『1000億円で会社は売らない』数千億円企業を目指すKamcordが日本オフィスを設立、創業者Aditya Rathnamへのショートインタビュー



2014年8月、AmazonがGoogleに競り勝ち、Twitch(ゲームプレイ動画の共有プラットフォーム)を$970Mで買収したことは記憶に新しい。TwitchがPCでプレイするゲームの配信に特化している一方、モバイルのゲームに特化しているのがKamcordだ。2012年6月にローンチされて以降、2500万を超えるビデオがKamcord上でシェアされているという。また、2014年9月では130万人のゲーマーがアクティブにビデオをシェアしている。このように、急速に成長しているKamcordは日本市場を米国に次ぐ、重要な市場だと捉えており、2014年10月30日にAki Kuboshima氏を代表として日本オフィスの設立を発表した。この発表に伴い、創業者のAditya Rathnam氏にショートインタビューを行い、日本展開の戦略や$1Bを超える買収の可能性などについて伺ってきた。

1000億円で会社は売らない、数千億円規模の企業を目指す



Q:まず日本展開の戦略について聞かせてください。
我々は日本オフィスの設立前から日本の市場へ幾度とアプローチをしてきました。実際に私自身も去年の12月にIVS(日本のテック系企業のカンファレンス)に足を運びました。そこで多くのゲームディベロッパーと出会い、Kamcordに興味を持ってもらうことに成功したのです。そして、その過程で驚くことがありました。当初、我々は日本に進出する際、ディベロッパーに2つのことを理解してもらう必要があると考えていました。1つ目は、なぜ人々はゲームを録画して共有するのか。2つ目は、なぜKamcordがベストなソリューションなのか。という2点です。

しかし、実際にディベロッパーと話してみると1つ目の課題は無駄な心配であったことに気付かされたのです。彼らは既にゲーマーがなぜゲームを録画して共有するのか、またその可能性について理解していたのです。後はなぜKamcordがベストなソリューションなのかを伝えるということに注力するだけという、我々にとってとても魅力的な市場でした。その後、CEOのMattとビジデブの人間が基本的に2ヶ月毎に日本に行き、ディベロッパーの獲得に尽力した結果、現在ではGREEやDeNA、gumi、コロプラ、セガ、ファイナルファンタジーのクリエイターが開発しているテラバトルなどのディベロッパーに導入していただいています。このように、日本でのビジネスに手応えを感じたため、日本にオフィスを開設することに決めたのです。

日本にオフィスを構えた理由は、日本は商習慣が米国とまったく異なっていると考えているからです。基本的には対面でのミーティングを求められますし、日本語での丁寧なメールも大切です。なにより、日本語でコミュニケーションを求められるため、日本に人間を置くことは日本展開において必須の条件でした。我々は長い間、日本のオフィスを任せるにあたり最高の人材を探し続け、ついにAki Kuboshimaという適任者を見つけるに至ったのです。彼女は日本オフィスで採用する1人目の人間ですが、我々はすぐに2人目としてテクニカルサポートのできるエンジニアの採用を考えています。ゲーム会社がKamcordを導入するにあたり、そのサポートをするエンジニアです。我々は、更に快適にKamcordを日本のディベロッパーに利用してもらうために注力していきます。今後の日本展開がとても楽しみです。


Q:日本のトラクションについて聞かせてください。

今に至るまでディベロッパーの獲得に注力してきました。まずは、配信されるゲームを確保した後にユーザー側の獲得に注力していくという計画です。なぜならオーディエンスから獲得するということは不可能ですから。ディベロッパーについては、先述したような企業が導入してくれていています。オーディエンスは世界中から流入があり、3分の1が米国、3分の1がアジア、残りの3分の1がその他の国からきています。我々はアジアの中でも特に日本に重点を置いており、今後はコミュニティマネージャーを採用し、英語のコンテンツを日本人でも楽しんでもらえるような仕掛を実施していく予定です。


Q:Aki Kuboshima氏を日本オフィスの代表として採用した理由は何ですか。

いくつかの理由があります。第一に、彼女は最高だということ(笑)。また、彼女はゲーム会社での勤務経験がありその分野を理解しているということに加え、USの企業で日本進出に関する仕事や、日本企業のUS拠点での勤務経歴があり、日米両方のカルチャーを理解していることが大きな理由です。加えて、最近ではniconicoやカヤックのLobi、CyberZのOPENRECなどの競合となるプロダクトが出現してきているのですが、彼女は一切それらの競合に臆することなく『No Problemだ』と言い切ったことがとても印象的でした。

