世界中のビザ申請・リロケーション管理を簡単にする、Teleborder - 創業者James Richards氏へのインタビュー



ベイエリアの起業家インタビューシリーズ。今回はTeleborderの創業者のJames Richards氏にインタビューを行った。Teleborderは、クラウドベースで従業員のビザ申請やリロケーション手続の管理や請け負いを行っているサービスである。クライアントは必要な資料をダッシュボードに提出するだけで、従業員のビザ申請やリロケーションに関する煩雑な手続きを管理、代行してもらうことができる。また、各ビザに関する専門家を雇っているため、サービスの質は担保されているが、直接弁護士を雇うより安価でサービスを提供している。Teleborderはこれまでに、Khosla VenturesやEast Ventures、SV Frontierなどからの資金調達に成功しており、リクルートホールディングスからも出資を受けている。


従業員のビザ申請やリロケーション管理をクラウドベースで簡単に



Q1. 最初に、Teleborderの説明からお願い致します。
Teleborderは、全ての企業が世界中から従業員を雇えるように、クラウドベースでビザ申請やリロケーション、税金に関するサポートをするサービスです。従来、企業は海外からではなく自国から従業員を採用するのが一般的でした。しかしその時代は終わりに近づいています。現に、サンフランシスコに拠点を置くテック企業の従業員の10-15%は海外にいます。しかし、ビザの申請が海外から人材を雇う際の課題となっているのが現状です。

そこでビザ申請やリロケーションに関わる全ての手続きをクラウドベースで簡単に行えるようにしました。また、専用ページにあるダッシュボードに手続きに必要な資料をアップしてもらえるだけで、迅速に手続きを進められます。これによって、実際に弁護士を雇う必要もなく、クラウドを通じて各種ビザに関する専門家からサービスを受けられるようになります。そして資金のないスタートアップなどの中小規模の規模が海外から優秀な人材を採用することを可能にします。


Q2. どの規模の企業がTeleborderを使うのに最適なのでしょうか。
前述の通りスタートアップに適しているサービスだと考えています。ちなみに顧客の中で最も小さい規模の企業は2人で、最大規模は600人。そのため、1,000人以下の企業にとっては適しているサービスだと言えるでしょう。


Q3. Teleborderの特徴はなんだと思われますか。
煩わしい手続きのほとんどを請け負うという点だと考えています。よくあるのが、ビザ申請のプロセスを可視化してやりやすくしたりするサービスですが、どのタスクをやるべきかなんて一覧で出されても、皆さん嫌がるだけですよね? ほとんどの方はプロセスでなく、ビザが最終的に取れたのかどうかという結果だけに興味があります。Teleborderは資料確認などのストレスとなる手続きのほとんどを請負い、最小限のプロセスだけを顧客にやっていただき、ビザの取得という最高の結果をお届けするサービスです。


Q4. 顧客数はどのくらいあるのでしょうか。
約50の企業を顧客に持ち、140の駐在員の方のビザ申請を請け負いました。


Q5. どのようにして顧客獲得にこぎつけたのでしょうか。
口コミと自分達のネットワークを使って見つけました。その点、信頼の高いYコンビネーター(以下YC)からの資金調達ニュースは非常に助かりました。それにより、今までTeleborderを知らなかった企業からコンタクトが来ましたし、今の顧客ベースにつながりました。ちなみに顧客の多くがここサンフランシスコに拠点を構える企業なので、スタートアップからスタートアップ同士へ口コミが自然と広まったのもプラスに作用しました。


Q6. 最初の顧客はどのようにして獲得したのでしょうか。
最初の顧客はYC出身の会社でした。当初、YC出身の会社にメールを片っ端からして、ビザに関して問題を抱えていないか聞きました。そのメールの反響がよかったのです。多くの企業から問い合わせを頂き、その内の1社にまず利用してもらった形です。


Q7. アメリカ国外に顧客はいるのでしょうか。
現在はアメリカ国内にフォーカスしています。ですが、例えば日本市場にも目を向けており、日本の投資家からも出資を受けています。これから顧客になるであろう企業は、日本にも数多くいると考えています。


Q8. 日本を含め、国外に進出予定という認識でよろしいですか。
もちろんです。世界各国でビザ事情は異なります。しかし世界180ヶ国それぞれのビザ申請に対して180のビザサービスがあるべきではないと考えています。そのため、私達は世界展開をし、全てのビザ申請をTeleborderに依頼すれば最高の結果を届けられる、そんなプラットフォームにしたいと考えています。


