ディスアドバンテージについてお聞かせください。
日本の国内マーケットの大きさは非常に大きなアドバンテージです。これは他の多くの国にはないものだからです。また日本は技術先進国としての評価を得ています。実際米国と比較しても技術力の高さでは負けていないと思います。この技術力の高さは会社が大きな成果を挙げる上で非常に強力なものです。一方で言語的な障壁はディスアドバンテージかもしれないが、英語を話すということについて考えてみると、シリコンバレーではほとんどの起業家の母国語は英語ではないので、そんなに大きな問題では無いはずです。(一同笑い)


Q12. ベイエリアで最もホットな分野はなんでしょう。

現在いくつか非常にホットな分野があります。一つはメッセージングアプリです。$19Bで買収されたWhatsapp、それに話題のYoなどもありますね。この分野について私たちがより深く追求していくかはまだ明確ではありませんが、ホットな分野であることは間違いありません。

また、ビットコインはその他の暗号通貨と同じように依然として注目を集める分野であり続けています。シリコンバレーのリバタリアンたちの支持する中央機関からの独立という概念にもフィットしますしね。暗号通貨全体として、大きな金額の送金手段になるための競争や駆け引きが現在繰り広げられています。もっとも、どれがメインの取引手段になるかはまだまだ分かりませんが。

そしてもう一つ、友人がCEOをやっているWealthfrontという会社があります。自動化アルゴリズムによる個人向け投資管理ツールを提供しています。長期での資産運用をする人が多いシリコンバレーの人々が良いポートフォリオを構築するのを支援しています。この会社 は非常に先進的な技術もさることながら、その収益モデルも秀逸で優れています。このあたりが、現在私が考えるホットな分野および会社になります。


Q13. 日本のスタートアップへの投資に関心ありますか?

もちろんです。私が最も関心があるのは米国に進出してくる日本の会社です。理由は非常にシンプルで、投資家としての私の務めは起業家を助けることだからです。米国から数万マイルも離れた所にいるスタートアップを支援することは、非常に困難なものです。

私はKenがすばらしい日本人コミュニティをここシリコンバレーで立ち上げる努力していたことにとても感銘を受けました。ここにいる日本人たちは価値あることをやろうという気概に溢れている人が多く、外部に対しても友好的なムードがあると感じています。日本人コミュニティともっと一緒に色々とやってみたいと思っています。


Q14. ベイエリアで挑戦したい日本のスタートアップに向けてメッセージをお願いします。

今や世界的に有名な会社も初めは何もないところからのスタートでした。太平洋を隔てた向こう側からではGoogleや Apple, Facebookといった企業をただただ遠い存在としてしか見ることが出来ないかもしれません。ですが、あのAppleのSteve JobsとSteve Wozniacも昔はAtariでゲームを作っていた。GoolgeのLarry PageとSergey BrinもかつてYahooに会社を5000万円で売却提案しましたが、Yahooに「その価値はない」と言って断られた。Mark Zuckerburgは大学を退学してオンラインで大学生の写真が見れるサイトを作った。物事はめまぐるしく、ものすごいスピードで変化し移り変わっていきます。

シリコンバレーは過去十年に渡り、全く無名でコネクションも評価も信用もお金もない人々が世界を変える程の大きな成功をおさめる起業家になってきた世界でも数少ない場所です。私はWhatsappの話をしばしば挙げるのですが、CEOのJan Koumは買収契約書にサインする場所として、彼がかつて暮らしたホームレス施設の外を選びました。移民として米国にやってきた彼には当時そこしか住む場所が無かったのです。それから彼は米国に来て、20年もしないうちに$7Bもの資産を手にしました。これは本当にすごいことです。もちろん、誰にでも起こることではありませんが、どのようなことでも可能なのだという教訓を引き出すことが出来ます。成功を収められないこともありますし、途中大きな重圧を感じるような局面もあるかも知れません。ですが、その道中で、それらを遥かに上回るような驚くべき量の経験、学びを得ることもまた出来るのです。