Q:今までにDeNAやKLabといった日本の企業から資金を調達していますが、今後も日本の企業やVCから資金調達を行う計画はありますか。
可能性はあります。現在は資金調達を計画はしていないのですが、我々はDeNAやKLab、デジタルガレージといった日本の企業やエンジェル投資家との仕事をとても楽しんでいます。もし次のラウンドを調達する時がきたら、日本の投資家を受け入れるかもしれません。


Q:AmazonがTwitchを$1B(約1000億円)近い値段で買収しました。このニュースに関してどうお考えですか。
とても素晴らしいニュースだと思います。なぜかというと、このニュースが発表される前までほとんどの人々はゲームの動画共有がここまで大きな市場だと気付いていませんでした。しかし、Twitchが$1B近い価値があると知った瞬間、人々はこの領域の可能性に気付いたのです。また、PCよりもモバイルでゲームをプレイする数の方が多いことは明らかです。今回の買収は、我々の事業にとって追い風となるでしょう。


Q:GoogleはTwitchを買収することに失敗したわけですが、その後GoogleからKamcordを買収したいという話は来ましたか。
ノーコメントでお願いします(笑)。現在、我々は会社を売却しようとは考えていません。可能な限りKamcordを世界の人々に届けていけるよう尽力しています。ただそのことだけに集中していくのみです。


Q:仮に会社を売却するとして、いくらなら会社を売りますか。

難しい質問ですね(笑)。前述したようにモバイルゲームはPCゲームよりも大きなマーケットです。Twitchが成し遂げた仕事はとても素晴らしいものですが、我々が$1Bで会社を売ってくれと言われたら、Noと答えるでしょう。現在1億人がPCでゲームをプレイしている一方、10億人もの人がモバイルでゲームをプレイしています。Twitchでは毎月100万人がゲームを配信しているのですが、Kamcordではその数字が130万人を超えました。既にTwitchよりも多くの人々がKamcordでコンテンツを生み出しているのです。このような数字から、我々はTwitch以上の可能性を秘めていると考えいます。質問の答えとしては、我々はマルチビリオンカンパニー(数千億円規模の会社)になることを目標にします。


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『1000億円で会社は売らない』数千億円企業を目指すKamcordが日本オフィスを設立、創業者Aditya Rathnamへのショートインタビュー



2014年8月、AmazonがGoogleに競り勝ち、Twitch(ゲームプレイ動画の共有プラットフォーム)を$970Mで買収したことは記憶に新しい。TwitchがPCでプレイするゲームの配信に特化している一方、モバイルのゲームに特化しているのがKamcordだ。2012年6月にローンチされて以降、2500万を超えるビデオがKamcord上でシェアされているという。また、2014年9月では130万人のゲーマーがアクティブにビデオをシェアしている。このように、急速に成長しているKamcordは日本市場を米国に次ぐ、重要な市場だと捉えており、2014年10月30日にAki Kuboshima氏を代表として日本オフィスの設立を発表した。この発表に伴い、創業者のAditya Rathnam氏にショートインタビューを行い、日本展開の戦略や$1Bを超える買収の可能性などについて伺ってきた。

1000億円で会社は売らない、数千億円規模の企業を目指す



Q:まず日本展開の戦略について聞かせてください。
我々は日本オフィスの設立前から日本の市場へ幾度とアプローチをしてきました。実際に私自身も去年の12月にIVS(日本のテック系企業のカンファレンス)に足を運びました。そこで多くのゲームディベロッパーと出会い、Kamcordに興味を持ってもらうことに成功したのです。そして、その過程で驚くことがありました。当初、我々は日本に進出する際、ディベロッパーに2つのことを理解してもらう必要があると考えていました。1つ目は、なぜ人々はゲームを録画して共有するのか。2つ目は、なぜKamcordがベストなソリューションなのか。という2点です。

しかし、実際にディベロッパーと話してみると1つ目の課題は無駄な心配であったことに気付かされたのです。彼らは既にゲーマーがなぜゲームを録画して共有するのか、またその可能性について理解していたのです。後はなぜKamcordがベストなソリューションなのかを伝えるということに注力するだけという、我々にとってとても魅力的な市場でした。その後、CEOのMattとビジデブの人間が基本的に2ヶ月毎に日本に行き、ディベロッパーの獲得に尽力した結果、現在ではGREEやDeNA、gumi、コロプラ、セガ、ファイナルファンタジーのクリエイターが開発しているテラバトルなどのディベロッパーに導入していただいています。このように、日本でのビジネスに手応えを感じたため、日本にオフィスを開設することに決めたのです。