Q9. アメリカ国内ではサンフランシスコにどの程度顧客がいるのでしょうか。
80%がサンフランシスコのベイエリアから。残りの20%は他の地域からです。


Q10. 何種類のビザに対応しているのでしょうか。
全てのビザに対応しています。


Q11. 競合はいるのでしょうか。
「企業としての競合」はいません。しかしコスト面という意味では競っていますね。例えば、資金のある大企業は簡単にビザ申請に関する専門家を雇ってしまうので、Teleborderを利用しないでしょう。そのため、ビザ申請コストをまかなえるほどの資金力がある企業からは利用してもらえないという現状こそが「競合」と言えるかもしれません。


Q12. 弁護士などを含めた専門家は何人雇っているのでしょうか。
15人の専門家を雇っています。ちなみにビザ申請の問い合わせがあったときのみ働いてもらうので、費用は固定費ではなく変動費になっています。


Q13. 価格に関しての説明をお願い致します。
各ビザによって価格は違ってきます。ですが、平均価格で言うと弁護士を雇うより40 - 50%安い価格に成っています。


Q14. どのようにしてTeleborderのアイデアを思いついたのでしょうか。
もともとは私も国外居住者でした。オーストラリアに生まれ、すぐにインドネシアに移住しました。そのため、母国で生活しかことがほとんどないのです。友人も同じような境遇の人が多く、私も含めこのような国外居住者達は、ビザや税金に対して大きな問題を抱えます。この問題を解決したいという考えが今に至っています。


Q15. YCに入られていた時に感じた、最も魅力的なことはなんだったのでしょうか。
会社には良い時期と悪い時期の両方が必ず訪れます。良い時期にはもっと顧客を獲得しようとしたり、資金調達をしようとします。一方で悪い時期にはアドバイスを欲したり、支えてくれる友人を探したりします。その点でYCの魅力は、良い時期と悪い時期の両方に対応できる点です。YCにいれば、良い時期にはすぐに資金調達できますし、悪い時期には素晴らしいパートナーの方からアドバイスをもらえたり、同じバッチの創業者が支えになってくれます。


Q16. どのアドバイスが最も役立ったのでしょうか。
スケールをするな、というアドバイスが役立ちました。つまり顧客が本当に欲しいと思うものがしっかりと完成するまでスケールするなというアドバイスです。


Q17. YCに入る秘訣はあるのでしょうか。
2つあります。1つはシンプルであること。例えば、100枚の応募書類があったとすると、十中八九、最高のアイデアはシンプルにかつ簡潔にまとめてあります。空白がたとえ多くあっても簡潔なものが採用されるでしょう。長い文章を書かなければ説明できないようなサービスは、恐らく解決策を知らないものでしょう。

2つ目はチーム。そして具体的に2つのタイプの人を雇うことです。1つは、自分達のやっているサービスにおける専門家を雇うこと。Teleborderの場合、ビザに関しての知見を持つ人を雇うことになります。そしてもう1つは、チーム全員が、自分達の解決しようとしている問題を経験していること。実際、Teleborderの従業員は全員がビザ申請などに関して何らかの問題を経験しています。


Q18. 著名VCから投資を受けていますが、何か大きなメリットはあったのでしょうか。
2つ大きなメリットがありました。1つはブランド。著名VCからの資金調達のニュースは大きく報道されますし、信頼度も上がります。2つ目は、コネクション。VCの方から顧客候補を紹介してくれる場合もあり、非常に助かっています。


Q19. Teleborderというサービスを確立するまでに大変だったことはなんだったのでしょうか。
戦略が定まらない、答えが見つからない時期が最も大変でした。私がいつもこの大変な時期を例えているのは蚊です。蚊は守りを持たず、動物に針を刺すという、言わば攻撃するという特徴しか持ちません。そしてずっと飛び回って着地点を探しまわっています。スタートアップも同じです。守ることを知らず、着地点がなかなか見つからずとも飛び回り続けなければ会社が倒れてしまいます。Teleborderも同様に、戦略が定まらず、必死に操業していた時期がありました。


Q20. これからTeleborderはどうなると思いますか。何かビジョンなどはおありでしょうか。
ビザ問題を解決し、世界中の労働者をつなげるプラットフォームになることがビジョンです。日本から東南アジア、東南アジアから北米、北米からヨーロッパに勤務地を変えたとしてもスムーズにビザ申請を行えるようにすることがこれからのTeleborderの目標です。また、雇用者側も、ストレス無く世界中から優秀な人材を雇用することを可能にするサービスになることを目指しています。