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シリコンバレーを狙う起業家へのアドバイス、Wasabi Ventures創業者Chris Yehへのインタビュー




ベイエリアの投資家へのインタビューシリーズ。今回は、Wasabi Venturesの創業者でありパートナーのChris Yeh氏にインタビューを行った。Wasabi Venturesは、シード及びアーリーステージのベンチャーキャピタルで500 FriendsやUstream等のスタートアップへ投資を行っている。Yeh氏はUstreamのCEOをはじめ、会社経営の経験を持つ投資家だ。また、2014年7月にLinkedIn創業者Reid Hoffmanと共著で『The Alliance』という書籍を出版した。

著名ベンチャーキャピタリストMatt Cohlerの事例からみるAllianceの大切さ




Q1. まずは貴著"The Alliance"についてお聞かせください。どのようにして本書のアイデアを思いついたのでしょうか?
“The Alliance"は共著者であるReid Hoffmanと私自身がこれまでこのシリコンバレーという土地で働き、人間関係を形づくる道を模索してきた経験を大いに反映しています。人生の全てを一つの会社に捧げないとしても、シリコンバレーにおいては従業員と会社が良好な関係を築けていることが多い。例えば、私が同じ会社に属していた期間で最も長かったのは6年間ですが、シリコンバレーの時間軸で測ると6年という期間は非常に長いですよね。ただ従来の雇用期間を考えると、これはとても短いとも言えます。

そこで着目したのが、たとえ従業員が会社を離れ雇用関係がなくなったとしてもアライアンスが維持されるという点です。例えば私のキャリアはD.E.ShawというNYの著名なヘッジファンドからスタートしました。時期的には一緒では無かったけれど、かつてジェフベソスも従業員の一人だったことで知られる会社です。会社を去って随分と経ちますが、未だに私はその会社に良い印象を持っていて、同社の多くの現役社員や卒業生たちと連絡を取り合っている。会社に対する強い所属感のようなものが私の中にまだ存在しているのです。そこで私は考えました。「このような感覚はどういう理由で生じるのか。どうしたらこれをもっとも的確に説明出来るだろうか。」と。

そこで、私たちはまずこの現象の適切なメタファーを検討することから始めました。アライアンスの定義について触れておくと、アライアンスとは「独立しているが、同じ関心事を持ち、協働する道を一緒に探すことのできる二者間の関係」であると考えています。このアライアンスについて押さえておくべき最も重要なことの一つが、人々は概して他人といかにして一緒に働くかということについて、ぼんやりとしか理解できていないという事実です。二者は決して対立する者同士ではないのです。とにかく全力で働く。私はこれをやる、君はこれをやる。僕はこれを手にして、君はそれを手にする。私たちはこれが新しい雇用関係の正しいあり方だと感じています。


Q2. 日本においてどのような人に本書を手に取ってもらいたいとお考えでしょうか。

様々な会社のリーダー、マネージャークラスの人たちに是非とも読んで頂きたいと思っています。私たちが本書内で指摘していることの一つに、彼らこそこの雇用関係の変化に対応して適切に舵をとるべきである、というものがあります。決して従業員たちが自分たちで「これこそ自分が働きたかった新しい仕組みだ」と気づくのを待つべきではありません。

ただこの変化は、雇用主やリーダー、マネージャーにとっては非常に受け入れるのが大変です。 なぜなら本書の中で語られていることの多くは、彼らに従業員たちが会社を遅かれ早かれ離れることを許容するよう求めているからです。私たちの理解では、彼らマネージャー職の人々は仕組みを変えなければいけないということを心の底から強く感じている。ただ、彼らはこれまでの伝統的なマネジメントに欠陥があることには気付きながらも、それに代わる方法が何であるのかを知りません。したがって本書ではその方法を具体的かつ明快に、ステップを踏んでお伝えしています。