日本にオフィスを構えた理由は、日本は商習慣が米国とまったく異なっていると考えているからです。基本的には対面でのミーティングを求められますし、日本語での丁寧なメールも大切です。なにより、日本語でコミュニケーションを求められるため、日本に人間を置くことは日本展開において必須の条件でした。我々は長い間、日本のオフィスを任せるにあたり最高の人材を探し続け、ついにAki Kuboshimaという適任者を見つけるに至ったのです。彼女は日本オフィスで採用する1人目の人間ですが、我々はすぐに2人目としてテクニカルサポートのできるエンジニアの採用を考えています。ゲーム会社がKamcordを導入するにあたり、そのサポートをするエンジニアです。我々は、更に快適にKamcordを日本のディベロッパーに利用してもらうために注力していきます。今後の日本展開がとても楽しみです。


Q:日本のトラクションについて聞かせてください。

今に至るまでディベロッパーの獲得に注力してきました。まずは、配信されるゲームを確保した後にユーザー側の獲得に注力していくという計画です。なぜならオーディエンスから獲得するということは不可能ですから。ディベロッパーについては、先述したような企業が導入してくれていています。オーディエンスは世界中から流入があり、3分の1が米国、3分の1がアジア、残りの3分の1がその他の国からきています。我々はアジアの中でも特に日本に重点を置いており、今後はコミュニティマネージャーを採用し、英語のコンテンツを日本人でも楽しんでもらえるような仕掛を実施していく予定です。


Q:Aki Kuboshima氏を日本オフィスの代表として採用した理由は何ですか。

いくつかの理由があります。第一に、彼女は最高だということ(笑)。また、彼女はゲーム会社での勤務経験がありその分野を理解しているということに加え、USの企業で日本進出に関する仕事や、日本企業のUS拠点での勤務経歴があり、日米両方のカルチャーを理解していることが大きな理由です。加えて、最近ではniconicoやカヤックのLobi、CyberZのOPENRECなどの競合となるプロダクトが出現してきているのですが、彼女は一切それらの競合に臆することなく『No Problemだ』と言い切ったことがとても印象的でした。

Q:今までにDeNAやKLabといった日本の企業から資金を調達していますが、今後も日本の企業やVCから資金調達を行う計画はありますか。
可能性はあります。現在は資金調達を計画はしていないのですが、我々はDeNAやKLab、デジタルガレージといった日本の企業やエンジェル投資家との仕事をとても楽しんでいます。もし次のラウンドを調達する時がきたら、日本の投資家を受け入れるかもしれません。


Q:AmazonがTwitchを$1B(約1000億円)近い値段で買収しました。このニュースに関してどうお考えですか。
とても素晴らしいニュースだと思います。なぜかというと、このニュースが発表される前までほとんどの人々はゲームの動画共有がここまで大きな市場だと気付いていませんでした。しかし、Twitchが$1B近い価値があると知った瞬間、人々はこの領域の可能性に気付いたのです。また、PCよりもモバイルでゲームをプレイする数の方が多いことは明らかです。今回の買収は、我々の事業にとって追い風となるでしょう。


Q:GoogleはTwitchを買収することに失敗したわけですが、その後GoogleからKamcordを買収したいという話は来ましたか。
ノーコメントでお願いします(笑)。現在、我々は会社を売却しようとは考えていません。可能な限りKamcordを世界の人々に届けていけるよう尽力しています。ただそのことだけに集中していくのみです。


Q:仮に会社を売却するとして、いくらなら会社を売りますか。

難しい質問ですね(笑)。前述したようにモバイルゲームはPCゲームよりも大きなマーケットです。Twitchが成し遂げた仕事はとても素晴らしいものですが、我々が$1Bで会社を売ってくれと言われたら、Noと答えるでしょう。現在1億人がPCでゲームをプレイしている一方、10億人もの人がモバイルでゲームをプレイしています。Twitchでは毎月100万人がゲームを配信しているのですが、Kamcordではその数字が130万人を超えました。既にTwitchよりも多くの人々がKamcordでコンテンツを生み出しているのです。このような数字から、我々はTwitch以上の可能性を秘めていると考えいます。質問の答えとしては、我々はマルチビリオンカンパニー(数千億円規模の会社)になることを目標にします。


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