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世界中のビザ申請・リロケーション管理を簡単にする、Teleborder - 創業者James Richards氏へのインタビュー



ベイエリアの起業家インタビューシリーズ。今回はTeleborderの創業者のJames Richards氏にインタビューを行った。Teleborderは、クラウドベースで従業員のビザ申請やリロケーション手続の管理や請け負いを行っているサービスである。クライアントは必要な資料をダッシュボードに提出するだけで、従業員のビザ申請やリロケーションに関する煩雑な手続きを管理、代行してもらうことができる。また、各ビザに関する専門家を雇っているため、サービスの質は担保されているが、直接弁護士を雇うより安価でサービスを提供している。Teleborderはこれまでに、Khosla VenturesやEast Ventures、SV Frontierなどからの資金調達に成功しており、リクルートホールディングスからも出資を受けている。


従業員のビザ申請やリロケーション管理をクラウドベースで簡単に



Q1. 最初に、Teleborderの説明からお願い致します。
Teleborderは、全ての企業が世界中から従業員を雇えるように、クラウドベースでビザ申請やリロケーション、税金に関するサポートをするサービスです。従来、企業は海外からではなく自国から従業員を採用するのが一般的でした。しかしその時代は終わりに近づいています。現に、サンフランシスコに拠点を置くテック企業の従業員の10-15%は海外にいます。しかし、ビザの申請が海外から人材を雇う際の課題となっているのが現状です。

そこでビザ申請やリロケーションに関わる全ての手続きをクラウドベースで簡単に行えるようにしました。また、専用ページにあるダッシュボードに手続きに必要な資料をアップしてもらえるだけで、迅速に手続きを進められます。これによって、実際に弁護士を雇う必要もなく、クラウドを通じて各種ビザに関する専門家からサービスを受けられるようになります。そして資金のないスタートアップなどの中小規模の規模が海外から優秀な人材を採用することを可能にします。


Q2. どの規模の企業がTeleborderを使うのに最適なのでしょうか。
前述の通りスタートアップに適しているサービスだと考えています。ちなみに顧客の中で最も小さい規模の企業は2人で、最大規模は600人。そのため、1,000人以下の企業にとっては適しているサービスだと言えるでしょう。


Q3. Teleborderの特徴はなんだと思われますか。
煩わしい手続きのほとんどを請け負うという点だと考えています。よくあるのが、ビザ申請のプロセスを可視化してやりやすくしたりするサービスですが、どのタスクをやるべきかなんて一覧で出されても、皆さん嫌がるだけですよね? ほとんどの方はプロセスでなく、ビザが最終的に取れたのかどうかという結果だけに興味があります。Teleborderは資料確認などのストレスとなる手続きのほとんどを請負い、最小限のプロセスだけを顧客にやっていただき、ビザの取得という最高の結果をお届けするサービスです。


Q4. 顧客数はどのくらいあるのでしょうか。
約50の企業を顧客に持ち、140の駐在員の方のビザ申請を請け負いました。


Q5. どのようにして顧客獲得にこぎつけたのでしょうか。
口コミと自分達のネットワークを使って見つけました。その点、信頼の高いYコンビネーター(以下YC)からの資金調達ニュースは非常に助かりました。それにより、今までTeleborderを知らなかった企業からコンタクトが来ましたし、今の顧客ベースにつながりました。ちなみに顧客の多くがここサンフランシスコに拠点を構える企業なので、スタートアップからスタートアップ同士へ口コミが自然と広まったのもプラスに作用しました。


Q6. 最初の顧客はどのようにして獲得したのでしょうか。
最初の顧客はYC出身の会社でした。当初、YC出身の会社にメールを片っ端からして、ビザに関して問題を抱えていないか聞きました。そのメールの反響がよかったのです。多くの企業から問い合わせを頂き、その内の1社にまず利用してもらった形です。


Q7. アメリカ国外に顧客はいるのでしょうか。
現在はアメリカ国内にフォーカスしています。ですが、例えば日本市場にも目を向けており、日本の投資家からも出資を受けています。これから顧客になるであろう企業は、日本にも数多くいると考えています。


Q8. 日本を含め、国外に進出予定という認識でよろしいですか。
もちろんです。世界各国でビザ事情は異なります。しかし世界180ヶ国それぞれのビザ申請に対して180のビザサービスがあるべきではないと考えています。そのため、私達は世界展開をし、全てのビザ申請をTeleborderに依頼すれば最高の結果を届けられる、そんなプラットフォームにしたいと考えています。