Q3. 優れたアライアンスを実現している企業の事例についてお聞かせください。

本書で紹介している素晴らしい例の一つは、シリコンバレーの著名VCであるBenchmarkのGeneral Manager、Matt Cohlerに関するものです。彼は豊富な卒業生ネットワークを有することで有名な前職のMcKinsey&Companyを退職後、私の共著者であるReid Hoffmanのところにやってきました。彼は「私はベンチャーキャピタリストになりたい、それが私の夢なんです。そしていずれトップティアVCで General Partnerになりたいと思っています」と話しました。そして彼はどうすればVCで働くことが出来るのかと尋ねてきたのです。私たちが彼に伝えたのは次のことでした。「皮肉なことに、VCで働くことは良いVCになる上では最悪の選択だ」と。というのもVCのアソシエイトたちは起業家たちを助けられるだけのオペレーション経験を持っていないのです。全てのベンチャーキャピタリストというのは最終的にはオペレーションにおけるエグゼクティブになるので、オペレーションに携わる経験は必須とも言えます。かの有名な投資家Mark Andreessenも、VCになる以前には起業家として非常に大きな成功を収めていますよね。

そこで私たちはMattにこうアドバイスしました。「なあ、Linkedinで働いてはどうだろう。君がいずれ会社を離れることは理解している。君はベンチャーキャピタリストになりたいという夢を持っているし、うちの会社はVCではないからね。ただ君がLinkedinで働いてくれればうちにとっては大きな力になるし、うちも君にとって大きな力になることが出来る。君の夢の実現に向かって大きく前進することにもなるはずだ」 と。こうして彼は就業契約書にサインし、それから2、3年の間、Reidの右腕としてLinkedinの成長に大きく貢献しました。その後彼は別の会社からオファーをもらうことになります。Facebookです。初期のFacebookにおいて彼は重要な役割を与えられることになったのです。その時 Reidはこう言いました。私たちとしては君をLinkedinに留めておきたい。ただ君のためには、君が異なる2つの成功する会社で働く経験をするほうがベターだ、と。ReidはMattにLinkedinを離れてFacebookに行き、そこで新たな学びを得ることを勧めました。こうして2つの異なる会社での業務を経験をしたのち、MattはBenchmarkにおいてGeneral Partnerという責任あるポジションを得るに至りました。ただこれは非常に納得の出来る話です。なぜなら彼は非常に価値の高いスタートアップを2つも経験しているからです。

さて、これはアライアンスを考える上で良い例の一つでしょう。ReidはたとえMattが最終的に会社を離れることを分かっていても彼を採用し、さらには他の会社に転職することの手助けまでしたのです。僕は君にとってメリットのあることを、君は僕にとってメリットの あることをする。このような姿勢を垣間見ることが出来ます。すなわち自分の要求を満たすだけではなく、相手のニーズを考慮することが大切なのです。結果的に彼らは今日でも強い繋がりを保っていて、数カ月前には共同でスタートアップに投資したりしています。これが、今日まで続くアライアンスをよく表している一つの例と言えます。


Q4. VCとしてのキャリアを始める以前は、どのような経験をされてきたのでしょうか。

私のバックグラウンドは典型的なシリコンバレーらしいものです。南カリフォルニアで生まれ、シリコンバレーで育ち、大学はスタンフォードに入学しました。その後でプロダクトデザインエンジニアリング、クリエイティブ・ライティングを学びました。コンピューターサイエンスの勉強も勿論しました。その後は D.E.Shawで働くために東海岸に3年間移り住みました。東海岸では非常に多くのことを学びました。Harvard Business Schoolを出た後ふたたびシリコンバレーに戻り、投資業を始めたのは2005年になります。それ以前はもっぱらオペレーションサイドの仕事ばかりをしてのですが、ある時友人から投資をしてみてはどうだというアドバイスを受けました。これが始まりです。それから今に至るまで、恐らく50ほどの会社に投資を行ってきています。


