ベイエリアの起業家インタビューシリーズ。今回はYoの共同創業者兼CEOのOr Arbel氏にインタビューを行った。Yoは相手にYoというシンプルな通知が送れるだけの通知コミュニケーションサービスである。また、YoはAPIを公開しており、Yoのシステムを活用した新たなユースケースをサードパーティが構築できるようになっている。例えば、Yoを送信すると家の電気のスイッチをオン・オフできるような仕組みを構築できる。Yoはこれまでに、著名VCであるSlow Venturesやbetaworksなどからの資金調達に成功している。
コンシューマ・ビジネス向けの両面で使える通知コミュニケーションへ
Q1. まずYoの説明をお願い致します。
一言で言えば、Yoは最もシンプルな通知コミュニケーションプラットフォームです。仕組みとしては、アプリを開き、友人などにYoという通知を送ることができるという、とてもシンプルなものになっています。友人や家族間のコミュニケーション、スポーツをしていて得点が入った時の通知、TV番組が始まる時やニュースサイトが更新された時の通知など、使い方は様々。
また、Yo APIというのも用意していて、主に企業側が社員向け及び顧客向けの通知機能としてYoを使えたりします。例えば、ピザ会社がYo APIを使った場合、ピザが届いたらお客にYoを使って通知することも出来ます。このようにコンシューマのみならずビジネス向けにも使えるのがYoです。
Q2. ビジネス以外のシーンではどのようなケースが考えられるのでしょうか。
例えばワールドカップで、どこかのチームがゴールを決めた時にYoを使って知らせ合うというケースがありました。
Q3. 現在のユーザー数はどのくらいなのでしょうか。
ダウンロード数で言えば300万ダウンロードを獲得しました。実際にアプリを開き、Yoを送っているアクティブユーザーは100万と言ったところです。
Q4. どのようにしてユーザー獲得したのでしょうか。
立ち上げ期はメディアや口コミです。その後、TechCrunchなどの他のサービスと連携の効果でさらにユーザーが流れ込みました。
Q5. Yoのこれからの可能性はどこにあるとお考えですか。
ロケーションの通知機能として使えると考えています。アプリでは実装されていませんが、Yo APIを使えば企業側はロケーション通知も可能になります。このように、使い方は様々なので、Yoというコミュニケーションプラットフォームはこれからもいろいろな可能性を持つでしょう。
Q6. これからもコンシューマ向けと併せてビジネス向けにも注力していくのでしょうか。
そのように考えています。これからも企業側がYoを利用するという実績を残して、認知させていこうと思っています。具体的には、フードトラック業者と提携してお客に商品が届けば知らせるということをしようと思っています。
また、すでにWebサービスを自動連携してくれるIFTTTと提携して、例えば電話が来たらYoの通知を送ったり、TwitterとYoを連携できたりします。このような企業との提携実績を積み重ねていく予定です。
Q7. マネタイズはどうしているのでしょうか。
現在はユーザー獲得に注力して、将来的にビジネスシーンでの利用が増えてきてからマネタイズをする予定です。
Q8. Yoのアイデアはどのようにして思い浮かばれたのでしょうか。
当初のアイデアは今の共同創業者からでした。その時はシンプルにワンクリックで通知が出来るようなサービスを作りたいという考えでしたね。アイデアを伝えられた頃、ちょうど友人からテキストでYoと頻繁にやり取りしていたことに気付き、それを使って現在のアイデアに至りました。
Q9. 当時はビジネスになるとお考えでしたか。
共同創業者は考えていませんでしたが、私はこれは将来的にコミュニケーションプラットフォームになると感じていましたので、ビジネスになり得る可能性を感じていました。
Q10. 改めてこれまでのご経歴を簡単にご紹介願います。
イスラエルでアプリ開発を中心にコンピュータ・サイエンスを勉強していました。そしてiOS開発チームの一員としてスタートアップに参加しており、そこで現在の共同創業者に出会いました。その後、Stox.comというスタートアップを創業し、10カ月経営してから新たにYoを今年5月に創業。6月にサンフランシスコに移住してから現在に至ります。
Q11. ビジネスモデルに関しての質問に戻ります。競合はいるとお考えですか。
私達は最もシンプルなコミュニケーションプラットフォームを作っています。その意味では直接市場を取り合うような競合はいないと考えています。
Q12. それではFacebookのポーク機能との違いは何でしょうか。
Facebookのポーク機能は友人間で行うものです。ですが、例えばTechCrunchの記事が更新された時に自動でFacebookはポークしてくれません。このように企業側との連携ができないのが大きな違いと考えています。
Q13. これまでYoは著名投資家から投資を受けていますが、どのように出会われたのでしょうか。
ヨーロッパにいる投資家はYoを始める前から知っていました。また、例えばSlow VenturesはYo APIをリリースした後、私達の持つコミュニケーションプラットフォームのアイデアを理解してくれて投資してくれましたね。他の投資家はメディアを見てコンタクトしてきたケースが多いです。
Q14. たくさんの投資オファーを受けたと思うのですが、どのように投資家を選ばれたのでしょうか。
投資金額以上の価値を私達に与えてくれるかを見ます。例えば、APIやプロダクト開発などそれぞれのトピックに関して意見、フィードバックをくれる投資家であるかを重点的に見ます。
Q15. 日本人投資家からの資金調達にはご興味ありますか。
興味はもちろんあります。またすでに中国人投資家からの資金調達をしていますし、来年度中国にもオフィスを構える予定です。そのため、アジア圏でサービス拡大するためにも日本人投資家とはこれからつながっていきたいです。
Q16. どこの国のユーザー数が一番大きいのでしょうか。
アメリカ市場がユーザー数の40%を占めています。それ以外ではフランス、スペイン、中国や日本などにユーザーがいます。
Q17. これからアジア市場に注力していく予定はありますか。
中国オフィスを開いたらよりアジア市場開拓に注力していこうと思っています。
Q18. 中国市場向けにローカライズは済んでいるのでしょうか。
現在、中国語にローカライズをしている状態です。
Q19. Yoを作るまでに難しかったことはなんだったのでしょうか。
1つにサンフランシスコでチーム、特にエンジニアを集めるのがとても難しかったです。2つ目に、私達の目指しているコミュニケーションプラットフォームの構想を認知させるのが難しかったですね。2つ目に関してはこれからも課題の1つでしょう。
Q20. Yoのデザインはどのような考えから来ているのでしょうか。
始めから出来るだけシンプルな通知サービスを作ろうと考えていたのが原点です。ちなみに自分でシンプルなデザインの作り方を勉強しつつ作り上げました。
Q21. これまでに買収の提案などはありましたか。
ノーコメントでお願いします。
Q22. 最後の質問です。これからYoはどうなっていくと思われますか。
これからもシンプルな通知コミュニケーションプラットフォームとしてより成長し、確固たるものになると思っています。
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