Q9. アメリカ国内ではサンフランシスコにどの程度顧客がいるのでしょうか。
80%がサンフランシスコのベイエリアから。残りの20%は他の地域からです。


Q10. 何種類のビザに対応しているのでしょうか。
全てのビザに対応しています。


Q11. 競合はいるのでしょうか。
「企業としての競合」はいません。しかしコスト面という意味では競っていますね。例えば、資金のある大企業は簡単にビザ申請に関する専門家を雇ってしまうので、Teleborderを利用しないでしょう。そのため、ビザ申請コストをまかなえるほどの資金力がある企業からは利用してもらえないという現状こそが「競合」と言えるかもしれません。


Q12. 弁護士などを含めた専門家は何人雇っているのでしょうか。
15人の専門家を雇っています。ちなみにビザ申請の問い合わせがあったときのみ働いてもらうので、費用は固定費ではなく変動費になっています。


Q13. 価格に関しての説明をお願い致します。
各ビザによって価格は違ってきます。ですが、平均価格で言うと弁護士を雇うより40 - 50%安い価格に成っています。


Q14. どのようにしてTeleborderのアイデアを思いついたのでしょうか。
もともとは私も国外居住者でした。オーストラリアに生まれ、すぐにインドネシアに移住しました。そのため、母国で生活しかことがほとんどないのです。友人も同じような境遇の人が多く、私も含めこのような国外居住者達は、ビザや税金に対して大きな問題を抱えます。この問題を解決したいという考えが今に至っています。


Q15. YCに入られていた時に感じた、最も魅力的なことはなんだったのでしょうか。
会社には良い時期と悪い時期の両方が必ず訪れます。良い時期にはもっと顧客を獲得しようとしたり、資金調達をしようとします。一方で悪い時期にはアドバイスを欲したり、支えてくれる友人を探したりします。その点でYCの魅力は、良い時期と悪い時期の両方に対応できる点です。YCにいれば、良い時期にはすぐに資金調達できますし、悪い時期には素晴らしいパートナーの方からアドバイスをもらえたり、同じバッチの創業者が支えになってくれます。


Q16. どのアドバイスが最も役立ったのでしょうか。
スケールをするな、というアドバイスが役立ちました。つまり顧客が本当に欲しいと思うものがしっかりと完成するまでスケールするなというアドバイスです。


Q17. YCに入る秘訣はあるのでしょうか。
2つあります。1つはシンプルであること。例えば、100枚の応募書類があったとすると、十中八九、最高のアイデアはシンプルにかつ簡潔にまとめてあります。空白がたとえ多くあっても簡潔なものが採用されるでしょう。長い文章を書かなければ説明できないようなサービスは、恐らく解決策を知らないものでしょう。

2つ目はチーム。そして具体的に2つのタイプの人を雇うことです。1つは、自分達のやっているサービスにおける専門家を雇うこと。Teleborderの場合、ビザに関しての知見を持つ人を雇うことになります。そしてもう1つは、チーム全員が、自分達の解決しようとしている問題を経験していること。実際、Teleborderの従業員は全員がビザ申請などに関して何らかの問題を経験しています。


Q18. 著名VCから投資を受けていますが、何か大きなメリットはあったのでしょうか。
2つ大きなメリットがありました。1つはブランド。著名VCからの資金調達のニュースは大きく報道されますし、信頼度も上がります。2つ目は、コネクション。VCの方から顧客候補を紹介してくれる場合もあり、非常に助かっています。


Q19. Teleborderというサービスを確立するまでに大変だったことはなんだったのでしょうか。
戦略が定まらない、答えが見つからない時期が最も大変でした。私がいつもこの大変な時期を例えているのは蚊です。蚊は守りを持たず、動物に針を刺すという、言わば攻撃するという特徴しか持ちません。そしてずっと飛び回って着地点を探しまわっています。スタートアップも同じです。守ることを知らず、着地点がなかなか見つからずとも飛び回り続けなければ会社が倒れてしまいます。Teleborderも同様に、戦略が定まらず、必死に操業していた時期がありました。


Q20. これからTeleborderはどうなると思いますか。何かビジョンなどはおありでしょうか。
ビザ問題を解決し、世界中の労働者をつなげるプラットフォームになることがビジョンです。日本から東南アジア、東南アジアから北米、北米からヨーロッパに勤務地を変えたとしてもスムーズにビザ申請を行えるようにすることがこれからのTeleborderの目標です。また、雇用者側も、ストレス無く世界中から優秀な人材を雇用することを可能にするサービスになることを目指しています。


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