Q5. スタンフォード入学の経緯についてお聞かせください。

15歳の時にスタンフォードに入学しました。誕生日が10月なのですぐに16歳にはなりましたが。2つグレードをスキップしたことになりますね。


Q6. 投資サイドのお話についてお伺いします。Wasabiと他のVCとの違いを教えてください。
私たちは基本的に手を動かすオペレーターであると思っています。そして、単にオペレーターとしての業務を遂行するだけでなく、オペレーションそのものを楽しむ姿勢を持っています。VCがオペレーションに関わることには非常に大きな価値があるのですが、例えば起業家たちのマーケティングプラン策定を腰を据えて手伝おうとするVCはなかなかいないものです。私たちは投資した会社、起業家には深くコミットしていますし、それを非常に楽しんでいます。

私たちのインキュベーションプログラムはまさにこれを体現しています。従来のインキュベーターは3ヶ月間の期間を設けて、その期間にメンター陣によるメンタリングを行うというものが多いでしょう。ですが我々は、参加者たちをプログラムが始まる前に招いて基本的なガイダンスを行い、期間中は集中的に彼らと一緒になって、第一のパートナーとして作業にあたります。外部のメンターとしてではありません。

かつて私はアドバイザーという立場で25ほどのスタートアップのメンタリングに携わっていました。この時私は起業家一人ひとりと十分な時間を一緒に過ごすことが出来ないことにフラストレーションを感じていました。私としては、少数の起業家とそれぞれより長い時間を共に過ごし、より強い関係性を築いていくことに重きをおきたいのです。こうすることで、 より深いアライアンスを作ることが出来るからです。


シリコンバレーは無名でコネクションも評価も信用もお金もない人々が世界を変える程の成功をおさめる場所



Q7. どのようにして投資に値するスタートアップを見つけているのですか。

これは非常に難しいことです。単にAngel Listを眺めていれば見つけられるというような簡単なものではないんですよね。Angel Listに名前が乗る頃には皆が知ってしまっていますから。いくつかやるべきことがあって、人々が今まさに使い始めているプロダクトを見つけることがその一つです。最近では、投資家まわりで支持を集めているProduct Huntは見ています。最新のホットなプロダクトを知ることが出来るし、誰がそのプロダクトについて言及しているかも知ることが出来て便利です。それと、 Y CombinatorのHacker Newsもチェックしています。多くのアーリーアダプターがそこに集まっているからですね。

もう一つは、沢山の起業家と話すこと、実際に会って良い関係を作ることです。起業家は他の起業家を助けることが好きなので、良い関係を築くことが出来れば彼らは別の起業家を紹介してくれるようになります。誰に投資することが最終的に素晴らしい投資実績につながるをか事前に知ることは出来ません。だからこそ、 出来る限り多くの起業家と話すことが必要になってくると考えています。私がやっていることは、出来る限り多くの起業家と話し、無料で相談に乗り、プロダクトを開発するサポートをしたりすることです。そうすることで自分たちのバリューを示し、将来的に伸びるスタートアップが私たちから投資を受けることを選んでくれるようになるのです。


Q8. トラクション、チーム、アイデアなどの中で、資金調達のために最も重要なものは何でしょうか。
全てが重要です。とりわけ何よりも重要なのは可能な限り最高のチームであることです。もしそうであれば、資金調達は比較的容易になります。ただ問題は、チームは自分一人の力ではコントロール出来ないという点です。自分は自分以上でも以下でもないからです。自分がスーパースターでなければ、他のスーパースターを自分のチームにジョインさせることもなかなか難しいことですしね。しかし自分のプロダクトが上手くいけばいつしかスーパースターとみなされるようになり、自然と良い人材が集まり良いチームが出来ていくものです。Mark Zuckerbergがハーバード大学を中退する時、それを気にする人はいなかったはずです。なぜならMarkはあのFacebookを作ったMarkだからです。他のすべて起業家にも同じことが言えると思います。

良いチームを意識的に作ることが難しい一方で、自分の力で多くのことがコントロール可能なのがトラクションサイドです。私はことあるごとに起業家たちにトラクションを作ることの重要性を説いています。トラクションはそのプロダクトが価値あるものということの証明になります。市場があること、あなたがどうやってプロダクトをグローバルでスケールさせていくかを知っていることの証明になる。トラクションさえ出来ていれば、プロダクトが優れていることを主張するまでもなく、人々を説得させ惹きつけることは非常に簡単になります。

例えば投資家たちは最初Snapchatがどんなものなのか全く分かりませんでした。「他人に自分の裸の写真を送ることができるアプリ?なんだそれは...」とね。(一同笑)ですがSnapchatには1億人のユーザーがいて、数十億枚の写真が投稿されている。なんてことだ!良く分からないけれどこれは何かすごいことが起きている、と彼らは感じずにはいられません。


Q9. 米国のVCから資金調達を受けたい日本のスタートアップが増えていますが、コネクションや言語面での障壁があります。すでに十分なトラクションのあるスタートアップもあります。彼らにアドバイスをお願いします。

ベイエリアに来て3ヶ月間ほどこちらで過ごすことです。シリコンバレーは基本的に皆オープンで、この土地の一員になることは実は簡単です。自分たちのバリューを示しさえすれば良いのです。アソシエイトのKenは、こちらに来た当初誰も知り合いがいなく、コネクションもないという状態でした。僕は彼に言いました。「シリコンバレーの人々はとてもオープンだ。君がやるべきことはたったひとつ、人々の前で自分の持っている価値を提供することだ」と。よく使うジョークを一つ。シリコンバレーで誰か新しい人に会う時は、初対面では「やあ、僕はクリス。はじめまして」「どうもはじめまして」、2回目に会うと「あれ君はクリスだよね!最近どうしてる?」 「やあ!元気だよ。そちらは?」、そして3回目にあった時にはもう「おおクリス!!めちゃくちゃ久しぶりだな!!また会えて嬉しいよ!!最近どんな調子なんだい!!!」という具合です。(一同笑い)

こちらに来て数ヶ月過ごし、現地の人たちと一緒に過ごし、彼らと良好な関係を構築しましょう。そうすることで、最終的にはベンチャーキャピタリストたちとのつながりにこぎ着けることもできます。彼らにトラクションを示して、市場が日本国外のグローバル市場にも広がっていることを示せば、資金調達を行うことは遥かに容易になることでしょう。こちらの人にアポを取りピッチをして1週間ほど過ごし、すぐに日本に帰ってしまうのではこちらで十分なコネクションは作れませんし、調達も難しいと思います。3ヶ月という滞在期間は非常にアグレッシブなものですが、それでも米国移民法が許可している期間内には違いありません。


Q10. 米国外から来たスタートアップのいくつかは、開発チームは自国に、CEOやビジネスパーソンは米国という体制をとっています。これは合理的でしょうか?

合理的です。ただしダウンサイドもあります。主なダウンサイドとしてはサイクルタイムです。チームが1つの場所に集まっていれば、同じ部屋で同じホワイトボードを共有して、高速でプロダクトの開発サイクルを回すことが出来ますが、離れていればそのスピードは遅くなります。ただし逆に、恐ろしいほど高い生活コストがこのベイエリアでは必要になるのも事実です。お金はスタートアップにとってはとても貴重な限りあるものですよね。なのでよくあるケースとしては開発拠点はドイツ、インド、東ヨーロッパにあったりします。シリコンバレーの人々はそれを許容します。事実として、多くの会社がオフショア開発でも素晴らしい実績を上げているからです。例えば私たちの投資先の一つであるUstreamの技術チームは、ハンガリーに拠点をおいています。ハンガリーにはライブビデオに関する優秀な技術者が多く集まっていますし、彼らの給与は米国で採用するよりもはるかに安価だからです。これら開発サイクルのスピードと、優秀な人材の獲得、維持コストとの間のトレードオフにはどうしても直面することになります。


Q11. 日本のスタートアップのアドバンテージ、ディスアドバンテージについてお聞かせください。
日本の国内マーケットの大きさは非常に大きなアドバンテージです。これは他の多くの国にはないものだからです。また日本は技術先進国としての評価を得ています。実際米国と比較しても技術力の高さでは負けていないと思います。この技術力の高さは会社が大きな成果を挙げる上で非常に強力なものです。一方で言語的な障壁はディスアドバンテージかもしれないが、英語を話すということについて考えてみると、シリコンバレーではほとんどの起業家の母国語は英語ではないので、そんなに大きな問題では無いはずです。(一同笑い)


Q12. ベイエリアで最もホットな分野はなんでしょう。

現在いくつか非常にホットな分野があります。一つはメッセージングアプリです。$19Bで買収されたWhatsapp、それに話題のYoなどもありますね。この分野について私たちがより深く追求していくかはまだ明確ではありませんが、ホットな分野であることは間違いありません。

また、ビットコインはその他の暗号通貨と同じように依然として注目を集める分野であり続けています。シリコンバレーのリバタリアンたちの支持する中央機関からの独立という概念にもフィットしますしね。暗号通貨全体として、大きな金額の送金手段になるための競争や駆け引きが現在繰り広げられています。もっとも、どれがメインの取引手段になるかはまだまだ分かりませんが。

そしてもう一つ、友人がCEOをやっているWealthfrontという会社があります。自動化アルゴリズムによる個人向け投資管理ツールを提供しています。長期での資産運用をする人が多いシリコンバレーの人々が良いポートフォリオを構築するのを支援しています。この会社 は非常に先進的な技術もさることながら、その収益モデルも秀逸で優れています。このあたりが、現在私が考えるホットな分野および会社になります。


Q13. 日本のスタートアップへの投資に関心ありますか?

もちろんです。私が最も関心があるのは米国に進出してくる日本の会社です。理由は非常にシンプルで、投資家としての私の務めは起業家を助けることだからです。米国から数万マイルも離れた所にいるスタートアップを支援することは、非常に困難なものです。

私はKenがすばらしい日本人コミュニティをここシリコンバレーで立ち上げる努力していたことにとても感銘を受けました。ここにいる日本人たちは価値あることをやろうという気概に溢れている人が多く、外部に対しても友好的なムードがあると感じています。日本人コミュニティともっと一緒に色々とやってみたいと思っています。


Q14. ベイエリアで挑戦したい日本のスタートアップに向けてメッセージをお願いします。

今や世界的に有名な会社も初めは何もないところからのスタートでした。太平洋を隔てた向こう側からではGoogleや Apple, Facebookといった企業をただただ遠い存在としてしか見ることが出来ないかもしれません。ですが、あのAppleのSteve JobsとSteve Wozniacも昔はAtariでゲームを作っていた。GoolgeのLarry PageとSergey BrinもかつてYahooに会社を5000万円で売却提案しましたが、Yahooに「その価値はない」と言って断られた。Mark Zuckerburgは大学を退学してオンラインで大学生の写真が見れるサイトを作った。物事はめまぐるしく、ものすごいスピードで変化し移り変わっていきます。

シリコンバレーは過去十年に渡り、全く無名でコネクションも評価も信用もお金もない人々が世界を変える程の大きな成功をおさめる起業家になってきた世界でも数少ない場所です。私はWhatsappの話をしばしば挙げるのですが、CEOのJan Koumは買収契約書にサインする場所として、彼がかつて暮らしたホームレス施設の外を選びました。移民として米国にやってきた彼には当時そこしか住む場所が無かったのです。それから彼は米国に来て、20年もしないうちに$7Bもの資産を手にしました。これは本当にすごいことです。もちろん、誰にでも起こることではありませんが、どのようなことでも可能なのだという教訓を引き出すことが出来ます。成功を収められないこともありますし、途中大きな重圧を感じるような局面もあるかも知れません。ですが、その道中で、それらを遥かに上回るような驚くべき量の経験、学びを得ることもまた出来るのです。

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